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誰にも聞けなかったマナー講座 食事のマナーのウソ&ホント

暮らし

いつもよりちょっと雰囲気のいいお店で食事をするとき、「食べ方はこれでいいのかな?」と迷ったことはありませんか? 食事のマナーは、一つ一つ納得できる理由に裏付けされた合理的な所作です。マナーを押さえておくことで、自然ときれいな食べ方になり、ステキな人になれます。あなたの食事のマナーを、改めて確認してみましょう。

目次

  1. おしぼりの使い方
  2. 器の持ち方
  3. 割り箸の扱い方
  4. 料理の取り分け方
  5. 食事中の会話の仕方
  6. お椀の蓋の置き方
  7. 汁物を食べる時
  8. ナプキンの扱い方
  9. グラスの扱い方
  10. 脚つきのグラスの持ち方
  11. パンの食べ方
  12. パスタの食べ方
  13. ティースプーンの扱い方

1.おしぼりの使い方

口周りを拭くときはおしぼりを使う?

ウソ!

おしぼりはあくまでも手を拭くものです。唇にソースなどがついて気になるときは、お店が用意してくれている布のナプキンや紙ナプキンを使って拭きましょう。見当たらないときは、ポケットティッシュを使うとよいでしょう。

おしぼりで顔を拭いたり、首を拭いたりするのもNGです。
また、テーブルに水などをこぼしてしまったときは、おしぼりで拭かずに、お店の人にお願いして拭いてもらいましょう。


2.器の持ち方

お醤油の小皿は持ち上げる?

ホント!

手のひらに納まる器は、持ち上げて食べるのが和食の基本です。
例えば、お刺身を食べる場合、お醤油の入った小皿を持ち上げながら食べるようにしましょう。お刺身に付けたお醤油が垂れて下に落ちないようにするためです。
手をお皿のような形にしてあごの下あたりに持ってくる「手皿」は、一見上品に見えるかもしれませんが、NGです。

また、お寿司をいただく場合も、お刺身と同様に、お醤油の入った小皿を持ち上げ、酢飯ではなく寿司ネタの部分に少しだけつけていただくのが正しい食べ方です。天ぷらの天つゆ皿も同様です。

マナーこぼれ話➀手のひらに納まらない大きな器の場合はどうする?

手のひらに納まらない大きさの器は、テーブルの上に置いたまま食べるのが基本です。できるだけ手前に置いて、お箸とは反対の手を添えていただくようにします。


3.割り箸の扱い方

割り箸は立てて左右に割る?

ウソ!

割り箸を割るときは、相手に見えないくらいの高さ、テーブルの下の位置で割り箸を横向きにして持ち、上下に引っぱるようにして割ります。割り箸を割ったあと、箸置きがない場合は紙の外袋で箸置きを折り、箸を揃えて置くとよいでしょう。

マナーこぼれ話➁割り箸の箸袋で箸置きつくる方法

➀箸袋を3等分し、両サイドから折り込む。
➁これを真ん中で半分に山折り。
➂両端を三角に谷折りにし、細長い台形を作る。
➃両端の三角の部分を開いて、中に折り込む。
➄しっかり形を整える。
➅テーブルに置いて、箸をその上に置く。

手順➀~➅を参考にぜひやってみてください。


食べ終わったら割り箸を箸袋に戻す?

ホント!

食事が終わったら、割り箸を箸袋に戻します。このとき、箸袋の端は写真のように折りましょう。使用済みという合図になります。 (箸袋で箸置きを折った場合は、元の箸袋の形に戻します。)

マナーこぼれ話➂天削げ箸は向きを揃えて置く

割り箸には色々な形がありますが、持ち手側の端が削げた天削げ箸(てんそげばし)をテーブルの上に置くときには、箸の向きに注意しましょう。
写真のように向きがバラバラなのは見た目が美しくありません。削げた部分がそろって上を向くように置きます。


4.料理の取り分け方

大皿から料理を取り分けるときはお箸を逆さにして使うとよい?

ウソ!

大皿の料理を取り分けるときは、逆さ箸(上下を逆さにして使うこと)にするのはNGです。逆さ箸は、直箸よりもマナー的によくありません。お店の人にお願いして、取り分け用の箸をもらいましょう。

マナーこぼれ話➃自分の飲んだもの、食べたものは相手に勧めないのも心遣い

ご自身が食べてみて美味しかったものを「食べてみて」と、自分の食べかけのものを相手に勧めていませんか? 
好意でやっているつもりでも、残念なことに相手は断れないだけで、本当はイヤだと思っている場合もあります。マナーとしてもNGなので、やめておくことをおすすめします。


5.食事中の会話の仕方

食べている最中に話しかけられたら、手のひらで口元を隠して答える?

