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誰にも聞けなかったマナー講座 ステキな人間関係を築く「コミュニケーションのマナー」

暮らし

家族や友人、恋人など、誰かと一緒にレストランに行ったとき、席についてから食事を待つ間、あなたは何をして過ごしていますか? 一緒に行った相手と会話を楽しむという方も多いのではないでしょうか。一方で、近年では一緒の席に座っていてもお互いに自分のスマホを出して操作している光景をよく目にするようになりました。「自分もそうしているかも」と思い当たる方、ちょっと立ち止まって「コミュニケーション」について考えてみませんか? 今回は、「会って話すこと」の大切さを再確認するとともに、電話や手紙、メールやLINEといったコミュニケーションの方法ごとに、ステキな人間関係を築くためのコミュニケーションの取り方の気遣いとマナーについてご紹介します。

目次

01コミュニケーションの基本は会って話すこと

  • 「会って話をする」ときのポイントは?
  • 人と食事をするときにスマホをテーブルに置いてませんか?

02電話で話をしましょう

  • 「今話せる?」とひと言確認すればOK
  • 心の中の思いは声に表れる

03もっと手紙を書きましょう

  • 形式にこだわらず、自分らしく自由に
  • <コラム> メッセージカードのススメ

04メールのお約束

  • メールで込み入った話はNG
  • ネガティブな表現は避けよう

05好感の持てるLINEの使い方


01コミュニケーションの基本は会って話すこと

コミュニケーションの方法はいろいろありますが、良い人間関係を築くため、より大切にすべき順番は、1番目が会って話をすること。2番目は電話で話すこと。3番目に手紙を書くこと。この後かなり間が空いて、4番目にメール、5番目がLINEやメッセンジャーといった短文のやり取りです。

どれもコミュニケーションの方法ではありますが、相手に伝わる熱量には大きな違いがあります。一番印象深く、相手との理解を深め、結びつきを強くするのは「会って話をする」ことです。 相手の顔を見て、目を見て話すのが、コミュニケーションの基本です。LINEで頻繁にやり取りができているから大丈夫と安心せずに、このコミュニケーションの基本を大切にしましょう。

「会って話をする」ということは、相手のことを大切に思っているという意思表示にもなります。相手に会おうとすること自体、「あなたを大切にしている」という思いが相手に伝わる一番の方法だからです。そして、相手に対して仲良くなりたいという思いがあるからこそ、お互いに良い人間関係を築くことができるのです。

「会って話をする」ときのポイントは?

ポイント①「会いたい」と自分から連絡してみる

会って話したいと思ったら、自分から連絡して「会いたい」という気持ちを素直に相手に伝えましょう。電話、メール、LINE、連絡手段はどれでも構いません。

ポイント②会ったときは笑顔で

会っている時は、「あなたに会えてうれしい」という気持ちを伝えるためにも、笑顔が大切です。ずっと笑顔がないままだと、つまらなそうに見えてしまいます。こちらが笑顔で話していると、相手も自然と笑顔になり、会話も弾みやすくなるでしょう。

ポイント③「相手7割:自分3割」の法則

「相手の話をしっかりと聞くこと」は円滑なコミュニケーションを取るためにとても大切です。具体的に“しっかりと”とはどんなイメージかというと、「相手の話を聞く時間が7割、自分が話す時間は3割」です。しっかりと話を聞いてもらえると、相手は「自分のことをわかってもらえた」と思い、「会えて良かった」という気持ちが生れます。
「相手の話をしっかりと聞くこと」は、相手に興味を持つということ。前のめりになって、笑顔で相槌を打ちながら、分からない部分は質問しながら、相手の話を聞くということです。

人と食事をするときにスマホをテーブルに置いてませんか?

