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子育てをラクに楽しく! お片づけのプロ水谷妙子さんに学ぶ、整理収納術 〈子ども服の管理編〉

子育て

第3回のテーマは、『子ども服、どう管理する?「出し戻しやすい」「選びやすい」収納の作り方』です。赤ちゃんから保育園・幼稚園時代は、着替える回数が多くなるため服のストックをたくさん持っているという声をよく聞きます。中には「管理が難しい」「収納の仕方が分からない」というお悩みを持つ人も。枚数が多いということは、それだけ管理の手間もかかるということ。保育園に通う息子さん2人と小学校3年生の娘さんを持つ整理収納アドバイザーの水谷妙子さんに、「子ども服管理のポイント」を教えていただきました。

目次

  • ポイント① 子ども服の収納場所は、家族みんなの生活動線上に作る
  • ポイント② 引き出しは子ども目線で選ぶ。「軽い」「低い」「奥行きが浅い」が使いやすい
  • ポイント③ 衣替えは段階的に。小さめの衣装ケースを選び、きょうだいごとに分ける
  • ポイント④ お下がり服はもらわない選択もアリ。子ども自身が選べば着倒せるから無駄なし

ポイント①子ども服の収納場所は、家族みんなの生活動線上に作る

子ども服は、どのように管理するか悩む前にまず収納場所について考えることが大切だと水谷さんは言います。

「洗濯物をしまったり、着替えさせたり、保育園などの準備をするときに便利な場所に置くのがおすすめです。家族が最も長い時間過ごすのは、やっぱりリビング。リビング内やリビング続きの部屋など、みんながよく通る生活動線上ならスムーズにお世話できます。我が家でも、リビングダイニングとつながっている洋室に子ども服をまとめています。」

親の衣類と一緒にファミリークローゼットに収納するのもいいですが、もしその部屋がリビングから遠い場所にあると移動が大変。着替えを取りに行く、洗濯物をしまいに行くのにいちいち手間がかかります。

「リビングに近い場所にあれば子どもが自分で着替えやすいので、“自分のことは自分でする”という環境を早く作れる気がします。遠いと面倒だし、特に夜は廊下が暗くて怖いと感じてしまうこともあり、子どもは行きたがらなくなるかもしれません。」



ポイント②引き出しは子ども目線で選ぶ。「軽い」「低い」「奥行きが浅い」が使いやすい

子ども服の収納アイテムにはさまざまなタイプがありますが、水谷さんが使っているのはイケアのトロファストシリーズ。

「幅44、奥行き30、高さ91cmを3台並べています。子ども1人につき1台です。この引き出しに普段の着替え、下着、保育園で使う口拭きタオルなどをほぼ集約しています。」

「引き出しはプラスチック製でとても軽く、子どもが自分で引き出しを引いたり戻したりできます。これは、子ども自身でお支度ができるようになるためにとても大事なポイントです。」

トロファストはおもちゃ収納に使われることが多いですよね。トロファストの引き出しは、高さ10cm、23cm、36cmの3種類。中身や用途によってこの3種類を組み合わせて使うことができます。奥行きも30cmと44cmの2種類がありますが、水谷さんは奥行き30cm、引き出しの高さ10cmにこだわって子ども服の収納を整えました。

子ども服は小さいので、たたんだり詰め込んだりすると引き出しの中ですぐ迷子になってしまいます。でも10cmの引き出しは、深すぎず浅すぎず中身が埋もれないちょうどいい深さです。

「引き出しの中身を見渡して、何がどこにあるかすべて見えると、お支度の時短が叶います。子どもが自分で服を取り出すときにもストレスフリーです。」

奥行き30cmを選んでいるのも同じ理由です。「奥行きがたっぷりあるとたくさん入っていいような気がしますが、引き出しの奥のほうは死角になりがち。30cmならちょっと引いただけで中身がすべて見えるので、引き出し全体を有効活用することができるんです。子どもにとっても、奥行きが短いほうが引き出しを引いたり戻したりしやすい!」

「中身を見渡せるようにするためには、入れすぎないことも大切です。服は薄くたたんで押し込めばたくさん入ります。しかし、埋もれて存在が忘れられるようではたくさん持っていても意味がありません。我が家では保育園で1日に何度も着替える次男でも、写真の引き出しくらいにゆとりを持たせて収納しています。」

ひとつの引き出しに違う種類のものを入れるときは、仕切りボックスを使っているという水谷さん。

「ざっくりでいいので空間を仕切ってあげると、中身が混ざらないので確認しやすくなりますよ。仕切りはなんでもいいですが、私は無印良品のポリプロピレン整理ボックス2、3個をよく使っています」

また、水谷さんは家事時短のためにすべての服をきっちりたたむことはしていないそう。

「肌着やパンツはふわっと軽くまとめてしまうだけ。そもそもきっちりたたみにくいし、そんなことをしなくてもシワがあまりつきません。ふわっと入っているほうが子どもも着やすいし、保育園の通園バッグに着替えを補充するときにどうせ崩れてしまうという理由もあります。すべての家事を完璧にこなすことは時間的にも気持ち的にも難しいので、かけなくてもいい手間はどんどん省いています。」

