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マンション管理ゼミナール『電気設備』の基礎知識

マンション生活

大量の電力が必要なマンションには特有の仕組みがある

マンションは、電力供給の仕組みが戸建てとは異なります。マンションには、一つ屋根の下に多くの人が住むうえ、エレベーターや給水ポンプなどの共用設備を備え、一度に大量の電力を使用するという事情があるためです。戸建てでは、送電線で供給されている高圧電力を、電柱に設置されている柱上変圧器等を経由して低圧電力に変圧し、その後、引込線を通じて住宅に供給されます。では、マンションではどのように電力が供給されるのでしょうか。その仕組みや各種設備について確認してみましょう。

Q1マンションではどのように電力が供給されているの?

規模により2種類の供給方法があります。
建物全体で使われる電力量により、供給方法は異なります。各戸の契約電力と共用部の契約電力の合計が50kw未満の小規模なマンションでは、柱上変圧器で低圧電力に変圧された後、エレベーターなどを動かす動力用幹線と、照明やコンセント用の電灯用幹線の2系統の引込線に分かれます。この後、電灯用の引込線は、引込開閉器盤を通った後に共用部と専有部に分かれます。

中規模程度以上のマンションでは、電柱から高圧電力をそのまま敷地内の借室電気室などの受変電設備に引き込み、そこで低圧電力に変圧されます。その後、小規模マンションと同様に引込開閉器盤を通って共用部と専有部に分かれます。

Q2受変電設備には種類があるの?

電力消費量により、種類が異なります。
中規模程度以上のマンションにある受変電設備は、それぞれのマンションの電力消費量により、種類が異なります。目安として各戸の契約電力と、共用部の契約電力の合計が50kw以上になるのであれば、一般的には、敷地または建物の一部に「借室電気室」と呼ばれる空間が設置されます。借室電気室の内部には受変電設備が置かれています。ただ近年では、パットマウントなどコンパクトな受変電設備が開発され、50〜80戸程度のマンションでは、道路の脇などに設置されるケースが増えてきています。

一方、共用部だけで負荷の合計が50kw以上になる店舗があるような大規模マンションでは、より電力使用量が増えるため、借室電気室に加え、さらに「自家用受変電設備」を設置する必要があります。この場合、「借室電気室」は専有部用、「自家用受変電設備」は共用部用の電力を供給します。

受変電設備の種類

柱上変圧器

電柱上部に設置されるバケツ型の変圧器。建物に電力を届ける際に低圧電力に変圧する。

供給用変圧器室(借室電気室)

主に世帯数の多い集合住宅でみられる変電施設の格納スペース。電力会社に無償で提供。

バットマウント

集合住宅の屋外に設置する変電設備。道路の脇のスペースが小さくても設置できる。

集合住宅用変圧器

集合住宅の屋外に設置する変電設備。バットマウントより大きい。

屋外キュービクル(自家用受変電設備)

集合住宅の屋外に設置する変電設備。建物で使用する電力量によって大きさが異なる。

電気設備にまつわる常識・非常識

管理員や管理会社でも借室電気室には入れない。

関西や中国地方など地域により異なる場合もありますが、一般的に借室電気室の中に、電力会社の関係者以外は立ち入ることができません。また、「借室」といっても、電力会社から賃料を受け取ることはできないようになっています。

電気設備の点検は必要だ。

「借室電気室」や「自家用受変電設備」は点検が必要です。「借室電気室」内の機器は、電力会社の所有なので、電力会社が点検を行っています。一方、一般的に「自家用受変電設備」は、管理組合の所有物なので、管理組合が点検の義務を負います。ただし、電気設備の点検は専門的で、有資格者でなければ行うことができないため、実際の業務は外部の専門会社に委託して行います。なお、点検時には停電する場合があります。その際は事前にお知らせがあります。

契約アンペアは各戸で自由にアップできる。

マンションは戸建てと異なり、契約容量を各戸で自由にアップすることはできません。なぜなら、マンションの場合、建設時に各戸の契約電気容量を何アンペアにするか決めてから電気設備の設計が行われ、建物全体で受け取れる電気容量の上限があるからです。もし、各戸で勝手に契約容量をアップしてしまうと、ある日突然マンション全体が停電してしまう可能性があります。契約容量変更の際は、必ず事前に管理会社を通じて電力会社に確認してもらいましょう。

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