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読むだけで美味しくなるワインの話(第15回 おうちワインの楽しみ方 ~ワインに合う料理編~)

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今こそ「おうちワイン」を楽しもう

コロナ禍により自宅で過ごす時間が増え、外での飲食も楽しめない状況が続いています。そんな中、お店ではなく「おうちワイン」を楽しもうという方が増えているようです。

ワインブーム到来という言葉を何度か耳にしてきましたが、日本におけるワインの個人消費量はまだまだ少なく、ワインは自宅よりお店で飲むイメージが強いお酒です。様々なメディアでも、その奥深さと共に「難しいお酒」として紹介されることも多く、敷居が高いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。私たちソムリエという仕事が存在していること自体も、ワインを難しい飲み物として考えてしまう理由の一つかもしれません。

しかし、実際のワインはそんなに難しい飲み物ではなく、ほかのお酒と同じように「楽しく飲めればOK」なのです。本場ヨーロッパの一般家庭では、コップでワインを楽しむ姿をよく見かけます。みなさんもあまり難しく考えずに、こんな時だからこそ気軽に「おうちワイン」をはじめてみてはいかがでしょうか。

おうちワインをより美味しくするために

先ほど、ワインは楽しく飲めればそれでOKとお伝えしました。基本はそれが大前提ですが、それだけでは私の仕事が無くなってしまいますので、これから数回にわたって「おうちワインを美味しくするコツ」をお伝えしていきたいと思います。
ワインが難しく語られる大きな要因の一つとして、「ワインは変化する飲み物である」ということが挙げられると思います。外からの影響で味が変わりやすいというワインの味は、どんなことに左右されるのでしょうか。例えば、こんな要素があります。

  • 温度(ワインの温度、室温など)
  • 一緒に食べる料理(飲むワインとの相性など)
  • タイミング(飲み頃、抜栓のタイミングなど)
  • グラス(厚みや形状)
  • シチュエーション(誰とどんなワインを飲んでいるか)

これらの違いから、同じワインであっても飲んだ時の美味しさが変わってきます。 沢山あって面倒に感じられた方もいらっしゃるかもしれませんが、あまり難しく考えないでください。これから少しずつご説明していきますので、皆さまがそれぞれに良いと思ったことを採用していただき、楽しいおうちワインの参考にしてもらえれば幸いです。

ワインに合う料理ってどんな料理?

では、今回は「おうちワインの楽しみ方」の第1回目として、ワインに合う料理についてお話していきたいと思います。まず、ワインに合う料理というと必ず頭に浮かぶのが、フランス料理やイタリア料理といった西洋料理ではないでしょうか。確かに、生まれも育ちも同じくする西洋料理とワインは好相性です。しかし私は、和食であっても十分ワインと合わせられると思っています。好みもありますが、個人的には日本酒よりワインの方が好相性とさえ思っているぐらいです。

つまり、ちょっとしたコツを押さえておけば、どんな料理もワインと一緒に楽しむことができます。ご家庭でお料理をされる皆さまも、「今日はワインだから」と慣れない料理を作るより、普段作り慣れている料理をワインに合わせるほうが楽チンだと思います。そんな普段の料理をワインに合わせるアレンジのコツをお伝えしていきます。

相性のポイントは「色」「酸味」「調味料」

01料理とワインの色を合わせる

ワインと料理の相性を合わせるにあたって一番シンプルで王道なのが「料理(食材)の色とワインの色を合わせる」ということです。皆さまもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。昔は「お肉に赤・魚に白」という時代もありましたが、現在は「色で合わせる」が主流です。お肉なら「牛肉は赤ワイン・鶏肉は白ワイン」、お魚なら「マグロのような赤身は赤ワイン・ヒラメや真鯛などの白身は白ワイン」といった具合です。また、食材の色だけでなく、お料理全体の色合いでも同じようにこの法則が使えます。例えばブラウンシチューだったら赤ワイン、ホワイトシチューだったら白ワインです。もちろん例外はあるのでケースバイケースではあるのですが、多くの場合に当てはまるので献立を考える際に参考にしてみてください。


02料理に酸味を取り入れる

続いて、ワインに合う料理の大事な共通点として「酸味」があります。「ワインは酸の飲み物」と言っても良いくらい、その味わいは様々な酸によって構成されています。そのため、料理にも酸味を入れることによって、ワインに寄り添った味わいにすることができるのです。例えば、醤油を使うところをポン酢にしてみるのも良いでしょう。同じ醤油ベースの味付けでも、酸味があるかどうかでワインとの相性は大きく変わってきます。酸味の取り入れ方は他にも色々あります。トマトなど食材由来の酸味、柑橘やヴィネガー等の調味料からの酸味、またバターやチーズにも乳酸が含まれています。ぜひ、「料理に酸味を取り入れること」を意識して、色々試してみてください。


