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読むだけで美味しくなるワインの話 (第25回ソムリエが自宅で作るワインによく合う簡単料理 赤ワイン編)

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ソースがポイント、赤ワインに合う料理

第24回ではご家庭でも簡単に作れる「白ワインに合う料理」のお話をしました。猛暑日続きの暑い夏ですから、皆さんも今は白ワインが飲みたい季節だと思います。ぜひ役立ててください。
さて、季節に関係なく赤ワインが好きな方も、いらっしゃいますよね?そんな方のために、今回は赤ワインに合う料理のレシピを紹介したいと思います。白ワインよりもさらに複雑な香味を持つ赤ワインですが、今回紹介するレシピも前回と同じく簡単なものばかりです。サクッと献立に取り入れて、ワインと一緒に楽しんでいただきたいと思います。

白ワインと赤ワイン、合わせる料理の違いを考える時、一番のポイントになる部分は何でしょうか。私はソース(味付け)だと思っています。もちろん、白ワインにも味付けやソースは大事ですが、白ワインはシンプルな分、素材感だけでも十分楽しめるお酒です。それに対して赤ワインは、ソースが大きな役割を果たします。そんなところをちょっとだけ考えながらご覧になってみてください。
今回もソムリエ流ワンポイントを添えながらご紹介していきます。それではどうぞ。


すぐに作れてピッタリ合うキノコのポン酢バター炒め

最初はやはりサクッと簡単に作れて、それでいてワインに合う、お手軽料理から紹介します。

材料

  • エリンギ 1パック
  • ニンニクみじん切り 1片分
  • バター 15g
  • ポン酢 大さじ1
  • 塩 適量
  • こしょう 適量

  1. バターでニンニクを軽く色づくまで炒める。
  2. 短冊切りにしたエリンギを投入。
  3. エリンギがしんなりしたら、ポン酢と塩コショウで味を整えて完成。

ソムリエ流ワンポイント

実はポン酢はワインと合う万能調味料です。積極的に使ってみてください。今回はお手軽な手順をご紹介しましたが、一緒に玉ねぎやベーコンを炒めてみたり、シメジやマッシュルームを入れたりとキノコの種類も増やしても、ボリュームや味わいの複雑さが出て美味しいですよ。


軽めの赤から、重めの赤までこなす万能選手豚ロース肉ソテー ハニーマスタードソース

材料

  • ロース豚肉 300g
  • ニンニクみじん切り 1片分
  • 玉ねぎみじん切り 1/2個分
  • 醤油 大さじ2
  • 粒マスタード 15g
  • ホワイトバルサミコ酢 大さじ1
  • はちみつ 小さじ2
  • オリーブオイル(加熱用)

作り方

  1. フライパンに少量のオリーブオイルを入れ、ニンニクを炒めます。
  2. ニンニクが軽く色づいたら、玉ねぎを入れて軽くあめ色になるまで炒めます。
  3. ➁に、醤油、粒マスタード、ホワイトバルサミコ酢、蜂蜜を入れてひと煮立ちさせます。
  4. でき上がったソースは別の容器に移します。
  5. 同じフライパンで豚ロースをソテーします。
  6. ある程度火が入ったタイミングで④のソースを入れて絡めて完成。

ご家庭で手に入りやすい調味料の中で、マスタードもポン酢と同じくワインに合わせやすい調味料の代表です。調味料としてのマスタードは、ワイン王国フランスのディジョンが発祥ですから、それも納得ですよね。

ホワイトバルサミコ酢が無い場合は、白ワインヴィネガーや米酢でも作れます。その場合、甘みが少し不足するかもしれないので、蜂蜜を増やしてみてください。ソースが絡みづらい場合は一時的に水やワインを足して調整するのもOKです。

ソムリエ流ワンポイント

この料理が赤ワインに合うのはやっぱりソースのおかげです。本来豚肉は鶏肉と同じく繊細な味わいで、単体だと白ワインのほうが好相性です。マスタード、さらに醤油を合わせることで赤ワインとマッチします。よりしっかりした赤ワインに合わせたい方はさらに50㏄の赤ワインと味噌を大さじ1程度加えてみましょう。グッとコクが出て、フルボディの赤ワインにも合うスタイルに早変わりです。コショウを最後にかければスパイス感も加えられます。あえてソースを別で作っているのはいろいろな食材に使えるからです。鶏肉はもちろん、お魚に合わせても面白いですよ。


合わないわけがないハンバーグ赤ワイン煮込み

材料

  • ハンバーグ 2つ ご家庭のレシピで
  • ニンニクみじん切り 1片分
  • 赤ワイン 150~200㏄
  • バルサミコ酢 大さじ1
  • バター 20g
  • 塩 適量
  • こしょう 適量
  • オリーブオイル(加熱用)

作り方

  1. 各ご家庭それぞれのハンバーグでOKです。まずは裏表ともに表面を香ばしく焼きます。
  2. 表面を焼いたハンバーグは一度お皿に取り上げ、フライパンの余分な脂は拭き取ります。
  3. 同じフライパンに軽くオリーブオイルを入れ、ニンニクを炒めます。
  4. ニンニクに火が入ったら、赤ワインを入れて軽く沸騰させ、アルコールを飛ばします。
  5. そこにバルサミコ酢とバター、軽く塩・こしょうを加え、さらにハンバーグを戻します。
  6. ふたをしてハンバーグに完全に火が入るまで蒸し煮にします。
  7. ハンバーグに火が入ったらお皿へ。フライパンに残ったソースはとろみがつくまで煮詰めます。このタイミングでソースの塩分を調整してください。
  8. ソースをハンバーグにかけて完成。

赤ワインに合わないわけがない、定番の赤ワインソースはハンバーグ以外でもアレンジ可能ですのでお試しあれ。③のタイミングでシメジやマイタケなどのキノコを入れても好相性。おおよそ、どんな赤ワインにもぴったりの王道メニューです。

ソムリエ流ワンポイント

この料理の味わいのポイントは赤ワインのソースです。赤ワインやバルサミコ酢の味わいの違いでもバランスが変わってきますので、ソースを完成させる⑦のタイミングでお好みの味に調整してみてください。濃度が足りなければバターを、甘みが足りなければバルサミコ酢を、水分が不足していたら赤ワインを追加すれば、上手に調整できると思います。最後はしっかり沸騰させるのがソースをつなぐポイントです。


まとめ

いかがでしたでしょうか。赤ワイン編もお手軽で簡単ですよね。今回、私が一番お伝えしたかったのは、日本で日頃食べられている料理はちょっとした工夫ですぐにワインに合わせられるということです。砂糖をはじめとした甘みを少し押さえて、その代わり酸味やスパイスを取り入れてアレンジしてみてください。醤油や味噌を使う日本の料理はそれだけで赤ワインに合う料理に早変わりします。
第24回・第25回と続けてご紹介したレシピを参考に、ぜひ皆さんのご家庭だけの「ワインと楽しむ定番メニュー」を見つけてもらえたらうれしいです。
やっぱりワインは食事と一緒に楽しむお酒ですから。


監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。
2023年からWEBサイト「ちょっとまじめにソムリエ試験対策こーざ」の講師に着任。
RISTORANTE IMAI:http://www.ristoranteimai.com/

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 ソムリエ・エクセレンス取得
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