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コロナ禍で新たな課題! 治療が終わっても続く倦怠感や疲労感… もしかしたら“コロナ後遺症”かも!?

健康・美容

私たちの生活を一変させ、今なお世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス。感染した人の多くは、陰性と診断された後、以前と変わらない日常を送っています。しかしその一方で、後遺症に苦しんでいる人々がいることをご存知ですか? 気になる“コロナ後遺症”とはどのようなものなのか、専門家に話を聞きました。

教えてくれたのは

平畑光一先生ヒラハタクリニック
理事長/院長

山形大学医学部卒業。東邦大学大橋病院消化器内科で大腸カメラ挿入時の疼痛、胃酸逆流に伴う症状などについて研究。胃腸疾患のほか、膵炎など、消化器全般の診療にたずさわった。2008年よりヒラハタクリニック院長。2020年春、新型コロナ後遺症外来を設立。

https://www.hirahata-clinic.or.jp/covid19

倦怠感と疲労感がコロナ後遺症のサイン

感染者の多くは、高熱や咳などの症状が治まり陰性と診断された後、健康な体とかつての日常を取り戻します。しかし、感染した人のうちの約1割は、その後も後遺症で苦しんでいます。
後遺症の症状は、長引く微熱、咳、味覚障害など多岐にわたりますが、なかでも多いのは倦怠感と疲労感です。新型コロナ後遺症外来を設立して以来、当院には後遺症を訴える患者さんが1400人以上訪れていますが、そのうち約94%の方が、この2つの症状を訴えています。

後遺症を訴える方々には、倦怠感や疲労感を覚えても「陰性と判断され、治癒したのだから…」と、無理をして仕事や家事をこなしてしまう傾向がよく見られます。しかし、それこそが悪化と長期化の原因。だるいという症状は周囲に分かりづらく、単なる怠慢だと誤解されることも多いですが、本人にとっては日常生活に支障をきたすほど深刻な症状であり、結果的に精神的に追い詰められてしまうことも少なくありません。

女性のほうがコロナ後遺症になりやすい

コロナ後遺症の研究が進んでいるイギリスの大学の研究チームによると、コロナ後遺症のリスクは男性より女性のほうが高いことが分かりました。はっきりした理由はまだ明らかになっていませんが、自己免疫系の病気は女性のほうが多いので、そういったことも関係しているかもしれません。当院の患者さんを見ても、女性は男性の約1.4倍。年代別に見ると、30~40代が多くの割合を占めています。

ひとりで抱え込まず、専門医に相談することが大切

コロナ後遺症の代表的な症状である倦怠感と疲労感ですが、なぜそこまで注視しなければならないか。それは、『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)』という病気に移行するリスクが高いからです。コロナ後遺症では、入浴するとクタクタになってしまう、ドライヤーさえ重くて持つことができないなどの症状がよく見られますが、それらの症状がより重く、長期間続くのが『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)』です。実は、2002年に中国を中心に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の収束後にも『筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)』の患者が多発したことが報告されています。

コロナウイルス感染症の主な症状が改善した後で、もし倦怠感や疲労感を覚えたら、まずはコロナ後遺症の専門医による診察を受けること。現実には、まだ後遺症患者を救うところまで医療体制が整っていませんが、それでも相談できる窓口は少しずつ増えています。差別などを恐れ、声をあげることが難しい現状もあるでしょう。しかし、それでも体を休めることを最優先し、専門医との二人三脚で完治を目指すことが大切。それこそが、後遺症の長期化を防ぐことへの第一歩です。

取材・文/木内貴子

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