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お片づけのプロ水谷妙子さんの暮らしの整え方<食育編>

暮らし

整理収納アドバイザー水谷妙子さんが考える、「家族が笑顔になる暮らしの整え方」についてお届けしています。第7回目のテーマは「食育」について。「無理せず続けられる、まごわやさしい食事へシフト。食べ物と暮らしがどうつながっているのかは日常会話で伝える」です。水谷さんが実践していることを教えていただきました。

目次

  • ポイント① 朝食はパンから和食へ。「まごわやさしい」食材を取り入れています
  • ポイント② 朝食の用意は、前日の夕食作りと一緒に。朝は温める&切るだけ
  • ポイント③ 毎朝ほぼ同じでもいい。家族みんな食べられるメニューであることが優先
  • ポイント④ 小学生の食育は「体験させる」「遊びながら学ぶ」。できることはたくさんあります

ポイント①朝食はパンから和食へ。「まごわやさしい」食材を取り入れています

水谷家の朝ごはんは、和食スタイル。以前はトーストやフルーツを食べていましたが、半年ほど前に切り替えました。

「夫の健康診断で思わしくない結果が出てしまい、食生活を見直してみようということになりました。長女が小学校高学年になって家庭科の授業が始まり、食事への意識が高まったことも影響しています。」

水谷さんが最も心掛けているのは、「まごわやさしい」という和食の基本となる食材を摂ること。

「ま」は豆類、「ご」はごまなどの種実類、「わ」はわかめなどの海藻類、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」はしいたけなどのきのこ類、「い」はいも類を指しています。娘さんが小学校の先生から教えてもらったことをきっかけに、家でも取り入れてみることにしたそうです。

朝食のメニューは乾物などを混ぜ込んだおにぎり、魚料理、ゆで卵、野菜スティック、味噌汁です。その日の体調やお腹の空き具合に合わせて、家族それぞれが牛乳や納豆、ヨーグルトを自由に追加します。

「夫と私でうまく作業を分担しながら、できる限り手間を省いて用意しています。食事は毎日のことだし、続けられないと意味がないと思っているからです。」



ポイント②朝食の用意は、前日の夕食作りと一緒に。朝は温める&切るだけ

いくら体にいい食事でも、時間をかけて毎朝作るのは大変です。続けることが大事なので、前夜のうちにできることはやっておくのが水谷家流。

「基本的に、夕食は私の担当。夕食を作るついでに朝食の味噌汁も用意しておきます。2鍋作ることになりますが、わざわざ具を変えたりはせず、時短優先で油揚げの油抜きもしません。味噌こしも使いません。朝食用の味噌汁鍋は、冷めたら冷蔵庫に入れておきます。」

おにぎりも、慌ただしい朝に家族5人分を握る時間はないので、夜のうちにラップフィルムに包んでおくそうです。

「炊飯器に残っているご飯に桜エビやごまなどの具を足し、ラップフィルムに包んで冷凍しておきます。混ぜご飯にしているのは、料理の品数を増やさずまごわやさしい食材を効率よく摂れるから。ひとつひとつ握ると手間がかかるため、大きめに切ったラップフィルムの上にご飯をのせて、ひとつ分ずつねじるだけの簡単おにぎりです。」

夜のうちにしておく準備はここまで。朝食はご主人の担当です。朝は卵をエッグスチーマーにセットし、野菜スティックにするパプリカを包丁で切るだけ。味噌汁は温めなおし、ラップフィルムおにぎりは電子レンジで解凍します。

「和食スタイルに切り替えた当初は、鍋で卵をゆでていました。でも夫は他の家事や朝の支度を同時進行で進めたいタイプ。火の元を気にせずゆで卵を作れる方法はないかと夫婦で相談し、電源タイプのエッグスチーマーを導入することにしました。わが家が使っているのは、コイズミのエッグスチーマープラスです。これならキッチンを離れても安全。しかも洗い物を減らせるし、ガスコンロや電子レンジをふさぐことなくゆで卵を作れるようになりました。」