ウソ!

口に食べ物を入れたまま喋るのは、口元を手のひらで隠していてもNGです。もし、食べている最中に質問されたり、話を振られたら、手のひらを相手に向けて「待ってのポーズ」をしましょう。そうして、口の中のものを飲み込んでから、話をするようにします。

会話を中断して、相手を待たせることなく「楽しく会話しながら食事をする」には、最初から口に入れる量を少なめにすることが大切です。一口サイズは親指の第一関節くらいの大きさがベスト。このくらいの量なら、噛んで飲み込むのにそれほど時間がかからないので、スムーズに会話を続けることができるのです。


6.お椀の蓋の置き方

お椀の蓋は内側を、上にして置く?

ホント!

汁椀が出された場合、蓋は内側を上にしてお椀の右奥に置きましょう。お椀の蓋の内側を下にしてテーブルに置くのはNGです。お椀の蓋を開けたら、蓋の内側を上向きにして両手で持ち、お椀の右の奥側にそっと置きましょう。

マナーこぼれ話➄お椀の美しい開け方

蓋を開けるときは、一方の手をお椀に添え、利き手で「の」の字を描くように回しながらゆっくり静かに開けます。蓋の内側には水滴がついているので、それを落すイメージで行います。それでも開かない場合は、無理に力を入れたりせず、「蓋が開かないので、開けていただけませんか?」と言って、お店の人を呼びましょう。


食べ終わったあと、蓋はお椀に乗せる?

ホント!

食べ終わったら、テーブルに置いた蓋を両手で持ち上げ、音をたてないように、元通りにお椀に蓋をします。蓋を戻したお椀は、少し右上の位置にずらしておきましょう。位置をずらすのは「食べ終わりました」という合図になります。


7.汁物を食べる時

汁物をいただくときは、目線は相手の方向に向ける?

ウソ!

汁物をいただくときの目線と箸先は、お椀の中に向けるのが正しいマナー。箸を手に持ったまま汁物をいただくのも、話を聞くために上目遣いで相手を見るのもNGです。


8.ナプキンの扱い方

レストランで、膝に広げたナプキンで口を拭く?

ホント!

ナプキンには「膝に広げて服を汚さないように」という意味もありますが、汚れた手や口を拭くためのものでもあります。うっかり唇にソースがついたままにしていると、水やお酒などグラスの中身が濁ってしまうことも……、手も口も汚れたらその都度ナプキンで拭いてキレイにしておきましょう。


ナプキンを襟にかけたり、ベルトに挟んだりしてもよい?

ウソ!

布ナプキンや紙ナプキンを拡げて、襟にかけたり、ズボンのベルトに挟んだりしている男性をたまに見かけますが、これはマナーとしてNGです。ナプキンは膝に広げるのが正しい使い方です。

マナーこぼれ話➅口や手を拭きたいときのナプキンの使い方

2つ折りにしたナプキンは、折り目のほうをお腹側にして膝に広げます。重なったナプキンの中側を使って口や手を拭くことで汚れた部分は周りに見えません。口を拭くときは体を少し斜めに傾けて、ナプキンの角の部分で拭きましょう。そのとき、唇をゴシゴシ擦らず、押さえるようにして拭きます。

マナーこぼれ話➆大判のハンカチを持ち歩きましょう

お店にナプキンがないときのために、大判のハンカチを持ち歩くことをおすすめします。さりげなく大判のハンカチを出して膝に広げる仕草はステキなもの。ぜひやってみてください。


9.グラスの扱い方

グラスについた口紅は親指で拭き取る?

ウソ!

グラスに口紅がついてしまったとき、親指で拭き取る人がいますが、あまりきれいな振る舞いとはいえません。
外で人と食事をするときには、落ちない口紅をつけたり、食事の前に化粧室でティッシュで唇を押さえ、口紅がグラスにつかないよう軽くオフすることをおすすめします。

万が一、口紅がグラスについて「あっ」と思ったら、ナプキンで口を拭いて、次からはつかないように気を付けましょう。


10.脚つきのグラスの持ち方

脚つきのグラスは手で包むように持つ?

