長年にわたって捨てられずにいたものや、あることさえ忘れていた不用品はありませんか? 本当に必要なものだけを残し、住み慣れたマンションでの暮らしをより心地よいものにしましょう。
子育てが終わり、定年後の生活が視野に入る50歳前後から、第2の人生をスタートさせようと家の中を片づける人が増えています。しかし、マンションには押し入れの天袋など奥行きのある収納も多く、何がしまってあるのか忘れている人も少なくありません。
まずは、自分が持っているものを把握し、増えすぎたものの中から、自分や家族に必要なものを選択。生活動線を意識して、それらが使いやすくなるよう収納しましょう。ものを探さない部屋を作ることで安心・安全な部屋になり、時間や体力、心にもゆとりを持てるようになります。

覚えておきたい!片づけの心得5カ条
心得1気力・体力・時間には限りがある
何十年としまい込んだものと向き合い、整理するには大変な気力・体力が必要です。「家の片づけは定年後に」という方も多いですが、できれば若くて体力がある40代後半から50代のうちに始めるのがおすすめです。
心得2過去の自分への執着を捨てる
昔買った高価なブランド品も、使う機会がなければタンスの肥やしに。「懐かしい!」と思わず声をあげたものは、すなわち今日まで忘れていたもの。もう一度使うチャンスを待つよりも、記憶にだけとどめて、思い切って処分を。
心得3子供の自立は片づけの絶好のチャンス
これまでにかけた愛情や時間、情熱を思うと、就職や結婚で巣立っても、子供のものは捨てにくいもの。しかし、思い出の品をすべて残すことはできません。箱1つ分などとあらかじめ分量を決めてセレクトするか、写真として残すのも1つの方法です。
心得4不用品という“負の遺産”を残さない
いずれ自分がいなくなったとき、残された大量の不用品を片づけるのは家族です。客布団や多すぎる食器、衣類など、「これが残ったら大変だろう」と思うものは少しずつ整理し、家族に“負の遺産”を残さないよう心がけたいものです。
心得5片づけた後の理想の暮らしを書き出す
なりたい自分を想像し、それを実現するために整理するのが、片づけ本来のあり方。「広々とした部屋で家族団らんを」「モデルルームのような部屋に」など、どんな部屋でどのように暮らしたいかを紙に書き出すと、作業の原動力に。
STEP01仕分けする
下の図を参考に、まずは今あるものを整理しましょう。最初は、引き出しや財布の中など小さな場所からでもOK。仕分け作業は体力を使うので、あらかじめ作業時間と仕分けする場所を決め、終了後の休息時間も必ず設けましょう。

すべて出して並べる

持っているものの量を視覚的に把握することで、捨てる必要を認識したり、忘れていたものの存在に気づくことができます。
選択肢1人にあげる・寄付する
必要としている人に使ってほしいものは、「あげる」のラベルを貼った箱や紙袋へ。受け取る側の気持ちになって判断し、食料品は賞味期限の確認を忘れずに。
選択肢2迷っている
どうしても捨てたくないものは、思い出ボックスに入れて一時保留。ただし、ボックスの数は1個まで。不用かどうか判断する時間も20秒程度に制限しましょう。
→1年後に見直す
一時保留の箱に入れたものは1年後に見直し、使わなかったものは処分へ。時間をおくと気持ちの整理ができて捨てやすくなります。

選択肢3いらない
過去3~5年以内にまったく使わなかったものや壊れたもののほか、重くて扱うのが大変、使うのに手間がかかり、この先使う可能性が低いものなども、迷わず処分を。
→ゴミとして処分
各自治体のルールに沿って処分します。一度に大量のごみを出すと他の居住者の方に迷惑になるので、数回に分けるのがマナーです。

選択肢4いる
日常的に使っている、またはシーズンに1回以上出番があるものは残しましょう。着物や先物買いした子供服などは、5年以内に使っている姿が想像できれば、残してOK。
→使いやすくしまう
数量や大きさによって種類ごとにまとめ、使用頻度にあわせてグループ分けします。必要であれば収納グッズを活用してもOK。


ネットオークションやリサイクルショップへ
状態が良いものは、ネットオークションやリサイクルショップを活用する方法も。レコードや美術品、ゴルフ用品などを出品する50 ~ 60代の方が増えていて、年配の方向けの講座も人気だそうです。
なかなか捨てられないものBEST3
1位 衣類 | 過去の自分に執着したり、「もしかしたら痩せるかも」「いずれブームが再燃するかも」と、未来に期待し捨てられない方が多数。 |
---|---|
2位 食料品 | 「頻繁に買い物に行けないから」と買いだめする方が多く、「誰かが来たときのために」と買っておいて、賞味期限切れに気づかないケースも。 |
3位 調理器具・食器類 | 子供が巣立った後でも、家族全員分のカトラリーや大皿、使わない大きな鍋などがそのまま収納棚の多くを占めている場合もあり。 |
イラスト/山口絵美 取材・文/坂井仁美
Adviser

中山 真由美さん整理収納アドバイザー
片づけた家の数は2,000軒以上。個人宅を対象とした整理収納サービスにとどまらず、企業の収納コンサルティングやセミナー講師としても活躍。『50歳からのリセット整理術』(集英社)など著書多数。
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