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読むだけで美味しくなるワインの話(第13回 自分の好みのシャンパンに出会うには【前編】)

食べる

「ワインについて詳しくなりたい」と思っても、ワインの世界は複雑で難しそうというイメージがありませんか? そこで、ワインにまつわる様々なことをシニアソムリエが優しいアプローチでお教えします。読むだけでワインが美味しくなるようなコラムを、どうぞ召し上がれ。

シャンパンをより深く知って見つける、お気に入りの一本

今回は、シャンパーニュ(シャンパン)の種類や最新の動向を交えつつ、自分に合った選び方についてを、前編と後編の2回に渡ってお話したいと思います。
ソムリエの仕事をしていても、初めてのシャンパーニュに出会う事はめずらしくありません。その位、シャンパーニュは種類が豊富で奥深いのです。そんな数あるシャンパーニュの中から美味しいと思える一本に出会うために、ほんの少しだけシャンパーニュの基礎に触れてみましょう。見慣れない横文字が続きますが、少しだけお付き合いください。

シャンパーニュ生産者の2つのタイプ

まず、シャンパーニュの生産者には大きく分けて2つの形態が存在します。ネゴシアン(メゾン)と、レコルタンです。

ネゴシアン(メゾン)

ブドウ栽培農家からブドウを買い付けてシャンパーニュを作る生産者。
自分たちの畑で収穫できるブドウの量では足りないため、他から買い付けたブドウや、自社のストックワインを使って味や量を調整しています。そのため安定的な味と生産量を確保することができます。皆さんが良く目にするモエ・エ・シャンドンやドンペリ、ヴーヴ・クリコなどを作る大規模生産者はグランメゾンと呼ばれ、このカテゴリーに属します。


レコルタン

ブドウの栽培からシャンパンの生産までを自ら行う生産者。
レコルタンの中にもいくつか種類がありますが、その中でも農家協同組合を通さずに、栽培から瓶詰までを一貫して行う、主に小規模な生産者をR・M(レコルタン・マニピュラン)と呼びます。ブルゴーニュ地方のドメーヌ(自家栽培ブドウでワイン作る生産者)と同じく、生産者ごとに個性があり、近年注目が集まっています。


現在シャンパーニュ地方には約16,000軒のブドウ栽培農家、約350軒のメゾン、約4,500軒のレコルタンが存在しています。前述のレコルタン・マニピュランは、レコルタンの半分弱の2,000軒程度です。昔の日本市場では、大量生産で安定感のある大手グランメゾンがほとんどでしたが、ジャック・セロス等に代表される個性が光る素晴らしいレコルタン・マニピュラン生産者の登場により、日本にも沢山の個性派シャンパーニュが輸入されるようになりました。大手メゾンと違って生産本数が少ないこともあり、なかなか入手できない程の人気のものも存在します。その分、価格も高騰しやすい傾向があります。

安心・安定の味わいのグランメゾン、個性あふれるレコルタン・マニピュラン、こうした生産者の違いも皆さんのシャンパン選びの参考にしてみてください。

ヴィンテージシャンパーニュって?

売り場でシャンパーニュを見ていると、ヴィンテージ(年号)がついているものと、ついていないものがあることに気付くと思います。一般的なワインのラベルには全てヴィンテージが付いていますよね。ご存じの通り、これはその年に収穫したブドウで作ったという意味です。

第12回 シャンパンってどんなお酒?」で説明したように、ブドウ栽培に厳しい気候であるシャンパーニュ地方では、保管しておいた様々な年代のストックワインをブレンドして使うのが一般的です。複数の年に収穫したブドウを使って作るわけですから、そういったシャンパーニュはヴィンテージが表記されません。実にシャンパーニュの8割が、このノン・ヴィンテージと言われています。

ただし作柄の良い年には、その年に取れたブドウの中でも品質の高いものだけを選りすぐり、単一年度のシャンパーニュを作ることがあります。これがヴィンテージ・シャンパーニュです。ヴィンテージ・シャンパーニュはハイレンジの一本として作られることが多く、瓶内熟成期間もノン・ヴィンテージの最低15ヶ月に対して、最低36ヶ月としており、さらに長く熟成期間を取っているものも多くあります。手間がかかる分、価格もノン・ヴィンテージに比べて高価です。

数年に及ぶ瓶内熟成を経たその一本は、より複雑で深みのある香り・味わいに成長していきます。そんなヴィンテージ・シャンパーニュは、記念日やお誕生日など特別な日の一本にぴったりです。

ワインこぼれ話

シャンパングラス 最新のトレンド

現在は様々なスタイルのシャンパーニュがあり、生産者同士が切磋琢磨し、日々品質の向上をはかっています。

シャンパーニュは、これまでの泡を楽しむワインという位置づけから変化し、味わいの個性を楽しむことに重きが置かれるようになりました。そこで、現代のシャンパーニュを楽しむには、今まで主流であったフルートグラス(細いグラス)では不十分ということになり、現在では少し膨らみのある普通のワイングラスに近い形状に変化しています。

細いフルートグラスは、香りや味わいよりも泡のシュワシュワした食感を際立てるのに対し、大きめのグラスは、泡を柔らかい舌触りにし、香りや味わいをしっかり捉えることができます。
ぜひ、最新のグラスでシャンパーニュを味わってみてください。今までと違う喜びに出会えるかもしれません。

今回はシャンパーニュを生産者のタイプと、原料とするブドウの収穫年度が単一か否かによる違いをご紹介しました。皆さんが好みのシャンパーニュに出会うためのお手伝いとして、次回後編では味わいにより深く影響するブドウ品種の使い方や、畑の違いについてもご紹介したいと思います。

監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 シニアソムリエ取得
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