第5回のテーマは、『朝と帰宅後の保育園・幼稚園準備、仕組み化すれば親も子どももラクになる!』です。保育園・幼稚園からの持ち帰り荷物のお片づけや翌日のお支度は、毎日のことだから親の負担を少しでも減らしてスムーズに進めていきたいところ。できれば少しずつ子ども自身でできるようになってほしいですね。保育園に通う息子さん2人と小学校3年生の娘さんを持つ整理収納アドバイザーの水谷妙子さんに、「子どもが自発的にお支度できるようになるための仕組み化のコツ」を教えていただきました。
目次
- ポイント① 「自分のことは自分でやる」のスタートは3、4歳から
- ポイント② 水谷家流・保育園から帰宅後のお片づけシステムを実況中継
- ポイント③ 翌日のお支度は夜のうちに! 子どもも認識しやすいもの選びがコツ
- ポイント④ お片づけやお支度ができるようになるために意識したいこと
- ポイント⑤ 小学生のお支度は? 移動ポケットは動作をセット化する
ポイント①「自分のことは自分でやる」のスタートは3、4歳から
3人のお子さんを育てる水谷さん。その経験を踏まえて「いつから子どもにお支度や準備を任せられるのか」を聞いてみました。
「子どもの性格によるところも大きいですが、3〜4歳前後だと思います。保育園でも、0歳から2歳の乳児クラスは先生がお世話する部分が多いですよね。人の話をきちんと理解し、手先が器用に動くようになってくるのが3歳児(年少)クラスあたりです。用意された服を自分で着る、決められた場所から自分で服を選んで取り出し着替える。このステップをクリアできる頃が目安になってきます。」
とはいえ、「今日から登園準備、自分でやってね」といきなり丸投げするのはNG。任せる動作の順番や進め方にポイントがあると水谷さんは言います。
「園の準備は大きく分けると『持ち帰り荷物のお片づけ』と『翌日のお支度』がありますよね。子どもには、まずお片づけを任せてみることをおすすめします。お片づけは、今そこにあるものを処理する現在進行形のことですが、お支度は未来のことなので、ハードルがグッと上がります。」
「まずは脱いだ服を指定の場所へしまうことから始めてみてください。朝パジャマから服に着替えたら、パジャマを洗濯カゴに持っていく。入浴前に今まで着ていた服を洗濯カゴに入れる。これができるようになれば、今度は通園バッグの中身を片づけるステップにレベルアップします。」
「焦らず、1動作ずつ進めましょう。最初はリュックの中身を外に出すだけでも十分。慣れてきたら汚れ物を洗濯カゴに入れる、コップ・水筒・お弁当箱などをキッチンに置くというふうに動作を増やしてみてください。」
スムーズに進めるコツは、園の進め方に合わせること。
「我が子が通っている保育園では、3歳児(年少)クラスになると自分で服を出してパジャマ等にお着替えをしたりするようになります。園でその動作に慣れると、家でも取り組みやすいもの。園のやり方やペースに合わせてあげれば子どもも動きやすいかもしれません。」
ポイント②水谷家流・保育園から帰宅後のお片づけシステムを実況中継
水谷さんには現在、保育園の5歳児(年長)クラスと3歳児(年少)クラスに通う息子さんがいます。帰宅後は保育園からの持ち帰り荷物をそれぞれ自分たちでお片づけ。どんな流れで、何を行っているのか見せていただきました。
玄関で自転車のヘルメットをお片づけ
脱衣・洗面所で着ている服を脱ぎ、洗濯機に入れる
通園バッグから汚れ物を出し、洗濯機に入れる
保育園用のコップを水洗いする
キッチンへ移動し、水筒をシンクに置く
ここまで、所要時間はほんの2分ほど! 動作がシステム化しており、体が覚えているため、途中で遊び始めてしまうということがありません。
「片づけたらお風呂に入る、という明確なゴールがあることも大きいかもしれません。コップ洗いは少し難しいので今は長男のみ行っていますが、現在4歳の次男もこの一連のお片づけをこなしています。ただしこれはあくまで我が家流のやり方。園によって持ち帰り荷物の内容はさまざまですし、子どものやる気や性格によってできることも変わってきます。」
ポイント③翌日のお支度は夜のうちに! 子どもも認識しやすいもの選びがコツ
