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我が家の習慣を見直して今日から実践! お金が貯まる生活術 30代~40代の老後資金

暮らし

(イラスト/山口絵美)

人生100年時代という、長生きの時代に生きる私たち。30代~40代の方にとっては少し先のことかもしれませんが、「老後資金」が気になっている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、前回の50代~60代編に続き、30代~40代の方が、老後資金を準備して安心を手に入れるための4つのステップをご紹介します。

01世の中の「現状」を知る

少し前に、「老後資金として2,000万円が必要」という試算結果が話題になりました。これは、「長寿命化が進む今、資産形成には自助努力も必要で、今の高齢者のデータから、これくらいはあるといいですよ」というメッセージです。ただ、あくまで「平均値」なので、老後資金として誰もが2,000万円必要というわけではありません。人によって、もっと少なくてもいい人、もっと多く必要な人もいるのです。なぜなら、老後をどう暮らしたいかなどによって、準備すべき金額は大きく異なるからです。

30代~40代の人にとって、老後の生活イメージはなかなかつきにくいかもしれません。しかし一つ言えることは、現在の物価高が続いていけば、今の高齢者よりも老後資金はもっと必要になる可能性があるということ。それを頭に入れつつ、早めに老後資金の準備を始めることが賢い選択でしょう。一方で、老後までまだまだ時間があることはラッキーな点でもあります。今からプランを立てて貯め始めれば、早めに安心を手に入れることができます。

02自分の「現状」を知る

次に、自分のお金まわりについてじっくり確認しましょう。確認したいことは、以下の3つです。

  1. 老後に月いくらで生活したいか
  2. 老後いつまで働くか
  3. 将来受け取れる年金はどれくらいか

一つ目の老後の生活費については、月20万円で足りるという人と、月100万円以上使いたい人とで準備すべき金額が異なります。現在の月の生活費を計算してみて、大まかで構いませんので、「老後は毎月どれくらい必要かな?」とイメージしてみましょう。
二つ目の老後いつまで働く予定か、という点も、老後資金を考えるうえで非常に重要です。おすすめは、できるだけ長く働き続けること。老後の定期的な収入が月数万円でもあるかどうかで、生活費のゆとりが大きく変わるからです。
三つ目の将来受け取れる年金についても確認しましょう。年1回、誕生月に届く「ねんきん定期便」は、40代までの方は「現在納めている保険料に対して、受け取れる年金額の目安」が書いてあるため、具体的な金額とは少々異なります。そのため、「公的年金シミュレーター」へアクセスして、調べてみることをおすすめします。「ねんきん定期便」に書いてある2次元コードをスマホで読みとり、アクセスしてみてください。案内通りに入力していくと、自分が将来受け取れる年金のイメージが確認できます。先ほどの「いつまで働くか」を入力したり、今後収入が増減したり、年金を受け取る時期をずらしたりした場合など、予定をいろいろ変えてみることもできます。それに応じて受け取れる年金が増減するので、ぜひ試してみてください。

この3つについて確認できたら、準備すべき老後資金が大まかに見えてきます。仮に、老後に必要なお金が月30万円だとして、受け取れる年金が月22万円だと分かれば、老後は差額の月8万円を、貯蓄から取り崩して使うことになります。
老後の期間を30年間(65歳~95歳)とすると、月8万円×12か月×30年=2,880万円が、老後資金として準備しておきたい金額になります。

03退職金を確認して「貯めるべき老後資金」をチェック

では、老後に必要な金額として、ざっと3,000万円貯めていくプランを立ててみましょう。ここで確認しておきたいことが、「退職金が出るか、どれくらい出るか」です。転職などによって見通しは今後変わるかもしれませんが、ひとまず現状で調べてみましょう。勤務先の総務などで、「老後のマネープランを立てているので、大まかな退職金の目安を教えてください」と聞いてもいいと思います。もし退職金で1,800万円受け取れる見込みだと分かれば、3,000万円から引いて、老後資金として準備すべきお金は1,200万円になります。

04目標金額に向けて貯めていく

では、老後資金として1,200万円を貯めていく具体的なプランを立てて実行していきましょう。今後物価高が続いていくことを考えると、超低金利の預貯金だけでなく、投資についても検討したいところです。物価が上がり、企業の収益が上昇すれば、株価も上がる可能性が高まります。投資にはリスクがありますが、幅広い商品に投資をして、少額で少しずつ積み立てをしていけば、リスクを抑えてリターンを安定させることにつながります。積み立てで幅広く投資をする場合は、投資信託を活用することもおすすめです。投資をする場合、増えることもあれば減ることもあるため、少額からじっくり、コツコツと長く続けていくことが望ましいでしょう。

現在35歳の方が60歳になるまで25年間あります。仮に、預貯金で月1万円、投資で月2万円を積み立てていく場合を試算してみましょう。
投資では、NISAの「つみたて投資枠」を利用して、世界中の株式に投資するタイプの投資信託を積み立てていく場合で考えてみます。状況によって変わりますが、預金は金利0.3%、投資では年利4%で試算します。

  • 預貯金で月1万円(金利0.3%)…1万円×12か月×25年=約311万円
  • 月2万円で投資し、年利4%で25年間積み立てた場合…約1,028万円

金融庁HP「つみたてシミュレーター」で試算

合計で、約1,339万円です。
退職金が出るケースでは、準備すべきお金は1,200万円でしたので、このペースで貯蓄と投資をしていけば大丈夫そうだと分かります。退職金が出ないことが分かっている場合は、老後資金を早めに準備して、多めに積み立てていく必要があります。

まとめ

30代~40代の方にとって、老後はまだまだ先の話ですが、退職の時期が近づいて「老後資金が足りない!」と慌てることのないように、早めにマネープランを立て、少しずつ準備をしていくことで、安心感を得られるでしょう。準備する時期が早ければ早いほど、そこに費やすお金も少額ずつで済みます。 ぜひステップ1~4について確認したうえで、準備を始めてみてください。

プロフィール

西山 美紀ファイナンシャルプランナー・コラムニスト

単に貯蓄額を増やすのではなく、日々にうるおいをもたらせてくれるようなお金の使い方・貯め方・増やし方について発信中。取材・コラム執筆・記事監修・講演等を行う。お金や心、幸せなどの研究をするため、現在早稲田大学人間科学部健康福祉科学科(eスクール)で学んでいる。
著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)のほか、『お金の増やし方』(主婦の友社)等。

https://www.nishiyamamiki.jp/

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