コロナウイルスの感染拡大により自粛生活が日常となった今、心身ともに不調を訴える人が増えています。この“おこもり不調”、実は体の異常ではなく、自粛生活によって変化した食生活に原因があるかもしれません。内科医の工藤孝文先生に、不調のメカニズムと対処法について話を聞きました。
教えてくれたのは

工藤孝文先生みやま市工藤内科
院長
福岡大学医学部卒業。みやま市工藤内科で診療を行うほか、全国で生活習慣病の講演会などを行っている。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたる。
血糖値の乱高下が不調を招く原因に
“おこもり不調”とは、長い自粛生活の影響により、肩こりや頭痛、だるさといった体調面のほか、理由もなくイライラする、やる気が出ないなど、メンタル面での不調を抱えた状態のこと。このような状況に置かれると、人間の体は緊急事態と認識して過食に走り、甘いお菓子やご飯、パンなどの糖質を摂りすぎてしまいます。これは、糖質を摂ることで、脳内麻薬といわれるエンドルフィンと、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が促進され、一時的にハッピーな気分になるためです。
しかし一方で、糖質過多になると血糖値は急上昇します。すると今度は、血糖値を下げようとインスリンがどんどん分泌されて、血糖値は急下降。すると、強い空腹感やイライラなどが起こり、再び糖質を摂りたいという欲求に駆られます。
つまり、血糖値の急上昇→インスリンの分泌→血糖値の急下降→糖質大量摂取→血糖値の急上昇……という負の不調スパイラルに陥るのです。また、このスパイラルが続くと、糖尿病などの生活習慣病や精神疾患のリスクも高くなります。

レモン果汁が血糖値の上昇を抑制
糖質過多による体調不良を改善するには、血糖値をコントロールすることが大切で、そのために効果的といわれているのがレモン果汁。これは、レモン果汁に含まれるクエン酸を主体とする有機酸およびポリフェノールが、血糖値の上昇抑制に関与しているからだと考えられています。実際、食前に30gのレモン水(レモン果汁30gを150mlの水で希釈したもの)を飲むと血糖値が下がるという研究結果も報告されるなど、血糖値の上昇抑制にレモン果汁が効果的であることが分かっています。

Masayuki yagi,et al:Effect of the postprandial blood glucose on lemon juice and rice intake
食事の前にレモン果汁を摂取する習慣を
“おこもり不調”を遠ざけるための近道は、レモン果汁を普段の食生活に取り入れ、習慣化することです。食事のたびにレモン水を作るのが大変であれば、市販のレモン炭酸水でもOK(ただし、レモン果汁が入っているもの)。アルコールが好きな方は、グラスにお酒を注ぐ際にレモン果汁をプラスしましょう。また、ドレッシングやソースにレモン果汁を入れて補う方法もおすすめです。
お手軽! レモン果汁を使ったレシピ
レモネード
材料(作りやすい分量)
- レモン果汁…大さじ1
- はちみつ…大さじ1
- 水…150ml
作り方
グラスにレモン果汁、はちみつを入れてよく混ぜ合わせ、水を加えて混ぜる。
レシピにははちみつが含まれます。1歳未満の乳児には与えないでください。

レモンドレッシング
材料(約1カップ分)
- レモン果汁…60ml
- サラダ油…120ml
- 塩…小さじ2
- 砂糖…小さじ1
- こしょう…適量
作り方
ボウルにレモン果汁、塩、砂糖、こしょうを入れてよく混ぜ合わせ、サラダ油を加えてさらによく混ぜる。

取材・文/木内貴子
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