秋は、夜空が深く濃く澄み渡り、1年で最もお月さまがきれいに見える季節です。秋になったら、まずは夜空を見上げてお月さまを見つけてみましょう。三日月や半月だった月が徐々に満ちてゆき、昔から人々が「中秋の名月」と愛でてきたお月見の日、「十五夜」がやってきます。 平安時代から、お月見の行事は2度行うものとされてきました。最初は9月中旬から10月上旬のころに満月となる「十五夜(中秋の名月)」。日本でも有名なお月さまです。それから、十五夜から約1か月後に楽しむ「十三夜」。この2つのお月見を楽しみ、収穫への感謝の気持ちを捧げるのは、とても縁起の良いこととされてきました。 今年はぜひ、シンプルなものでも良いので飾り付けをし、お月見の風雅なひとときを2度楽しみましょう。きっと、幸せな気持ちがひたひたと満ちてきて、日々の暮らしがキラリと輝き始めます。
そもそも年中行事とは……
節分や桃の節句、端午の節句など、毎年特定の日に繰り返し行われ、人々の生活との結び付きが強い日本の伝統文化「年中行事」は、毎月のように巡ってくることをご存じですか? 年中行事では、豊作を祈り、収穫を祝うだけでなく、厄を祓い、運を呼ぶことで、家族や自分が幸せ過ごせるようにと願いを込めます。
「年中行事は毎月幸せになれる魔法」
七段飾りの雛人形や大きなこいのぼりを飾るのはステキですが、飾るのも片付けるのも大仕事。飾ることのハードルが高くなると、何もせず終わってしまうこともあるのではないでしょうか。ですが、玄関やテーブルの上、部屋の片隅にスペースをつくり、年中行事のちょっとした飾り付けをしてみると、平凡な毎日が驚くほどキラキラと輝き出します。これは実際に行動してみないと実感できないことですので、ぜひご自身が気になる行事・飾り付けから気軽に始めてみてください。
この記事では、「年中行事の魅力(年中行事が持つ7つの力)」をお伝えすると共に、飾り付けで日常に季節感を取り入れる、そんなご提案をしていきたいと思います。

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目次
「十五夜」「十三夜」と2度楽しめる秋の夜の「お月見」
- 十五夜を「中秋の名月」と呼ぶのはなぜ?
- 十五夜のお月見のいわれは?
- 十三夜を愛でる日本独特の美学
- 平安貴族は水に映った月を愛でて楽しみました
- 番外編コラム 今も全国で行われている「月見の宴」
- 両方の月を見ると縁起が良いお月見
お月見は収穫への感謝をささげる日
- 「芋名月」と「栗名月・豆名月」
月見団子を作りましょう
- 月見団子のレシピ
- 十五夜と十三夜で違う月見団子の数と並べ方
- お供えする団子の数と並べ方
思いが月に届くお月見の飾り付け
- 月見団子
- ススキ
- つるもの
- 黄色いピンポンマム
- 手拭い
- 和菓子
まとめ
十五夜、十三夜と2度楽しめる秋の夜の「お月見」
十五夜を「中秋の名月」と呼ぶのはなぜ?
現代の9月は、旧暦(昔の暦)では8月にあたります。旧暦は7、8、9月が秋とされていたので、8月は真ん中にあたるので「中秋」。そして、8月15日の十五夜は、秋の澄み切った夜空に輝く、ひときわ美しい満月なので「中秋の名月」と称えられるようになりました。
十五夜のお月見のいわれは?