ウソ!

脚があるグラスは、脚を持つのが原則です。手でグラスを包むように持つ、いわゆるブランデー持ちは、手のぬくもりで温めて飲むためのもの。ブランデー以外はNGです。長い脚つきのグラスは、冷えた飲み物が手のぬくもりで温まらないように、脚がついています。

マナーこぼれ話➇脚つきグラスのステキな持ち方

テーブルに置かれたグラスの脚の部分を、指先を揃えた4本の指と親指とで挟みます。そのままスッと持ち上げると、とてもスマートな仕草に。グラスの脚を「指先を揃えて挟む」のがポイントですが、慣れないと少し持ちにくいかもしれません。ここぞというときにうまくできないのは残念ですから、家でも脚つきのグラスを使うようにして、練習しておきましょう。


11.パンの食べ方

丸いパンはそのまま手に取ってバターをつけて食べる?

ウソ!

パンは一口サイズ(親指の第一関節の大きさ)にちぎり、その都度バターを塗っていただくのがマナーです。フランス料理店などでは、個別のパン皿にパンを乗せてくれますが、このとき、そのままパンに直接バターを塗ってかじりつくように食べるのはNGです。

パンを食べる時に気を付けたいのは、少し離れたところにあるパン皿を自分の正面に移動させないことです。洋食では、器を持ち上げること自体がNGです。パン皿が少し遠くても動かさず、肉料理など他の料理のお皿の上でちぎるようにしましょう。

マナーこぼれ話➈テーブルに置かれたパンはいつ食べる?

パンはお皿に置かれてからメイン料理が終わるまで食べて大丈夫です。スープやサラダ、前菜などの食事が運ばれてくる前に食べ始めてよいことになっています。基本的におかわりも可能ですが、おかわりをしたら残さないのがお店に対するマナーです。


12.パスタの食べ方

パスタを食べるときはスプーンとフォークを使う?

ウソ!

パスタ(スパゲッティ)はフォークだけで食べるのが正解。パスタの本場イタリアでは、スプーンとフォークを使ってスパゲッティなどのパスタを食べるのは、子どもやキレイに食べることができない人だけ。基本的に大人はフォークのみで食べます。

マナーこぼれ話➉パスタをキレイに食べるコツ

パスタ皿には外側と内側の境に小さな段差があります。パスタを食べるときは、この段差を利用すると、フォークだけでもキレイにパスタを巻くことができます。
フォークで巻き取るとき、パスタは3、4本を目安にすると、ちょうど食べやすい量となります。


13.ティースプーンの扱い方

紅茶を飲むとき、スプーンは手前に置いたままにする?

ウソ!

紅茶のスプーンはカップの向こう側に置きます。砂糖やミルクを入れる場合には、スプーンでかき混ぜた後、カップの向こう側に音を立てないようにそっと置くようにしましょう。砂糖やミルクを使わない場合でも、飲み始める前にカップの向こう側に移動させるようにします。カップがスプーンに当たって音がしてしまうのを防ぐためです。


まとめ

食事のマナーのウソ&ホント、改めて確認してみていかがでしたでしょうか? 食事のマナーはお料理をキレイに食べる方法でもあります。また、自分で意識して身につけようと思わない限り、身につかないものでもあります。いつでも自然に出来るように、家で食べるときなど、普段からマナーを意識してみましょう。マナーが身についていると一緒に食事をした方や、お店の方からも一目置かれ、ステキな人に見られること間違いなしです。

Adviser

井垣 利英(いがきとしえ) (株)シェリロゼ代表取締役 、 人材教育家、 マナー美人塾塾長

名古屋生まれ、東京在住。中央大学法学部在学中からフリーアナウンサー としてテレビ出演。
2002年(株)シェリロゼを起業。20年間で2万人を指導。自社の【会話美人講座】【マナー美人塾】でマナー、プラス思考、話し方などを指導。また全国の企業で、社員研修や講演会を年間100本ほど行う。
やる気とマナーを上げる日本で唯一の専門家。
著書は『ふんわりと上昇気流に乗る生き方』(サンマーク出版)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など19冊。

シェリロゼ
https://www.c-roses.co.jp/
YouTube
https://www.youtube.com/user/104toshia

 

編集協力/中西后沙遠(なかにしみさお) 撮影/森武志

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