別窓アイコン 矢印 矢印02

読むだけで美味しくなるワインの話(第14回 自分の好みのシャンパンに出会うには【後編】)

食べる

お気に入りの一本を見つけるために知っておきたいこと

前編ではシャンパーニュの「生産者のスタイル」や「NV(ノンヴィンテージ)とヴィンテージの違い」等についてご説明しました。後編となる今回はもう少し基本的な部分、シャンパーニュのブドウ品種や畑、甘辛度についてお話したいと思います。自分好みのブドウ品種や甘辛度がわかるようになると、お気に入りのシャンパーニュがグッと見つけやすくなります。ぜひ参考にしてみてください。

シャンパンの味わいを分けるブドウ品種

シャンパーニュに使われる代表的なブドウ品種は下記の3つです。

どのブドウを使うかによって、シャンパーニュの味わいに違いが生まれます。
食用のブドウに置き換えて考えてみましょう。簡単に言うと黒ブドウは甘味のあるしっかりした味わい、白ブドウは酸味のあるすっきりした味わいのものが多いですよね。 ワインも基本は同じで、黒ブドウであるピノノワールやムニエで作るシャンパーニュはしっかりしたコクのある味わいに、シャルドネで作るシャンパーニュはスッキリとキレのある味わいに仕上がります。

グランメゾン(大規模生産者)は、各々が追求する味わいのバランスを考えて、いくつかのブドウをブレンドするのが一般的です。グランメゾンのシャンパーニュを選ぶときは、ブドウ品種のブレンド比率等も参考に自分に合うメゾンを探してみてください。

また、ブドウの個性を出すためにあえて「黒ブドウのみ」「白ブドウのみ」で作ったシャンパーニュもあります。黒ブドウのみで作ったシャンパンを「ブラン・ド・ノワール(黒の白)」、逆に白ブドウのみで作ったものを「ブラン・ド・ブラン(白の白)」と呼びます。基本的にシャンパーニュは白ワインと同じ色調に仕上がるのに対し、使ったブドウが黒か白かという意味で使われています。こういったシャンパーニュは大手も作ってはいますが、レコルタン・マニピュラン(自家栽培ブドウでワインを作る小規模生産者)が自社の代表格として作るシャンパーニュに多く見られます。沢山の契約農家をもつ大規模生産者とは違い、レコルタン・マニピュランは自社で所有する畑が小さいので、自らの畑に合ったブドウ品種を栽培し、その個性で勝負しているのです。

シャンパーニュの個性を左右する村と畑

ブドウ品種と共にシャンパーニュに個性を与えるのが、生産される村とその畑の場所です。シャンパーニュ地方には代表的な村が3つあり、村によって得意なブドウ品種が異なります。一番北の「モンターニュ・ド・ランス」はピノノワール、その下の「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」はムニエ、さらにその下の「コート・デ・ブラン」はシャルドネを得意としています。「得意」というのは、それぞれの村の気候条件や土壌が、それぞれのブドウ栽培に適しているということです。そのため、生産者がどこに本拠地を構えているかによって、おのずと得意とするブドウ品種が決まります。

また、この3つの村にある畑には格付けがあり、その格付けがワインのラベルに記載されています。一番良い畑を「グラン・クリュ」、次いで良い畑を「プルミエ・クリュ」と呼びます。特にグラン・クリュは17カ所のみで、その畑の固有名がラベルに記載され、畑の個性を最大限に活かしたシャンパーニュとしてリリースされます。もちろん、高品質なシャンパーニュが出来上がります。

シャンパーニュ選びに慣れてきましたら、ご自身の選んだものがどこで作られたシャンパーニュなのか、ラベルをチェックしてみてください。ワンランク上のシャンパーニュ選びが楽しめると思います。

シャンパーニュの甘辛度って?

シャンパーニュのラベルを見ると、必ず書いてあるのがこの「甘辛度」です。甘辛度の表記は、世界のスパークリングワインでほぼ統一の基準が設けられており、下記の表のようになっています。一番代表的なものがBrut(ブリュット)です。大体のスタンダードなシャンパーニュが、このBrutで作られています。「ドライ」の文字が入ると辛そうなイメージがありますが、Extra Dry(エクストラ・ドライ)は実はBrutよりも甘い「やや甘口」です。イタリアのカジュアルなスパークリングワインに多いタイプです。Sec(セック)以上の甘口については、探そうと思わないとあまり出会うことはありません。まずはBrutから試していただくのが良いと思います。

近年多くなってきているのが、より辛口のBrut Nature(ブリュット・ナチュール)とExtra Brut(エクストラ・ブリュット)です。シャンパーニュの製造において最後のドサージュという工程で甘いリキュールが追加されます。味わいのバランスを整える役割があるのですが、「ブドウ本来の甘味ではない」「ドサージュ由来の甘味は余韻にベタつきがある」等の理由からドサージュを減らす生産者が増えています。昔に比べて栽培環境が良くなってきた昨今、ブドウ本来の味で勝負したいという生産者の思いが反映されています。
バランスの良いBrutは食前酒にぴったりですが、より自然な甘みのNatureとExtra Brutは食事によく合うフードフレンドリーな食中酒として力を発揮します。

甘辛度 表記 残糖度
Brut Nature ブリュット・ナチュール 3g/L未満
Extra Brut エクストラ・ブリュット 0~6g./L
Brut ブリュット 12g/L以下 ※通常
Extra Dry エクストラ・ドライ 12~17g/L ※やや甘口
Sec セック 17~32g/L
Demi Sec ドゥミ・セック 32~50g/L
Doux ドゥー 50g/L以上

ワインこぼれ話

リューディ― ~シャンパーニュの新しい流れ~

最近、小規模生産者を中心にシャンパーニュのラベルに「Lieut-dits(リューディ―)」を表記する新しい流れが始まっています。「リューディ―」というのは畑(クリュ)の最小区画のことです。前述のグラン・クリュの話を例にとると、『グラン・クリュ「○○」にあるリューディ―「○○」』といった具合です。使うブドウをより狭い区画に絞り、さらなる個性を追求しようという動きです。スパークリングワインの王様シャンパーニュは、まだまだ進化を続けています。

全3回にわたってシャンパーニュについてお話をしてまいりました。カタカナが多く、聞きなれない言葉も多々あったかとは思いますが、お読みいただきありがとうございました。少しでも、皆さまのシャンパーニュ選びのご参考になれば幸いです。

監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 シニアソムリエ取得
「食べる」⼀覧へ戻る