ちなみに各引き出しには、手描きのイラストラベルを貼って中身を管理。水谷家では子どもそれぞれにマイカラーを設定していて、文字が読めない低年齢の子どもでも視覚的に自分のものが分かるようにしています。

「娘はオレンジ、長男は緑、次男は青。トロファストの引き出しラベルもそれぞれのマイカラーで描いています。手描きにしているのは、中身が入れ替わってもすぐに描き変えられるから。イラストを大きく見せたいので、ラベルには幅広の養生テープを使っています。」



ポイント③衣替えは段階的に。小さめの衣装ケースを選び、きょうだいごとに分ける

季節外の衣類は、トロファストの隣にある備え付けのクローゼットに収納しています。こちらも、トロファストと同じく衣装ケース1人1個で保管。

「無印良品のポリプロピレンキャリーボックス・ロック付・小を3個、クローゼットの最上段に置いています。このロック付のキャリーボックスシリーズはもっと大きいサイズもあるのですが、私はあえて小を選択。クローゼットの奥行きに合うという理由ももちろんありますが、3人分ひとまとめにせず子ども別にすることで服が混ざらず、管理がしやすいです。」

このボックスからあふれるほどの量は持たないようにしているという水谷さん。定量を決めることで、服の持ち過ぎを防ぐことができていると言います。

「衣替えは、気候を見ながら2回に分けて行っています。夏から秋にかけては、初秋に半袖Tシャツを半分の枚数だけキャリーボックスにしまい、同じ数の長袖シャツをトロファストの引き出しに入れ替え。9月ごろはまだ暑くても急に冷え込んだりすることがあるので、半入れ替えがちょうどいいんです。保育園から長袖シャツを数枚ロッカーに入れておいてください、と言われることもあるので早いうちから長袖も必要。本格的に寒くなってきたら、トロファストの半袖Tシャツはすべてキャリーボックスへ。長袖シャツや厚手衣類などと取り替えます。」

水谷家では、薄手アウターの衣替えはしていません。春秋は通園通学の防寒着として、それ以外の季節も冷房対策、アウトドア時の雨よけなどで使うこともあるからです。

「夏や冬は実際に使う回数がそれほど多くないとしても、いったんしまい込むといざというときに取り出すのが面倒。だから冷房対策や雨よけとして使う時季は、無印良品の立体メッシュタテに使える仕分けケース・L(写真の黒は販売終了)に家族全員分の薄手ジャケットを入れて玄関に保管しています。家族5人分をケースにまとめておけば、お出かけ準備がラク。誰かの分だけ忘れるといったうっかりミスもなくせます。」



ポイント④お下がり服はもらわない選択もアリ。子ども自身が選べば着倒せるから無駄なし

最後に、子ども服に関する水谷家のルールを教えてもらいました。それは「お下がり服を人にあげない、人からもらわない」ということです。

「長男が生まれた時にお下がりをたくさんいただいたことがあるのですが、着せたいと思う服はほんの数枚。むしろ残りを処分することに罪悪感やストレスを感じてしまいました。それ以来、お下がり服をもらわないのはもちろん、我が子の服を誰かにあげることもしないと決めたんです。」

保育園に通う息子さん2人が持っている服は上下それぞれ10枚程度。保育園でもたくさん着替えをしていますが、毎日洗濯し、いざというときは乾燥機にかけているから「足りない」という困った状況になったことはないそう。

「保育時間や洗濯回数、住む地域などにもよるので、何枚持っていればOKという基準はありません。もし、収納からあふれて使いにくいと感じていたり、管理できなくて自分がつらいと思うようなら、もっと服の数を減らしても大丈夫かもしれませんよ。“子ども服はあればあるほどいい”ではなくて、今の生活スタイルを考えて何枚あれば回せるのかをぜひ考えてみてください。」

水谷さんが子ども服を買い替えるときは、必ず子どもと一緒に買い物へ行き意見を尊重して購入しています。

「子どもって、たくさん持っていても同じ服ばかり着たがりませんか? つまり、親が良かれと思って用意しても結局はタンスの肥やしになる可能性があるということです。私はなるべく子どもが本当に気に入った服を持ちたいと思っているので、着てくれない服は、潔く諦めて手放す。そして着なかった理由を考察して、次に生かしています。」

水谷さんのお子さんたちが自分で選んだ服は、成長して少しきつくなっても「まだ着る!」となかなか手放せないほど愛用しているそうです。

「持っている服を全部着倒さなきゃ、と思うとつらくなります。本当に気に入っているものを、日々の着替えに困らないぶんだけ持つ。この考えがベースにあれば、必要以上のお下がり服をもらうことはないし、余計な買い物もしなくなるのではないでしょうか。」

水谷さん流の子ども服収納のコツ、いかがでしたか? 服の持ち方に対するアドバイスは、大人のクローゼット整理にも参考になりそうですね。



教えてくれた人

水谷妙子さん

整理収納アドバイザー1級。夫と11歳の娘、8歳、6歳の息子の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」インスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。

撮影/木村和敬(blowup studio)取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS) 

佐藤望美執筆者

ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も4歳の女児、小学2年生の男児の子育てに奮闘中。

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