誰かと一緒に食事をしているとき、スマホをテーブルの上に置いておくのは、「あなたと食事をするよりスマホが気になっています」と示しているようなもの。相手にとても失礼なことですし、マナーとしてもNGです。誰かと一緒に食事をするときや、会っているときは、マナーモードにして、音が鳴らないようにしてからバッグに入れておくのがマナーです。連絡待ちをしているなど、どうしてもというときは、相手にひと言断りを入れる配慮があるとよいでしょう。



02電話で話をしましょう

「今話せる?」とひと言確認すればOK

良い人間関係を築くために、2番目に大切にしたいのが「電話で話す」ことです。
「会って話す」のがなかなか難しい場合は、電話をかけてみましょう。

「電話したら迷惑かも」という心配は、あまり必要ありません。
実際に立て込んでいるときは、相手は電話に出ないものです。

いざ電話がつながったら「今話せる?」と、まずは相手の都合を確認します。「今、電車の中なので、降りたら電話します」「〇時だったら大丈夫」など、相手の都合を教えてもらえたら、改めて連絡し直しましょう。

心の中の思いは声に表れる

電話によるコミュニケーションで覚えておきたい大切なことは、「声には表情がある」ということです。電話の第一声はとても重要で、「笑顔で元気よく」が基本です。
笑顔で発する声は、笑顔の声としてちゃんと相手に伝わります。これを「声の表情」と言います。「顔の表情」=「声の表情」です。

例えば、顔が見えないからとブスッとした顔で話すと、ブスッとした声になります。顔が見えない分、笑顔を意識しないと、笑顔の声にはなりません。

電話の向こうの相手に向かって、「ありがとうございます」と言うとき、思わずお辞儀をしてしまうことがありますが、それは相手に感謝の気持ちを伝えるために大切なことです。電話のこちら側のあなたの態度が、そのまま相手に伝わるからです。電話をかけるときは直接会っているときよりも意識してポジティブな気持ちを表現して、相手に自分の思いを伝えてみましょう。



03もっと手紙を書きましょう

3番目に大切にしたいコミュニケーションは「手紙」です。手紙は受け取った人の心に印象深く残ります。最近では手紙を出す人が少なくなってきているため、希少価値が高まり、手紙を受け取るとより嬉しいと感じるようになりました。

なぜ手紙が大切かというと、手書きの文字には書く人の体温が乗る、つまり温かみが伝わるからです。文字以外にも、便箋や切手、使う筆記用具にもこだわりが出て、その人の思いや個性、人柄が手紙に映し出されます。

口下手で自分の思っていることをなかなか言葉にできない人でも、手紙やハガキなら、時間をかけて文章を考えて、相手に伝えたい思いを書くことができるのではないでしょうか。

形式にこだわらず、自分らしく自由に

手紙を書くとき、昔ながらの「拝啓」「敬具」といった手紙の形式にこだわることはありません。自由にのびのびとした書き方で、素直な自分の思いを伝えましょう。

それでも書き方に迷うといった方は、こんな風に書いてみてはいかがでしょうか。
冒頭に〇〇様と相手の名前と、「こんにちは」などの挨拶の言葉を書きます。続いて、季節や旬の話題に触れながら「お元気にお過ごしですか」と尋ねてみましょう。
最後は「またお会いできる日を楽しみにしています」など、これからのことに話題を向け、「お体を大切に」と相手を気遣った言葉で結びます。

大切なのは、心を込めて、読んだ相手が楽しく明るい気持ちになれるような話題を選び、素直な思いを言葉にすること。例えあまり字を書くことに自信がない方でも、丁寧に書きさえすれば、相手に思いは伝わります。自分らしい手紙を書いてみましょう。

メッセージカードのススメ

手紙と同じく、相手との心の距離を縮めてくれるのがメッセージカードです。
例えば、誰かにプレゼントを渡すときには、「〇〇が好きだと聞いたので」といった、プレゼントを選んだ理由などを書いたメッセージカードを、包みの中に入れることをおすすめします。ほかにも、相手の行為を「ありがたい」「嬉しいな」と思ったときには、素直な感謝の気持ちをメッセージカードに綴って、相手にその思いを伝えましょう。

井垣先生が、「富士山が見える」というアナウンスをしてくれた新幹線の車掌さんに手渡した、感謝の思いが綴られたメッセージカード。(再現)


