第7回のテーマは、『キッチンは暮らしの中心! 親がラクする・子どもが自分で動ける仕組みづくりを』です。1日の中で何度も出入りするキッチン。毎日のことだからこそ、料理や片づけといったこまごまとした家事をラクにする工夫が必要です。今回は小学生2人と保育園児1人を子育て中の整理収納アドバイザー水谷妙子さんに、キッチンまわりの暮らしのコツを教えていただきました。
目次
- ポイント① キッチンは基本的に大人のスペース。子どもOKのエリアを決めておく
- ポイント② 踏み台選びのポイントは「軽い」「安定している」「移動させやすい」
- ポイント③ お手伝いは簡単なことから。食器の持ち運びができれば十分
- ポイント④ おやつはセルフサービス。ジップ付き袋やコップも取りやすい場所に
- ポイント⑤ キッチン家事をラクにする、水谷家流の3つのテクニック
ポイント①キッチンは基本的に大人のスペース。子どもOKのエリアを決めておく
キッチンは、小さな子どもにとってはとても危険な場所。包丁などの刃物はもちろん、ガスコンロの火やIHクッキングヒーターの熱など危ないものがいっぱいです。キッチンの入り口をベビーゲートなどでふさいでいるご家庭も多いはず。
「子どもが少し大きくなってくると、お手伝いをしてほしいと親は考えてしまいますよね。でも子どもにとっては、ずっとゲートなどで塞いで立ち入り禁止にされていた場所。急にお願いごとをされたり、おやつや飲み物を自分で取るように言われても戸惑います。」
大切なのは、各ご家庭であらかじめルール決めをしておくこと。
「ガスコンロは触らない、包丁が入っている引き出しは開けないなど、子どもと話し合って『ここはOK』『ここはダメ』というふうにしっかり決めておくのがいいと思います。」
言い聞かせるだけでは不安が残る年齢なら、危ない箇所に絞って引き出しストッパーやチャイルドロックを設置するのもおすすめです。水谷家でも、お子さんが冷蔵庫の氷を勝手に出すのを防ぐため冷蔵庫の引き出しにストッパーを設置していた時期があるそうです。
ポイント②踏み台選びのポイントは「軽い」「安定している」「移動させやすい」
子どもがキッチンに入るようになったら、必要になるのが踏み台です。踏み台にはいろいろなタイプがありますが、水谷さんによると軽くて安定した形状であること、さっと移動できるコンパクトなサイズ感が選ぶポイントになるそうです。
「折りたたみ式は使わないときスリムになるので便利ですが、開閉時に指を挟んでケガしてしまうことも。木製などのきちんとした踏み台は見た目が素敵でも、狭いキッチンだとかさばるし意外と重くて持ち運びしにくいんです。」
水谷さんのお宅では、IKEAのフォルシクティグ(子ども用スツール)を使っています。
「ぐらぐらせず安定する形状で、滑り止めもついています。我が家のキッチンはそれほど広くないので、使わないときはすぐ移動させられる軽さも必須。このスツールはリーズナブルなのに、『軽い』『安定している』『移動させやすい』3つのポイントを網羅しています。」
普段はリビング横のキッズスペースに置いてあり、キッチンで使うときだけお子さんが自分で運んできます。
子どもたちは、このスツールを使って、朝食のパンにスライスチーズをのせるなどのお手伝いをするそうです。
ポイント③お手伝いは簡単なことから。食器の持ち運びができれば十分
キッチンまわりのお手伝いに関しては、水谷さんは慎重派。
「それぞれのご家庭の考え方があると思いますが、我が家では小学4年の娘には少しずつ料理のお手伝いをさせています。包丁の使い方や火を使う調理の基本は、子ども料理教室に不定期で通って少しずつ学びました。小学1年の息子はこれから取り組む予定です。」
子どもにお願いするお手伝いは、簡単な食器運びから。コップや取り皿を運んだり、食後に自分の食器をシンクに下げるお手伝いをしてもらっています。
「この程度なら、3歳くらいからでも取り組めるのではないでしょうか。後片づけは習慣化することが大切だと思っています。食器、お箸、コップなどすべてを運ぶのが難しいなら、まずはコップだけ。ひとつでもいいから毎日続けて、少しずつ数を増やしていけばいいと思っています。」
ポイント④おやつはセルフサービス。ジップ付き袋やコップも取りやすい場所に
水谷家のキッチンでは、「おやつを出す」「コップで水を飲む」のは子どもたちが自分でやる仕事。
「壁側のカップボードで、子どもの手が届く高さの引き出しをおやつコーナーにしています。子どもに『おやつを取って』と言われなくても自分で選んで出してくれるのでラクです。」
収納は無印良品のポリプロピレンメイクボックス・1/2、1/2横ハーフ、ポリプロピレンコットン・綿棒ケースを組み合わせて使用。
