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読むだけで美味しくなるワインの話(第24回ソムリエが自宅で作る ワインによく合う簡単料理 白ワイン編)

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ソムリエが自宅で作るワインに合う料理とは

今回はご家庭でも簡単に作れる「ワインに合う料理」のお話です。第15回第16回ではワインと料理を合わせるコツをお伝えしましたが、それだけではハードルが高いと感じてらっしゃる方のために、簡単なレシピをご紹介します。

「ソムリエが自宅で作る」と題してはいますが、気構える必要はまったくありません。今回ご紹介する料理はどれもお手軽なものばかり。飲食店のように凝った料理をお伝えするつもりもありません。
「ワインと合わせるにはプロが作った料理の方が良い」と思っている方もおられると思いますが、そんなに難しく考えなくてもワインに合う料理は作れます。安心してください。

今回の料理も「え、そんなのでいいの?」という定番の内容ばかりですが、ワインにより合わせるためのソムリエ流ワンポイントを添えながらご紹介していきます。今回は、白ワイン編です。


白ワインにぴったりフルーツ・ドレッシング

まずは定番のサラダ用ドレッシング。食材を問わず上からかけるだけでワインに合うサラダになりますから超簡単です。

材料

  • エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル 50g
  • フルーツ果汁(オレンジ・グレープフルーツ) 100g
  • レモン果汁 10g
  • 塩 5g
  • こしょう 適量

容器に入れて混ぜるだけです。生のオレンジやグレープフルーツを使って果汁を搾ったほうがより美味しくなりますが、濃縮還元の果汁100%ジュースでも作れます。レモン果汁を使うことでよりフルーティな酸味になるのが特徴です。キレのある酸が欲しい方はホワイトバルサミコ酢を加えてもOK。

ソムリエ流ワンポイント

お好みで粒マスタードを少量(5g~10g)程度合わせるとコクが出ます。ワインとも相性バッチリです。我が家のサラダはトマトやアボカド、豆腐や葉物にツナ缶が定番です。ただし、キュウリはワインとの相性が難しいのでおすすめしません。
より上級者はドレッシングを作らずに、その都度ボウルの中で調味料と野菜を混ぜ合わせるのも良いでしょう。不思議とドレッシングより美味しく仕上がります。

イタリアには面白い格言があり、「おいしいサラダを作るには三人の人間が必要だ。オリーブオイルは贅沢な人に、酢はケチな人に、塩は天才に任せろ」というものがあります。諸説あるようですが、昔の先輩はそれに加えて「コショウは普通の人間にまかせろ」とも言っていました。

つまり、塩はちょうどよく決めて、コショウは普通に、お酢は酸っぱすぎないようほどほどに、そして美味しいオリーブオイルをたっぷり使うと美味しいサラダになるというわけです。実際にその通りに作ってみると、なかなか的を射ているなぁと感じます。感覚的ですが、参考にしてみてください。


定番だけどやっぱり合うアサリの白ワイン蒸し

材料

  • アサリ 1パック
  • 白ワイン 50ml~100ml
  • ニンニクみじん切り 5g
  • バター 10g~15g
  • オリーブオイル(加熱用)

作り方

  1. フライパンに少量のオリーブオイルを入れ、1かけ程度のニンニクを炒めます。
  2. ニンニクが軽く色づいたら、砂抜きして洗ったアサリを投入。
  3. アサリの表面に油をまとわせるイメージで軽く炒めたら白ワインを入れます。
  4. フライパンに蓋をして蒸し煮にし、アサリの口が開くのを待ちます。
  5. アサリの口が開いたら、アサリは取り出してお皿に盛り付けます。
  6. 残った煮汁にバターを加えて煮詰め、少しとろみが出たらアサリにかけて完成です。

白ワインやバターの量は、アサリの量に合わせて調整してください。ハマグリ等でも同じように調理できます。また、アサリは火を入れすぎると縮みますので、加熱しすぎには要注意です。

砂抜きをしっかりしておくのも、美味しく食べるためのポイントです。平らな容器にアサリを並べ、アサリが半分つかる程度に3%の食塩水をいれ、アルミホイルをかぶせて静かな場所に常温で3時間ほど置いておきましょう。冷蔵庫では砂抜きはできませんので注意してください。

ソムリエ流ワンポイント

ワインによってアレンジを変えても面白くなります。イタリアやスペインなど、地中海沿岸の産地の白ワインに合わせるなら、最後にバターではなく、カットしたミニトマトとエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを加えてみましょう。煮詰めれば、アクアパッツァ風のソースに。


シャンパンでも白ワインでもなんでもいける万能な一品鶏ささみと梅のチーズ春巻き

材料

  • 鶏ささみ 5本
  • 春巻きの皮 10枚
  • 種を取ってたたいた梅干し(はちみつ漬けのもの) 2~3個分
  • 大葉 10枚
  • とろけるスライスチーズ 10枚
  • 小麦粉 少量(水で溶いて春巻きの接着用に)
  • 揚げ油 適量

作り方

  1. 鶏ささみを耐熱皿に入れてラップをし、600Wのレンジで3分程度加熱したのち、粗熱をとっておきます。
  2. 春巻きの皮の上に、チーズ1枚、大葉1枚、ささみ1/2本、たたいた梅干し適量を並べて包みます。大葉の位置は包んだ皮のより外側になるように包むと、外から見た時にきれいです。
  3. 150℃程度の油で軽く色づくまでゆっくり揚げたのち、180℃ぐらいまで温度を上げて最後はカリッと仕上げましょう。溶けたチーズが漏れてしまうことも多いのですが、気にせずキツネ色になったチーズごと盛り付けます。

すべてスーパーで買える食材ですし、10本分で1,000円もかからないコスパの高い料理です。我が家では定番の一品になっています。

ソムリエ流ワンポイント

こちらは酢醤油を付けて食べてみてください。酢のしっかりした酸味でよりワインと好相性に。大葉の代わりにイタリアンパセリを使うなど、ワインに合わせたハーブに変えることでもより面白くなります。

この料理は、私の師匠とも言えるソムリエの方が素晴らしい賞を受賞した際、お祝いのホームパーティでも用意しました。実は、その日のために様々な高級食材を使った料理を準備していたのですが、他のどの料理よりもこの春巻きが印象に残っていたようです(笑)。お試しあれ。


まとめ

いかがでしたでしょうか。「簡単すぎて物足りない」なんて声も聞こえてきそうですね。シンプルなレシピですが、第15回第16回でお話した「ワインと料理を合わせるポイント」を思い出しながら作ってみてください。重要なのは酸味と油脂です。コツをつかめば、手持ちのレシピもワイン用にアレンジできるようになると思います。難しく考える必要はありません。

今回ご紹介したレシピが、少しでも皆さんのワインライフのお役に立てれば幸いです。次回は赤ワインに合う料理をご紹介します。


監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。
2023年からWEBサイト「ちょっとまじめにソムリエ試験対策こーざ」の講師に着任。
RISTORANTE IMAI:http://www.ristoranteimai.com/

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 ソムリエ・エクセレンス取得
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