ゆで卵は手軽にたんぱく質を摂れる一品。水谷家の朝食では、魚料理もたんぱく質補給のために取り入れています。

「毎日魚を焼いたり煮たりするのは大変です。手間をかけずに魚を食べる方法を考えた結果、電子レンジで温めるだけのレトルト食品に落ち着いています。」

水谷さんがよく購入するのは、セブンプレミアムとヤマフマルシェの商品。数種類の魚を温めてカットし、5人で分けて食べています。



ポイント③毎朝ほぼ同じでもいい。家族みんな食べられるメニューであることが優先

水谷家の朝食は、月曜から土曜まで同じメニューで固定。毎朝違う料理を出すとなると、献立を考えたり、食材買い出しの手間がかかったりと負担が大きくなるからです。

「メニューを固定すれば必要な食材も自ずと決まるので、買い物がラクになります。家族が5人もいれば、それぞれ好き嫌いや食の好みも違います。誰かの好みに偏りすぎず、全員が問題なく食べられるメニューを考えて今のスタイルに落ち着きました。例えばエビは次男の大好物ですが、長男は苦手。でも桜エビなら食べられるので、おにぎりの具材に使っています。」

ちなみに日曜は息抜きの日。今の朝食を嫌々食べているわけではないものの、好きなものを気兼ねなく食べられる日を残しておくことは大事です。水谷家の場合はご主人がパン好きなので、お気に入りのベーカリーで購入したパンやスコーンを楽しんでいるそうです。



ポイント④小学生の食育は「体験させる」「遊びながら学ぶ」。できることはたくさんあります

現在、お子さんたちは小学校6年生、3年生、1年生。毎日の手伝いはお皿運びなどが中心で、ごはん作りを積極的に行っているわけではありません。それでも、火を使わず混ぜるだけで完成する和えものを任せたり、夕食後のおにぎり作りに挑戦してもらったりと、今できることから進めています。

「おにぎりは、乾物などの具材を混ぜ込むのを見ているだけでも大きな学びになっていると思います。お米もそう。私の実家は米農家なので、田植えを体験させる機会も可能な限り作るように。『小さなお米1粒からこんなにたくさんの実がつくんだよ』『じいじが頑張って育てたお米なんだよ』などと、日頃の食卓と体験が紐付くような声かけは普段から意識しています。どれだけ食育に役立っているのか、どの程度理解しているのかはまだ分かりません。でも、日常的に食べているものがどうやって作られ、食卓にやってくるのかを考えるきっかけになればと思って続けています。」

食材の名産地を知るのに役立っているのが、日本の地理・産業カード。

「長女が小学5年生のときに学校で使っていた社会科資料集の付録です。各都道府県の地理や産業が紹介されていて、都道府県クイズを楽しめるようになっています。例えば庄内平野の米作り、花笠まつり、さくらんぼ生産量日本一といえば何県? と質問し、子どもたちが回答。夕食や朝食のメニューに登場した食材に関連する都道府県クイズを出すと、食卓は盛り上がります。」

クイズにしてしまえば楽しく覚えられるし、家族旅行で実際にその県を訪れる機会があれば、「クイズにあったよね」と実体験を通してさらに深く学ぶことができそうです。

日々のごはん作りも食育も、とにかく無理のない範囲で続けられることをやる。これが水谷家のモットーです。

「健康にいい、体のためになると分かっていても、毎日手作りするのは難しい。私たちの暮らしのなかで、やれる範囲のことをやっていこう。そんな思いです。食育も楽しく続けられたらと考えています。」



教えてくれた人

水谷妙子さん

整理収納アドバイザー1級。夫と小学生の子ども3人の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」インスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。

撮影/木村和敬(blowup studio) 取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS)

佐藤望美執筆者

ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も小学生の子ども2人の子育てに奮闘中。

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