「個包装の比較的小さなお菓子を買いそろえています。袋から出し、このように仕分けて入れておけば、全体を一目で見渡すことができます。お菓子の大きさや量によって収納の組み合わせを変えたりボックスを外したりできるのも利点です。」
もちろん、お菓子を食べるタイミングや量は親が管理。おやつを選ぶ楽しさは残しつつ、食べ過ぎをセーブできる仕組みです。
外出時や、友だちの家におやつを持参するときなどはジップ付き袋を活用。子どもが自分で選んで出せるように、シンク下の引き出しに収納しています。
水谷家では、子どもが使うコップの定位置はシンクの水切りかご。頻繁に使うので、食器棚にしまわず出しっぱなしにしています。
「子どもは自分でコップを取り、水を入れます。シンク前には壁がないため、ダイニングテーブル側からコップを取ってそのまま水を入れることもできて便利です。」
ポイント⑤キッチン家事をラクにする、水谷家流の3つのテクニック
テレワークなどで1日3回の食事の準備をしなければならない日も多いという水谷家。ここでは、調理や片づけなどキッチン家事をラクにするテクニックを3つご紹介します。
ミールキットやレトルトを自分流にアレンジ
水谷さんは、お子さんたちの偏食や少食で悩んだ時期もあったそう。
「以前は“頑張って作らなきゃ”と考えていましたが、今は料理をもう少し気楽なものとして考えています。ごはん作りにかける時間は20分。準備や手間に意外と時間をとられる作りおきもしません。子どもが好きなメニューの食材宅配ミールキットや冷凍食品、レトルトを活用しながら乗り切っています。」
水谷さんがよく使っているのは、食材宅配の生活クラブとオイシックス。生活クラブのミールキット、ビオサポは毎週注文しています。
「ミールキットに入っている野菜だけだと量が足りないので、適当に足しています。レシピ通りに作らずアレンジすることも多いです。一から献立を考えるのは大変ですが、キットという土台があれば、料理がずいぶんラクになります!」
オイシックスの冷凍焼きおにぎりをはじめ、冷凍餃子などの冷凍食品もお助け食品として常備。無印良品のカレーやフリーズドライのスープも、防災食を兼ねてストックしているそうです。
「無印良品のスープは子どもたちも大好き。特に豚汁は、自分で豚肉や野菜を炒めて具を足すというようなアレンジもしています。レトルトや冷凍食品をそのまま出すのは罪悪感があるかもしれません。でも自分で仕上げの調理をしたり、具材を足してアレンジしたりすれば立派なひと品になると思っています。」
食洗機をフル活用できる食器ラインナップ。調理器具も小サイズに
水谷家では、食洗機を毎日2、3回使っています。なるべくたくさんのものを一度に洗いたいので、食器や調理器具は食洗機ファーストで選択。
「丈夫なつくりで食洗機でもガンガン洗える業務用食器を愛用しています。オーバル皿はサタルニアというブランドのもの。お茶碗にしているのは無印良品のこども食器・磁器碗。子どもたちは小、親は中サイズです。汁椀は中川政七商店のもので、食洗機OKのものを選びました。」
調理器具も、食洗機OKの素材かつ食洗機に入れやすいサイズのものをそろえています。
「鍋やフライパンは、取っ手が外せるティファール。ボウルは大も小も持っていますが、食洗機に入れやすい小サイズでconteを愛用しています。コンパクトなマッシャーや泡立て器は無印良品です。」
食器類は食洗機からワンアクションで戻せるように
食器類は、食洗機のすぐ向かいにある吊り戸棚に収納しています。食洗機で洗い終わったら、扉を開けてそのままほとんど動かず戻せる場所です。
ものの持ち方や収納を工夫すれば、キッチン家事の負担は今よりもずっと軽くなるはずです。水谷さんの暮らし、ぜひ参考にしてみてください。
教えてくれた人
水谷妙子さん
整理収納アドバイザー1級。夫と小学生の子ども3人の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」 やインスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。
撮影/木村和敬(blowup studio)取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS)
佐藤望美執筆者
ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も小学生の子ども2人の子育てに奮闘中。
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