マンションにおけるテレビの受信方法を知ろう
テレビ放送が始まったのは、今から63年前の1953(昭和28)年2月1日で、当時は白黒でした。カラー放送が始まったのは、1960(昭和35)年9月10日からです。
もともとテレビは各世帯にアンテナを設置して電波を受信し視聴するのが一般的でした。ケーブルテレビは、テレビの電波が届かない地域への対策(難視聴対策)として誕生したもので、1955(昭和30)年に群馬県伊香保温泉で初めて始まりました。その後、地上デジタル放送への移行をきっかけにケーブルテレビは急速に普及し、現在の加入世帯数は50%を超えています。
では、マンションでは、どのようにテレビを受信しているのでしょうか。
Q1マンションでの受信方法は?
電波や信号を共同で受信しています。
マンションでは、戸建てのように各世帯がアンテナを設置するのではなく、電波や信号を共同で受信してテレビを視聴しています。これを「テレビ共聴システム」と言い、主に、「アンテナ方式」と「ケーブルテレビ方式」の2つがあります。
「アンテナ方式」は、建物の屋上に設置したアンテナでテレビ放送の電波を受信し、それを信号に変換して視聴する方式です。
一方、「ケーブルテレビ方式」は、ケーブルテレビ会社のアンテナでテレビ放送の電波を受信し、ケーブルテレビ網を通じて各家庭に届けられたものを視聴する方式です。最近ではケーブルテレビ方式を採用するマンションが増加しています。
Q2各戸にはどのようにテレビ放送が届くの?
増幅器や分配器などを通って届きます。
「アンテナ方式」の場合は、建物の屋上に地上デジタル放送用のアンテナとBS/CS放送用のアンテナが設置されているのが一般的です。アンテナで直接受けた電波が信号に変換され、「同軸ケーブル」を通じて「増幅器(ブースター)」や「分配器」などを経由し、各世帯のテレビ端子に信号が届きます。「増幅器」は電波が弱い場合にテレビ信号を増幅する役目を、「分配器」はテレビ信号を均等に分ける役目をしています。
一方、「ケーブルテレビ方式」は、ケーブルテレビ会社が電波を受信し信号に変換して各地に送信します。マンションでケーブルテレビの信号を受け取るためには、最寄りの電柱に敷設された分岐器(タップオフ)からケーブルで引き込み、落雷などによる異常電圧から周辺機器を保護するための保安器を設置する必要があります。なお、保安器から先の仕組みは基本的にアンテナ方式と同様です。
Q3ケーブルテレビ方式のメリットは?
周囲の環境や天候に左右されないことです。
ケーブルテレビ方式のメリットは、もし近隣に高層の建築物が建っても電波障害の心配がない点や強風・大雪などの悪天候によりテレビの映りが悪くなることがない点です。災害時にも強く、リアルタイムでの災害情報発信にも活用されています。
デメリットは月額の利用料金がかかる場合があることです。また、ケーブルテレビ会社の営業対象外区域では、導入できない場合もあります。
Q4テレビ共聴設備の寿命ってあるの?
アンテナや増幅器などの設備には寿命があります。
アンテナや増幅器などのテレビ共聴設備も年々劣化します。設備が古くなるとテレビの映りが悪くなったり、設備故障が発生してテレビが全く映らなくなったりすることもあります。それぞれのマンションの設置環境や使用状況などにより異なりますが、アンテナや増幅器は概ね10~15年で取り換えが必要になります。
テレビ共聴設備(アンテナ方式)
UHFアンテナ
地上デジタル放送の受信用アンテナ。電波が来る方向に先端を向ける。
BS/CSアンテナ
BSとCS放送の受信に必要なアンテナ。衛星のある南西方向に向ける。
保安器
落雷などでケーブルに異常電圧がかかったときに周辺機器を保護する。
増幅器(ブースター)
配線が長かったり、信号の分配数が多かったりすると次第に信号が弱まるため、これにより増幅する。
分配器
テレビ信号を、周波数を変えずに同じレベルで複数に分けるための機器。各系統・各部屋に分配する。
テレビ端子
室内まで届いた信号を取り出す機器。ケーブルでテレビとテレビ端子を接続することでテレビが映る。
テレビ共聴設備にまつわる常識・非常識
テレビが映らなくなったらマンション全体の問題だ。
テレビが映らない場合、ご家庭内に不具合がある時とマンションの設備に不具合がある時があります。まず、他の部屋にテレビがあれば、電源を入れて映り具合を確認してください。もし、他の部屋のテレビも映らない場合はマンションの設備に問題が起きている可能性があるので、管理員や管理会社に連絡し、他の住戸の状況等を確認してもらいましょう。
メンテナンスは不要だ。
アンテナ方式の場合、点検を実施するのが望ましいのですが、実際は不具合が起きた際に原因調査や修繕などを行うマンションが少なくありません。突然テレビが見られなくなることのないように、年に1度はテレビ共聴設備も定期点検することをおすすめします。
ケーブルテレビ方式の場合は、ケーブルテレビ会社と管理組合が定期的なメンテナンス契約を結んでいる場合があります。メンテナンスを行う際には、室内に立ち入ることもあります。その際は、ケーブルテレビ会社から事前に連絡があるので、日程を調整して在室するようにしましょう
機器の修繕費用はケーブルテレビ会社がすべて負担する。
ケーブルテレビ方式の場合、保安器まではケーブルテレビ会社の所有物、そこから先は管理組合の所有物なのが一般的です。契約内容にもよりますが、通常、修繕費用は、保安器までに起きた不具合はケーブルテレビ会社が負担し、保安器から先の機器に不具合が生じた場合は管理組合が負担します。長期修繕計画にも費用項目を入れておきましょう。
4K・8K放送を受信する場合、高周波数帯による配信となるため、マンション共用設備であるアンテナ、ブースター、分配器、配線等(各戸内端子も含む)が周波数に対応する機器でなければなりません。また、ご自宅内の配線やテレビも対応型が必要です。現在の機器の取り換えが必要な場合がありますので、事前に確認が必要です。(ケーブルテレビの場合もケーブル会社に確認が必要です。)
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