十五夜のお月見は、もともとは昔の中国から伝わってきたものです。中国には、旧暦8月15日に月を愛でながら、詩歌を詠んだり、楽器を演奏したりして楽しむ「中秋節」という行事がありました。それが日本に伝わったのは平安時代のことです。
十三夜を愛でる日本独特の美学
十五夜の次に美しい月とされたのは、約1ヶ月後に訪れる「十三夜」の月です。十三夜のお月見は、同じく平安時代に始まった日本独自の風習。満月の2日前の少しだけ欠けた月に美しさを見出すのは、日本の美学であり、日本人の美意識です。
平安貴族は水に映った月を愛でて楽しみました
当時の宮中では、十五夜と、翌月の十三夜に「月見の宴」が催されました。 屋敷から月を見上げるだけではなく、池に舟を浮かべて漕ぎ出し、水面に映った月をながめたり、お酒を注いだ盃に月を映して月見酒としたり。月とお酒を粋に心ゆくまで楽しんだようです。
番外編コラム今も全国で行われている「月見の宴」
現在でも、中秋の名月にちなんだ催しが全国のお寺や公園などで行われています。中でもおすすめなのが、愛知県名古屋市の徳川園で、毎年開催される「月を掬う徳川園観月会」です。旧暦の十五夜に合わせた2日間、庭園内にある龍仙湖に月見飾りを乗せた和舟が浮かべられます。夜空に輝く中秋の名月と、ライトアップされた湖上の和船の共演は、古のお月見がしのばれる、とても幻想的なものです。
両方の月を見ると縁起が良いお月見
平安時代の昔からお月見は、十五夜と翌月の十三夜の両方の行事を合わせて楽しんできました。片方しかお月見をしないことを「片見月」というのですが、両方のお月見をしてこそ縁起がよく、運も満ちてくるといわれています。
「でも、雨だったらどうする?」と疑問に思われるかもしれません。たとえ、十五夜・十三夜に雨が降っていたとしても、雨雲の向こうでは月が煌々と明るく輝いているはずです。雲の向こうのお月さまに思いをはせながら、お月見の飾り付けを見れば、お月見を十分楽しむことが出来るでしょう。
お月見は収穫への感謝をささげる日
平安時代に始まったお月見の年中行事は、江戸時代に入ると、一般の人々にも広く伝わりました。当時は多くの人が、作物を育て収穫するという農耕生活をしていました。その中で、どのタイミングで作物を植え、育て、いつ収穫するかの目安にしたのは、月の満ち欠けをベースにした暦でした。
つまりお月さまは、農耕作業のベストなタイミングを教えてくれる大切な存在だったのです。
ですから、江戸時代に入ると、お月見はただ月を愛でるだけではなく、収穫への感謝を月の神さまにささげる儀式となっていったのです。
そのため、お月見には“お米の粉で団子をつくりお供えする”ことが習わしとなりました。
「芋名月」と「栗名月・豆名月」
十五夜の時期には、当時主食の一つとして重宝されていた里芋が旬を迎え、たくさん獲れました。ですから、十五夜の夜に里芋をお供えし、月の神さまに感謝の気持ちをささげました。十五夜のことを「芋名月」といういわれは、そこから来ています。
同じく、翌月の十三夜の時期には、栗と豆が収穫のピークを迎えます。そこで十三夜には、栗や豆をお供えしたため、「栗名月」「豆名月」と呼ばれるようになりました。
月見団子を作りましょう
お月見には、団子粉または米粉を買ってきて、月見団子を手作りしてみましょう。
月見団子は、お月さまの満月の姿にちなんで形を丸くします。同じ大きさに丸く形を整えるのはちょっと難しいかもしれませんが、作り方はとても簡単です。
最初は形などあまり気にせず、数をつくってお皿などに並べ、窓辺に飾ってみましょう。月明りが差し込む夜に、団子やススキなどを思いのままに飾ることで、不思議と気分が落ち着つき、きっとステキな時間を過ごすことができるはずです。
なお、月見団子はお月見が終わったらこんがり焼いて、しょうゆを付けて食べる楽しみがあります。熱々で香ばしくて、とてもおいしいです。
月見団子のレシピ
~材料~
- 団子粉または、米粉:150g(1袋)
- 水:120~130cc
~作り方~
- ボウルの中の団子粉に水を加え、耳たぶほどの柔らかさにこねる。
- こねた団子粉を直径2~3cmほどのゴルフボールくらいの大きさと形に丸める。
- 大きめの鍋にお湯を沸騰させ、その中に丸めた団子を入れる。
- 3分ほどすると浮き上がってくるので、完全に浮き上がったら冷水に取り、ざるに上げて水気を切る。(冷水の中に氷を入れておくと、なおよし)
- 三方や皿に盛り付ける。
十五夜と十三夜で違う月見団子の数と並べ方
