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くまもると学ぶ! 知っ得マンション生活 責任の所在や修繕費用の負担に大きく影響する「専有部分」と「共用部分」の違いとは?

マンション生活

画像提供/PIXTA

マンションには、大きく分けて「専有部分」と「共用部分」という2つの区域があり、その領域によって、居住者の責任と負担が異なります。さらに、「共用部分」には「専用使用部分」という、特定の居住者が使用する部分もあります。対象の箇所が破損した際は、この区分けに準じて、修繕費が自己負担なのか、それとも管理組合の負担なのか判断することになるため、今一度、「専有部分」と「共用部分」を見直しておきましょう。

教えてくれた人

本山 哲男日本ハウズイング 事業統轄本部
建物管理部 マンション企画グループ 統括マネージャー

区分けが分かりにくい「専用使用部分」
修繕などの費用負担はケースによって異なります

みなさんは、「専有部分」と「共用部分」の正確な区分けをご存じでしょうか? ともすれば、部屋の中が「専有部分」、それ以外は「共用部分」と考えがちですが、実際にはもっと複雑で、同じ領域内でも細分化されています。

まず、共用部分とは、マンションの居住者全員で共有する部分をいいます。廊下や階段、エレベーターのほか、実は、各戸の玄関ドアも、お部屋側の塗装面とシリンダー(錠前)以外は共用部分にあたり、勝手に塗り替えたり、鍵を増設したりすることはできません。

では、以下の場所は「専有部分」と「共用部分」のどちらに当てはまるでしょう?

  • インターホン
  • 玄関ポーチ
  • 室外機置場
  • バルコニー
  • 窓ガラス・網戸
  • 室内の火災感知器
  • 給水配管

答えは、すべて「共用部分」です。ただし、玄関ポーチや室外機置き場、バルコニー、窓ガラス・網戸は、その部屋の居住者だけが使用できる「専用使用部分」です。しかし、個人的な物置を設置するなど、完全に居住者の自由に使っていいとは認められておらず、管理組合から原状回復を求められた際は、それに従わなければなりません。さらに、破損した場合はもちろん、通常の使用で修繕が必要になった際の費用は、基本的に居住者の自己負担となります。

一方、室内の火災報知器は、マンション全体に避難や初期消火を促すためのもので、管理事務室の警報盤とつながっています。つまり「共用部分」ということになり、勝手に撤去したり、移設したりすることは認められていません。給水配管は、一般的に水道メーターから部屋側は専有部分となり、大まかには、竪(たて)管は「共用部分」、横管は「専有部分」です。「共用部分」は、故意の破損でなければ、修繕費用は管理組合の負担となります。

上記の箇所のような「共用部分」「専用使用部分」に含まれない部分を「専有部分」といいますが、こちらは区分所有者個人が所有している部分なので、該当箇所に起因する損害はすべて自己責任となります。

これらの区分けが分からない、また、「専用使用部分」において、自己負担になるのか、管理組合の負担になるのか分からない事例は、あらかじめマンションの規約等で範囲やルールを確認しておくことが大切です。一方で管理組合は、問題が起きてから責任の所在や負担先を考えるのではなく、事前に様々な事態を想定し、ルールを決めておくと良いでしょう。


QUESTION 01あるお宅の窓ガラスが台風で割れたときは管理組合の負担で交換してもらえたのに、我が家の網戸に穴が開いたときは自費で張り替えるよう言われました。なぜですか?

網戸は「専用使用部分」なので、通常の使用に伴うものや不注意により破損した場合の修繕は居住者の自己負担になります。一方、台風等の災害による被害の場合は、管理組合で費用を負担し修理します。管理組合で費用を支出した場合は、なぜ管理組合からお金を出して修理したかという理由が後々重要になってきますので、その点もきちんと記録しておきましょう。


QUESTION 02契約したマンションの駐車場には、不特定多数の車を止めても構いませんか?

勤め先で使っている営業車を止めたり、来客用駐車場として使ったりする想定だと思いますが、駐車場=「専用使用部分」とはいえ、契約車両以外の車は止められません。通常、契約車両以外の車両が駐車されている場合には無断駐車としての対応となりますので、いつも違う車両が止まっていると管理に支障が出てくるでしょうし、万が一、事故が起きた場合に加害者を特定できないなどのリスクも考えられるので、規約に記されていない限り、例外は認められません。


QUESTION 03ベランダは「専用使用部分」なので、タバコを吸っても問題ないですよね?

「専用使用部分」であるということは、同時に「共用部分」でもあります。そのため、ベランダは火気厳禁につき喫煙自体を禁止としていることが一般的です。実際、喫煙により近隣の居住者が迷惑している場合、受動喫煙防止の観点からも管理組合からの注意に従わなければなりません。 なお「専有部分」で、例えば室内の換気扇の下でタバコを吸っている場合等についても臭いによるトラブルなどはありえますが、管理会社としては、「専有部分」内での喫煙は個人の自由であるため、お願いベースで「場所を変えていただけないか」「時間帯を調整していただけないか」等と相談する程度となり、対応が非常に難しい問題となっています。

QUESTION 04郵便受けの鍵が壊れてしまいました。故意に壊したわけではないし、「共用部分」なので管理組合の負担で修理してもらえますよね?

郵便受け(集合ポスト)は「専用使用部分」にあたるので、修理の費用は自己負担です。ポストを開け閉めする頻度は人それぞれ。すべての郵便受けの鍵が一斉に壊れたわけではなく、また、居住者以外は個々の鍵を開けないため、あくまでも“通常使用”の範囲内とみなされることが多いようです。

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