帰宅後のお片づけができるようになったら、翌日の登園準備へのレベルアップに挑戦。水谷家では、子どもたちが自分で準備を行っています。
「我が子の保育園では補充する持ち物が着替え1セット、口拭きタオル1枚と決まっているため、子どもに任せることにしました。先ほども触れたように、お支度は未来のこと。園にある服の数を確認して補充する服を都度調整しなければならない場合は、子どもにはまだ難しいと考えています。」
子どもに任せる場合も、親が準備する場合も、気持ちにゆとりがある夜のうちにお支度をすませるのがベター。
水谷家ではお子さんそれぞれにマイカラーを設けています。毎日補充する口拭きタオルは、マイカラーに合わせたものを準備。
「頭で考えなくても直感で誰のものか認識できます。洗濯後に引き出しへ戻す時もラク! 保育園に毎日持っていく着替え入れのエコバッグも、同じカラーにしています。」
ポイント④お片づけやお支度ができるようになるために意識したいこと
水谷家流ではお片づけもお支度もほぼすべて子どもたちで行っていますが、うまくいかない時ももちろんありました。
「大人だって気分が乗らない日もあるのだから、子どもならなおさら。帰宅時に機嫌が悪い、兄弟げんかをしていることもあります。嫌がる時は無理強いしないことが大事です。やろうとしているのに親が先回りして言うのもがまん。動作が遅いこともあるかもしれませんが、せかしたり親が代わりにやってしまうと子どもはやる気を失ってしまいます。」
さらに、なぜこのやり方で片付けや準備をしなければならないのか。理由をきちんと子どもに伝えることも必要だと水谷さんは言います。
「例えば我が家では、靴下など小さい汚れ物は洗濯ネットに入れて洗っています。それはドラム式洗濯機だと扉裏のすき間に挟まってうまく洗えなくなってしまうからだと、理由をきちんと説明することで子どもたちは納得してくれました。今、脱いだ靴下は自分でネットの中に仕分けてくれています。」
ポイント⑤小学生のお支度は? 移動ポケットは動作をセット化する
未就学のうちから少しずつお片づけや準備に取り組んでいれば、小学校に入学する頃にはさらにスムーズに。
小学校3年生の娘さんが実践する、移動ポケットのお片づけを見せていただきました。移動ポケットとは、ハンカチとティッシュを入れる外ポケットのこと。通常クリップがついていて、ズボンやスカートに留められるようになっています。
「長女は帰宅後、ランドセルを学用品棚に置いたらまず脱衣・洗面所へ。手洗い後に移動ポケットを服から外し、ハンカチを洗濯機に入れます。移動ポケット本体を洗う際は、ポケットティッシュも取り出します。」
移動ポケットはハンカチ・靴下と同じ引き出しに収納しています。朝必ずはく靴下とセットにしておけば、移動ポケットを忘れることなくスムーズに準備できます。
お子さんが通う小学校では、給食時にランチョンマットを使用。毎日取り替えるため、使ったマットも手洗いのタイミングで脱衣・洗面所に持っていくそうです。
水谷さんによると、小学生にとっては忘れ物をすることも人生経験のひとつ。
「親があれこれ気を回すと、いつまでも独り立ちできません。忘れ物をした場合の対処を学ぶことも必要だし、そこで感じた嫌な気持ちや恥ずかしい気持ちも学びにしてほしいと思っています。」
子どもにとって、日々の暮らしはそのひとつひとつが社会に出るための準備。お片づけもお支度も、少しずつ子どもが自分でできるようになるといいですね。
教えてくれた人
水谷妙子さん
整理収納アドバイザー1級。夫と小学生の子ども3人の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」 やインスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。
撮影/木村和敬(blowup studio)取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS)
佐藤望美執筆者
ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も小学生の子ども2人の子育てに奮闘中。
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