整理収納アドバイザー水谷妙子さんが考える、「家族が笑顔になる暮らしの整え方」についてお届けしています。第8回目のテーマは「子ども部屋」について。「子ども部屋づくりは『手持ち家具』と『慣れた仕組みの継続』で少しずつ整える」です。水谷さんが実践していることを教えていただきました。
目次
- ポイント① 小学6年生への進級目前に、個室を用意。家具の新調は最小限に抑えました
- ポイント② 動線と収納は丸ごと変えない。これまでの生活の延長線上で整え、順応しやすく
- ポイント③ 収納棚は荷物を置きやすいワイド幅を選択。出し入れの負担をできる限り軽減
- ポイント④ 子ども部屋の工夫あれこれ
- ポイント⑤ 毎日完璧に片づけられなくてもいい。できることに目を向け、褒める努力をしています
ポイント①小学6年生への進級目前に、個室を用意。家具の新調は最小限に抑えました
水谷さんのお子さんは現在、小学6年生、3年生、1年生。これまではリビングに隣接する洋室をキッズスペースにして、3人分の学用品やおもちゃ、着替えを収納していました。
「子ども部屋をつくると決めたのは、娘が小学6年生に進級する少し前のこと。自宅での学習時間が増えたことと、自分だけの空間が欲しいという要望に応える形になりました。」
水谷家の間取りは4LDK。キッズスペースとして使っている部屋以外は使い方を固定せず、暮らしに合わせて変えてきたそうです。
「整理収納サービスで訪れた多くの家で、子ども部屋が物置部屋になってしまっている様子を見てきました。だから、個室を設けるのは必要に迫られたときでいい。そう考えていたんです。今回は、家族みんなで寝ていた5畳の部屋を子ども部屋につくり変えることにしました。」
個室づくりは数ヵ月かけてじっくりと。もともと2台あったベッドのうち1台を隣室に移動させ、汚れていた壁紙を塗り直し。娘さんの希望に合わせてくすみピンクの塗料を用意し、自分たちで塗り変えました。
スモールサイズのベッドは以前から使っていたもの。机も手持ちのコンソールテーブルを活用しています。
「勉強するには天板が小さいかもしれませんが、まずは家にあるものでやってみようと考えました。使いにくさを感じて新しく購入することになったとしても、こうやって試しておけば天板の広さや脚の高さなどの希望がより具体的になると思っています。」
ポイント②動線と収納は丸ごと変えない。これまでの生活の延長線上で整え、順応しやすく
子ども部屋をつくるにあたり意識したのは、何もかも一度に変えないこと。
「娘の持ち物は、キッズスペースから個室へ移動。ものの置き場所が変わることになります。子どもからすれば、何がどこにあるのかを把握するだけでも大きな負担。だから、収納に関しては大きく変えず同じものを意識して残しています。」
その一例が、クローゼット。キッズスペースではIKEAのトロファストに靴下や下着を収納していました。今回つくった個室でもそのまま同じスタイルです。
「洋服収納は、成長に伴い少しずつアップデートしてきました。最初はトロファストでの畳み収納。ワンピースなど丈の長い衣類が増えてからは一部をハンガーに掛け、トロファスト収納を併用するスタイル。この個室には扉つきクローゼットがあるので、同じようにハンガー掛け+トロファスト収納で整えました。」
トロファストの引き出しは軽く、中身を把握しやすい奥行きと高さ。子どもはクローゼットの扉を開けるだけでも面倒に感じる場合があるので、できるだけアクションを少なくサッと出し入れできるほうがいいと水谷さんは考えています。
ポイント③収納棚は荷物を置きやすいワイド幅を選択。出し入れの負担をできる限り軽減
今回の個室づくりで新調した大きな家具は、収納棚のみ。教科書などの学用品とランドセル、習い事用バッグを収納するためのものです。無印良品のスタッキングシェルフ・ワイド・3段と正方形タイプの3段を組み合わせました。
正方形タイプではなくワイド幅を選んだのは、かさばる荷物を出し入れしやすくするためです。
「キッズスペースでは、ランドセルをフックに掛けて収納していました。でも高学年になると教科書なども増えてランドセルは重くなり、フックに引っ掛ける余裕もないような日もあります。6年生はさらに忙しくなることが分かっていたので、ランドセルはなるべくラクな収納にしたいという思いがありました。」
スペースにゆとりがあるワイド幅。ランドセルの向きを気にせずドサっと置くことができます。
「大人の感覚だと、置き場所を決めたら、そこにきちんとしまうことが当たり前だと思いがち。でも子どもは必ずしもそうではありません。ランドセルをしまう余裕がないときでも、できるだけしまいやすくしてあげたいと思っています。」
ポイント④子ども部屋の工夫あれこれ
ここからは、子ども部屋で取り入れている小さな工夫について教えていただきます。
デスクライトは天板を広く使えるクランプタイプに
「通常の学習机と比べると天板が小さいコンソールテーブル。できるだけ広く使えるように、スペースを圧迫しないクランプタイプ(ネジのついたコの字型の金具で天板などを挟んで固定する)のデスクライトを探しました。これはオーム電機のもの。スリムで邪魔にならないのに、学習に必要な明るさの規格を満たしている(JIS規格AA型)ことも決め手になりました。」
推しのコレクションアイテムは壁に飾る
「娘がコレクションしている、キャラクターのアクリルスタンドは、飾る場所を用意。ただ集めて保管するよりも、飾って眺めることで愛着が湧き、ものを大切にする気持ちも高まるように思います。活用したのは、無印良品の壁に付けられるアクリルディスプレイ コの字型です。透明のアクリルは圧迫感もなく、気軽に位置移動や増設ができて便利です。」
エアコンのリモコンはドアにつけたポケットに収納
「個室を設置してからしばらくの間は、エアコンの消し忘れが何度もありました。部屋を出る前に気がつくよう、ドアノブにリモコンを引っ掛けて収納しています。使っているのは、ダイソーの蛇口に掛けるスポンジポケット。もともとキッチンの収納用品ですが、リモコンを入れるのにちょうどいい幅と深さです。」
ポイント⑤毎日完璧に片づけられなくてもいい。できることに目を向け、褒める努力をしています
子ども部屋をつくると決めてから、もうすぐ1年。水谷さんと娘さんは、少しずつ整理収納に取り組み、より使いやすくなるよう改良を続けています。
「個室を設けたところで急に何もかもできるようになるわけではありません。しかも6年生は勉強や習い事で忙しく、なかなか自由な時間が取れない日々。毎日きっちり部屋が片づいていなくてもいいと私は思っています。」
気持ちにゆとりがないときは、本が棚上に積み上がっていたり、ジャンパーやバッグが棚から落ちそうになっていたり。
「正直に言うと、私としては散らかりが気になるときもあります。でも少し冷静になると、床に置きっぱなしではなく棚に戻しているだけでもすごいこと。これだけやれていれば十分だと思えるのです。」
子どもが片づけられないと、ついイライラしてしまうのは、親としての自分が否定されているような感覚になるからではないかと水谷さんは考えます。
「これは片づけに限った話ではありません。子どもはまだ成長過程で、成長には個人差もあります。子どもの評価イコール親の評価というわけでもないはず。自分と子どもは違う人間。今、子どもができることに目を向け、できていることはしっかり褒めて、これからの成長を見守っていければと思っています。」
教えてくれた人
水谷妙子さん
整理収納アドバイザー1級。夫と小学生の子ども3人の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」 やインスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。
撮影/木村和敬(blowup studio) 取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS)
佐藤望美執筆者
ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も小学生の子ども2人の子育てに奮闘中。
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