第4回のテーマは、『家遊びが増える時期はおもちゃ収納見直しのチャンス。種類別の収納方法を考える』です。寒い季節はおうちで過ごす時間が長くなります。遊び終わったおもちゃやお絵描き・工作アイテムをその都度、親が片づけるのは大きな負担。遊びやすく、子どもが自分でお片づけしやすい環境を整えてあげることが大切です。保育園に通う息子さん2人と小学校3年生の娘さんを持つ整理収納アドバイザーの水谷妙子さんに、「お片づけ習慣が身につくおもちゃ収納のコツ」を教えていただきました。
目次
- ポイント① お片づけをしなければならないのはなぜ? 理由を伝えることから始めて
- ポイント② おもちゃ収納は「安全」「フタなし」「軽い」「お手入れしやすい」ものを
- ポイント③ カードやすごろくは1種類1セットに。形状に合う収納を選ぶ
- ポイント④ お絵描きのアイテムは使う場所=ダイニングテーブルのそばに収納
- ポイント⑤ 子どもの作品は「飾る」「一時保管」→「とっておく」「処分」の流れをシステム化
ポイント①お片づけをしなければならないのはなぜ? 理由を伝えることから始めて
子どもにお片づけをしてほしいとき、「片づけて!」「部屋をきれいにして!」という声かけをしていませんか?
「まず大前提として、小さな子どもは整理整頓や片づけることの大切さをまだ理解していないケースが多いです。片づけて、と曖昧に指示するだけでは伝わっていないかもしれません。遊びと片づけは1セット。床におもちゃを置きっぱなしにすると、踏んで怪我してしまうかもしれない。おもちゃが壊れてしまうかもしれない。掃除機をかけることもできないし、家族が過ごすスペースがなくなって困るかもしれない。我が家の子どもたちには、お片づけをしないことで発生するデメリットをきちんと説明しています。子ども自身がそれに納得できたら、片づけの意識も変わっていくはずです。」
また、片づけ習慣が身についていない子どもには「ぬいぐるみをこのボックスに戻そうね」「電車のおもちゃは線路と一緒に入れよう」など、何をどうしたらいいのか具体的に伝えてあげるとスムーズ。
「おもちゃ収納はアクションをなるべく少なく、シンプルにすることが重要です。戻す場所がわからなかったり、面倒な工程がたくさんあると片づけ自体がイヤになってしまいます。」
ポイント②おもちゃ収納は「安全」「フタなし」「軽い」「お手入れしやすい」ものを
水谷さん宅のおもちゃ収納コーナーは、リビング続きのキッズスペースにあります。使っているのは、小学生の娘さんの学用品棚として使っているものと同じシリーズ、無印良品のパイン材ユニットシェルフです。
シェルフに置いているボックスは、無印良品のポリエステル綿麻混・ソフトボックス・長方形・中です。
「私がこのボックスを選んだポイントは4つあります。まずは子どもが使うものなので安全であること。プラスチックボックスにしていた時期もあるのですが、子どもたちが積み上げて上からジャンプするなど危険な使い方をしたためすぐに撤去。このソフトボックスは柔らかく、しかも積み重ねられない形状なのがよいのです。」
フタなしは、積み重ねられないようにするためと“フタを開け閉めする”というアクションをなくして出し入れしやすくするためでもあります。
「あとはボックス自体が軽いこと。重いと、おもちゃを入れた状態ではもっと重くなります。子どもが自分で移動させられないし、誤って足の上に落とすと怪我につながるので危険です。同じ意味で木製ボックスや角がとがったボックスも避けたほうがいいと私は考えています。」
親目線では、お手入れしやすいことも大きなポイント。静電気でホコリや髪の毛がつきやすい素材、洗ったり拭いたりできない素材は子どものアイテムの収納にはあまり向いていないかもしれません。天然素材でできた籐かごなどは見た目は素敵ですが、編み目の隙間にホコリが入り込んで掃除に手間がかかることも。
「このソフトボックスは生地の内側がコーティングされているので、汚れたらウェットティッシュなどでさっと拭くことができて便利です。」
また、棚に収納ボックスを置くときは上部に10cm以上の隙間が空くようにしておくのがおすすめだそう。
「10cm以上空いていれば、比較的大きなおもちゃでも棚からボックスを引き出さずに戻すことができるんです。“引き出す”というアクションをなくしてポイッと投げ込めるので、片づけのハードルがグッと下がります。」
ポイント③カードやすごろくは1種類1セットに。形状に合う収納を選ぶ
カードゲームや好きなキャラクターのカード類など薄くて細かいものは、ソフトボックスで他のおもちゃと一緒に収納すると使い勝手が悪くなります。そこで水谷さんは種類ごとに100円ショップや無印良品の収納アイテムを使い分けているそうです。
「かるたやUNOは紙製の箱に戻すのが意外と手間。箱もすぐにボロボロになるので処分し、ボックス収納にしています。セリアで見つけたトレーディングカードボックスS(写真右上)はシンプルな構造で、開け閉めがワンアクションできるのが選んだ決め手。開け口が斜めカットになっているのも、子どもにとっては取り出しやすいようです。」
