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特集 結露のない暮らし【前編】

マンション生活

結露発生のメカニズムを知ろう

結露は、壁や床を汚すばかりか、湿気を好むカビを繁殖させ、ダニの発生原因になります。そのうえ、建物自体を傷める厄介な敵です。
特に気密性が高く、窓の少ないマンションでは切実な問題。対策にあたってはまず、結露はなぜ発生するか理解することが大切です。
空気中には水蒸気が含まれていますが、含むことのできる量(飽和水蒸気量)は、気温が高いほど多く、低いほど少ないという性質があります(グラフ参照)。
そのため、水蒸気を多く含んだ暖かい空気が急に冷やされると、それまで空気中に保たれていた水蒸気があふれ、水滴となって現れます。これが結露です。

冬場、外気と接した窓に結露が多く発生するのも、室内の暖かく湿った空気が、窓付近で冷やされるためです。
そのため、結露対策の第一は、室内で余分な水蒸気を発生させないこと。こまめに換気をして湿気をためないことです。

例えば、室温20℃・湿度約60%の空気(A)が12℃まで冷えると、室内の水分量は変わらなくても湿度100%の状態になる(B)。さらに室温が下がると、空気中の水蒸気があふれ、結露となって現れる(C)

ONE POINT温・湿度計で最適な環境をキープ

「気温20度・湿度50%」は、カビやダニが発生しにくく、乾燥からも身を守る、快適な室内環境といわれています。普段、湿度を意識しない方でも、「温・湿度計」を使えば一目瞭然。湿度に気を配る生活をはじめてみませんか

身近にできる結露対策。カギは“換気”と“除湿”

室内には、キッチン、浴室など、水蒸気の発生源がいたるところにあります。結露を抑えるには、それらの場所を把握し、水蒸気の発生を極力抑えること。そして、湿った空気を屋外に放出することが重要です。
特に、24時間換気システムのないマンションの場合は、こまめに窓の開閉をしましょう。その際、対角線上にある窓を同時に開けることがポイントです。風の通りが良くなり、効率的に室内の湿気を屋外に放出できます。
また、水蒸気の発生源以外の部屋も、こまめな換気を忘れずに。水蒸気には平準化しようとする性質があるため、隙間などを通って別の部屋にも流れていくからです。


風の通り道をつくる

窓を1カ所だけ開けても、風はなかなか流れていきません。入口と同時に出口をつくり、風の通り道をつくりましょう。窓が1つしかない場合は、換気扇や扇風機を併用することで、風の流れを生み出すことができます。


換気扇は常に回しておく

鍋や炊飯器などからは大量の水蒸気が発生します。換気扇は水蒸気の発生源近くで回すのが原則ですが、できれば常に回しておきましょう。近くの窓を少し開けると、そこが吸気口となり、換気効率が上がります。


加湿器の使用は最低限に

冬場の乾燥対策として、加湿器は必需品。でも、過度の加湿は室内に無用な水蒸気を発生させ、結露の原因に……。湿度を意識してバランスよく使用しましょう。

ONE POINT除湿機

除湿剤や湿気取りでは、除湿できる量に限界があります。その点、「除湿機」を使えば効率よく除湿が可能です。エアコンの除湿機能も活用しましょう


インドアグリーンは適度に

部屋にうるおいを与える観葉植物も、ある程度の大きさや数になると、水蒸気の主要な発生原因になります。大量の植物や水槽を置くのは控えましょう。


暖房器具はエアコンを使う

石油ストーブやガスファンヒーターなど、燃焼系の暖房器具からは大量の水蒸気が発生します。暖房器具はエアコン、ホットカーペットなど電気式のものがおすすめです。


室内干しは結露の大敵

日中、洗濯ができないご家庭では、室内に洗濯物を干すケースも多いはず。しかしこれでは大量の水蒸気が発生します。室内や浴室に干す際は、必ず換気扇を回しましょう。


クローゼットはスペースにゆとりを

クローゼットや押入れなどの密閉された空間は要注意。湿気は侵入していくのに対して、空気はさほど循環しません。晴れた日に引き出しを開け、滞留した水蒸気を外部に放ちましょう。ウォークインクローゼットも、ぎっしりと洋服をぶらさげず、風の通り道をつくることがポイントです。


浴室は水蒸気の大きな発生源

浴室を使う場合、使用中はもちろん、使用後もしばらく換気扇を回し続けておきましょう。また、入浴後は湯船のフタを閉じ、入口のドアをきちんと閉めることで、水蒸気の流出を抑えることができます。

ONE POINTサーキュレーター

クローゼットや浴室、洗面所など、風通しの悪いスペースは、サーキュレーターや扇風機を上手に使うことで、滞りがちな空気を循環させることができます

Adviser

渋谷 和徳さん

株式会社LIXIL
営業カンパニー リフォーム企画部

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