月見団子は三方に盛るのが正式です。三方というのは白木でできたお供え用の台で、三方に穴が開いています。どこの家にもあるものではないので、お盆やお皿に盛り付けてお供えするのでも十分です。
お供えする団子の数と並べ方
十五夜の場合は、団子の数は15個。簡単にする場合は5個にします。
十三夜の場合は、お供えする団子の数を13個にします。簡単にする場合は、3個でもOKです。並べ方は十五夜のときの②までと同じで、1段目に9個、その上に4個並べます。3個の場合は自由に並べましょう。
思いが月に届くお月見の飾り付け
お月見の飾り付けで代表的なものはススキと月見団子ですが、「こうでなくてはいけない」という決まりはありません。収穫への感謝をお月さまにささげるために、そのときに調達できる旬のものを用意して、飾りましょう。大切なのは飾る気持ちです。ここでは飾り付けのヒントになるものを7つご紹介します。
月見団子
手作りすれば楽しいですが、忙しくて時間がないという場合は、和菓子屋さんやスーパーなどで買ってきた月見団子を飾るだけでもOKです。
ススキ
ススキを飾るのは、その年に収穫される稲穂の代わりです。お月見の時期にはお米の収穫が間に合わないので、代わりに稲穂に似たススキをお供えするようになりました。ちなみにススキは、昔から魔よけ、厄除けの力があると信じられてきました。
つるもの
「つるもの」とは、たとえばブドウのつるや豆のつるのように、つるが伸びて実がなる植物や野菜のことをいいます。「つる」には、「月の神さまとつながる」「ご先祖さまとつながる」という意味が込められます。つるものを飾れば、お月さまやご先祖さまが身近な存在に感じられ、守っていただいていることへの感謝の気持ちが湧いてきます。
黄色いピンポンマム
お月見の季節には、花屋さんに黄色く丸い、小さな月のようにまん丸で可愛らしいポンポン菊とも呼ばれるピンポンマムが並びます。窓際に1輪飾ると、まるでお月さまが輝いているようにも見えます。
手拭い
以前の記事でもご紹介したように、年中行事にちなんだ手拭いは、各地の手拭い専門店で手に入ります。お月見の手拭いもいろいろな図柄がありますので、お気に入りの手拭いを見つけたら、お部屋の壁に飾るだけで、一気にお月見の雰囲気に包まれます。
和菓子
和菓子屋さんには、和菓子職人が作るお月見にちなんだ練り切りが用意されていたりします。そのほか栗饅頭や栗のお菓子など、お皿に盛って飾るだけでも十分です。年中行事にちなんだ飾り付けをすることで、いつもと違う優雅な時間が流れはじめることでしょう。
飾り付け完成!
これらのヒントを元に、その時に調達できるもので自由に飾り付けてみましょう。 竹ざるやお盆、今回の三方など、飾り付けに使えそうなグッズを少しずつ集めると、飾り付けがより楽しくなります。

まとめ
今回は、平安時代から続く、秋の夜空をロマンチックに彩る十五夜、十三夜のお月見についてご紹介しました。季節が移り、秋の虫の音が聞こえるようになったら、楽しみながら少しずつお月見の準備をしてみましょう。ご家族でお月見団子作りにチャレンジするのも良いですし、近くで観月会の催しがあれば、足を運んでみるのも一つです。今年のお月見は、夜空に浮かぶ美しい月を見ながら、自然の恵みに感謝しつつ、心穏やかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
撮影協力
小ざくらや一清(本店)
愛知県名古屋市中村区草薙町1丁目89
Adviser

井垣 利英(いがきとしえ) (株)シェリロゼ代表取締役、人材教育家、マナー美人塾塾長
名古屋生まれ、東京在住。中央大学法学部在学中からフリーアナウンサーとしてテレビ出演。2002年(株)シェリロゼを起業。
起業以来【社員研修】や【自分磨き講座】で、3万人以上の指導を行う。『世の中に必要とされる仕事に、誇りと自信を』と掲げ、働く人の心に火をつける社員研修を行っている。
やる気とマナーを上げる日本で唯一の専門家。
著書は、稲盛和夫氏推薦の『仕事の神様が“ひいき”したくなる人の法則』(致知出版社)、『プリンセス・マナーブック』(大和書房)など19冊。テレビ出演、メディア取材400件以上。
シェリロゼ オフィシャルサイト
YouTube(井垣利英チャンネル)
Instagram(@igaki_etiquette)
編集協力/中西后沙遠(なかにしみさお) 撮影/森武志
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