03ワインに合う調味料を知る

最後は調味料についてです。前述の酸味のように、「料理の味や風味」はワインとの相性に大きくかかわってきます。レストランでは「食材が白ワインと好相性でも、ソースが赤ワインと相性の良いものだったら、赤ワインを合わせる」といったことがよくあります。そのため、普段味付けに使う調味料がどんなワインに好相性なのかを押さえておくと、料理の味わいを手持ちのワインに寄せていくことができるのです。この調味料のお話は次回さらに詳しくお伝えしたいと思っています。

ワインに合わない料理とは? ワインの弱点を知っておく

ここまで、「ワインに合う料理」についてお話ししましたが、実は同じくらい大事なのが「ワインに合わない料理」を知っておくことです。ワインと料理の相性の形は様々あり、個人の主観や好みも入ってきますから、皆さんそれぞれ自分なりの「ワインに合う料理」があると思います。その自分なりの料理を作っていくためにも、逆にワインと料理の相性においての弱点、つまり「ワインに合わない料理」を知っておくことが、とても手助けになると思います。今回は、ワインに合わない食材と、ワインが苦手とする味わいの2点をお伝えします。


ワインに合わない食材

ワインには、頑張ってもなかなか合わせられない食材というものがいくつか存在します。その代表的なものが魚卵、なかでも「数の子」です。これぞ不仲と言わんばかりで、一度お試しいただければ、二度と合わせる気にならないこと間違いないでしょう(笑)。
魚卵は全般的にワインとの相性に難しさがあるのですが、油脂を組み合わせることで相性をつなぐことができるものもあります。キャビアやイクラが、サワークリーム等と合わせることでワインと好相性になるのはそのためです。この「臭みがあるものに油脂を合わせる」という考え方は他にも使える場面がでてくると思います。

同じようなパターンで、干物や塩辛といった生臭さが強く出やすい物も合わせにくい食材です。加工や味付けによって解決できないわけではないのですが、余韻に生臭さが残ってしまいやすいのです。

次に生のキュウリです。ピクルスなどにして青臭さがある程度抜けたものはまだ良いのですが、生のキュウリの青臭さは、ワインを飲んだ後に不快な香りとして口の中に残ってしまい、ワインを台無しにしてしまいます。

最後に生卵です。厳密には生の卵黄です。味付けや加工で対処もできるのですが、生卵黄の風味が強すぎると卵臭さ際立ってしまいます。また、舌にまとわりつくような卵黄の触感が、ワインに対しての味覚をマスキングしてしまうのです。


ワインの弱点、「甘味」

甘味についてはお気づきの方も多くいらっしゃるかと思いますが、ワインは甘いものには合わせにくいお酒です。甘いチョコレートを食べたあとに飲むワインは、全く違う味に変化してしまうので、全力でおすすめしません。前述のようにワインは酸で構成された飲み物であるため、料理が甘すぎるとワインの繊細な甘味が消されてしまうため、酸が際立ち、酸っぱく感じられてしまうのです。

和食は料理に砂糖をよく使いますから、この点だけは注意しなくてはいけません。甘味が絶対だめというわけではないのですが、味わいのバランスが甘味に傾きすぎていると、ワインとは合わせにくくなります。しかし、味付けにおいて、甘味を控えめにして酸を加えるだけで、そこは十分解消できます。

例えば和食の代表「肉じゃが」ですが、お酒やみりんの代わりに調理用白ワインを使ってみてください。もちろん好みに合わせて半々で使うぐらいでも大丈夫です。それだけで味わいのバランスがぐっとワインに寄り添ってくれます。

ポイントは酸と甘味のバランスなので、色々と味わいの調整にチャレンジしてみると良いでしょう。ちなみに、どうしても甘味の強い料理を召し上がりたいときは、半甘口のワインを試してみてください。ワイン自体が甘く作られているため、料理が甘くても相性を保つことができます。また、辛口ワインでも果実味や甘味が強いものをチョイスすることで、相性を良くすることもできます。


「おうちワインの楽しみ方」と題して、まずはお料理とワインの相性の話をさせていただきました。専門的なレシピや飲食店のように凝った料理ではなくても、ちょっとしたポイントを押さえれば、普段の食卓でワインを楽しむことができます。ぜひ試してみてください。次回はワインと調味料の関係について、もう少し詳しくお伝えしたいと思います。

監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 シニアソムリエ取得
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