ゲームセンターで遊ぶときに使うカード類(例えばポケモンメザスタのタグなど)は、ダイソーで購入したセクションケース(200円商品、写真下)に収納。このケースは仕切りの位置を調節できるため、タグ以外でも手持ちのアイテムに合わせて収納することができそうです。
すごろく、ボードゲームも購入時のケースは処分。無印良品のEVAケース・ファスナー付・A4(写真左)を使い、駒などの付属品とセットで収納することで紛失を防ぎます。
ポイント④お絵描きのアイテムは使う場所=ダイニングテーブルのそばに収納
色鉛筆、カラーペン、ハサミ、折り紙などお絵描きや工作に使うアイテムは、キッズスペースではなくダイニングコーナーに収納しています。
「ものは使う場所の近くに収納するのが基本。我が家の子どもたちはダイニングテーブルでお絵描きをするので、片づけが億劫にならないようテーブル奥の壁面収納に置き場所を作りました。食事の時間にテーブルの上を空けたいときも、一瞬で片づけが終わります。」
おもちゃ収納と同じく、出しやすく戻しやすいオープン収納。色鉛筆も専用のケースにいちいち戻すのは面倒なので、フタなしのケースに入れ替えています。
「ケースは無印良品のポリプロピレンデスク内整理トレーシリーズ(上段の折り紙ケースを除く)。半透明で、横からでも中身がうっすら見えるのがポイントです。このシリーズは仕切板がセットになっていますが、子どもの文房具の収納はわかりやすく1種類1ケースにしているため仕切板は今は使っていません。」
家の各所でお絵描きや工作をする場合は、持ち運び可能なボックスに収納しておくのもおすすめ。
「取っ手がついているボックスを使えば、必要なものをセットにして持ち運びしやすいです。サクラクレパスのおかたづけボックスは軽量のプラスチックシートと布素材でできており、文房具を入れても子どもが簡単に持ち運べます。誤って落としても、子どもの足や床が傷つく心配もありません。」
ポイント⑤子どもの作品は「飾る」「一時保管」→「とっておく」「処分」の流れをシステム化
子どもが描いた絵や折り紙、工作の作品は、どうやって保管すべきか悩む家庭が多いもの。水谷家では、お気に入り作品はインテリアとして飾る、その他は一時保管というルールを設けています。
「保育園で頑張って作った工作、娘の版画の原版などは一定期間インテリアとして壁面収納に飾っています。イラストは壁に貼ることも。その他はキッズスペースに設置してある一時保管ボックスに入れておくんです。その際、作品に日付と子どもの名前を書いておきます。」
「一時保管ボックスがいっぱいになったら、全部出して子どもと一緒に整理。とっておきたいものと処分するものに仕分けます。とっておくものは、思い出の品の収納に使っている無印良品のポリプロピレン頑丈収納ボックス・大へ移動。インテリアとして飾っていたお気に入りもここに移します。我が家は子どもが3人いるので、作品が混ざらないように中をざっくり仕切り、年齢ごとにクリアファイルで分類しています。」
このように流れをシステム化すれば、作品があふれて溜まってしまうことはありません。ボックスは押し入れにしまい込まず、別の部屋にこのまま置いています。
「一時保管ボックスの見直しは2、3ヶ月に一度行います。中身は意外と重いので、奥にしまうといちいち出すのが大変。出しっぱなしにしておくことで取りかかるハードルが下がりました。無印良品の縦にも横にも連結できるポリプロピレン平台車を使い、その上に乗せて動かしやすくしています。」
水谷さんは、一時的に散らかってもいいからお絵描きや工作はたくさんやってOK!というスタンス。
「子どもの描きたい、作りたい意欲や情熱はとてもよく理解できるし、なるべく尊重してあげたいと思っています。『そんなにたくさん作ってどうするの?』とか、『全部とっておくのは大変』『散らかるから嫌だ』という親の気持ちも理解できるのですが、子どもの創作意欲は衝動的なもの。とっておくためでなくただ描きたい、作りたいという気持ちの場合も多いと感じています。保管しなきゃと思っているのは実は親だけで、子どもはそうではないかもしれません。一時的に部屋が散らかったとしても、作品がいっぱいになっても、最後にはきちんと片づくような仕組みを親が作ってあげればいいのかな、と私は考えています。」
遊ぶときは思いきり遊び、終わったら部屋をきれいに整える。このメリハリこそ、家族みんなが心地よく過ごすために必要なことだと言えそうです。
教えてくれた人
水谷妙子さん
整理収納アドバイザー1級。夫と小学生の子ども3人の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」 やインスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。
撮影/木村和敬(blowup studio)取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS)
佐藤望美執筆者
ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も小学生の子ども2人の子育てに奮闘中。
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