04メールのお約束

メールで込み入った話はNG

大切な連絡やまとまった資料を送るときなどに使われるメール。仕事では基本的なツールですが、メールで気をつけて欲しいことは「お詫びや相談事といった込み入った話をメールで済ませてはいけない」ということです。

メールの場合、相手がこちらの真意とは異なった意味で受け取ったとしても、すぐに気づいて訂正することができません。
実際に会って話していれば、表情や話しぶり、口調などで感じ取り、誤解やすれ違いはその場で訂正できます。しかし、メールでは、その間違いを訂正できずに、メールでの誤解をきっかけに人間関係が悪くなってしまうこともあります。
だからこそ、大切な話であればあるほど、メールではなく会って話すことを大事にしてほしいのです。

ネガティブな表現は避けよう

メールは機械の文字なので、どうしても事務的で冷たい印象になりがち。
言葉を選ぶときには、受け取った人に喜ばれるように、全体的にポジティブな文面を心掛けましょう。

書き出しは、「メールをいただいて、ありがとうございます」「この間はお食事をご一緒できて楽しかったです」といった感謝の言葉から入ると、良い印象を持ってもらえます。
例えば「雨が続いて憂鬱ですが、お元気ですか」と書く場合、「雨は憂鬱」というネガティブな表現が印象に残ります。この場合は「この雨で作物が元気に育つかと思うと、恵みの雨です」といったポジティブな表現に書き換えてみましょう。

メールの最後は、相手を気遣う言葉で締めるようにします。その場合も「風邪などひかないよう、お気をつけください」では「風邪をひく」というマイナスイメージが先にきてしまいます。「お元気にお過ごしください」というようにプラスのイメージがパッと頭に浮かぶ言葉を選びましょう。



05好感の持てるLINEの使い方

LINEは連絡事項や情報交換、写真や感動したことをシェアして共感し合うといった使い方ができる便利なツールです。一方で、メールと同様に悩みの相談などのややこしい話をすることには向いていません。
リアルタイムでの短文のやり取りを楽しむためのものなので、長すぎる文章は避けたほうが無難です。

「送った相手に明るい気持ちになってもらう」ことを基本姿勢にして、なるべく楽しく明るい話題を選ぶこと。
スタンプは気持ちを代弁してくれる楽しい機能ですが、スタンプ送信だけで済ませないで、一行でもいいので文章で伝えたい言葉を入れるようにしましょう。

送信する前に、誤字、脱字がないか、主語がちゃんとわかるように表現できているか、ネガティブな言葉を使っていないかを、確認してください。

LINEのような短い文章のやり取りは、相手を身近に感じられて盛り上がりますが、「お互い良い人間関係にある」というベースがあってこそ機能するツールです。LINEを心から楽しむためには、まずは、実際に相手と会って理解し合い、良い人間関係を築くことが先だという点を忘れないでほしいと思います。


まとめ

いかがでしたでしょうか? 今回は、ステキな人間関係を築くためのコミュニケーションの取り方の気遣いとマナーについてご紹介しました。大切なのは相手を思いやり、そして自分から相手に積極的に働きかけていくことです。誰かと一緒に過ごす時間の幸福感や、相手への温かい気持ちを言葉にして伝えることを大切に、日々を過ごしていきましょう。

Adviser

井垣 利英(いがきとしえ) (株)シェリロゼ代表取締役 、 人材教育家、 マナー美人塾塾長

名古屋生まれ、東京在住。中央大学法学部在学中からフリーアナウンサー としてテレビ出演。
2002年(株)シェリロゼを起業。20年間で2万人を指導。自社の【会話美人講座】【マナー美人塾】でマナー、プラス思考、話し方などを指導。また全国の企業で、社員研修や講演会を年間100本ほど行う。
やる気とマナーを上げる日本で唯一の専門家。
著書は『ふんわりと上昇気流に乗る生き方』(サンマーク出版)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など19冊。

シェリロゼ
https://www.c-roses.co.jp/
YouTube
https://www.youtube.com/user/104toshia

 

編集協力/中西后沙遠(なかにしみさお) 撮影/森武志

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