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暮らしを楽しむ にほんの食ごよみ(第14回「牡丹餅(ぼたもち)」)

食べる

牡丹の花に見立てた、春のお供え物

3月の「春分の日」の前後3日間を合わせた1週間は、春のお彼岸です。お墓参りなどをしてご先祖さまを供養する行事で、古くから、魔除けの効果があるとされる小豆を使った、牡丹餅が供えられてきました。この牡丹餅、実は呼び名が違うだけで、秋のお彼岸に食べるおはぎとほぼ同じもの。春は牡丹が咲くので牡丹餅、秋には萩の花が咲くのでおはぎと、その季節に咲く花に見立てて呼び分けされています。ちなみに牡丹餅は、花びらが幾重にも重なった見た目のとおり、ぽってりと大きく丸くつくられることが多いようです。

「棚から牡丹餅」ということわざに出てくる牡丹餅も、もちろんこの和菓子のこと。「思いがけない幸運に恵まれる」という意味ですが、当時は砂糖が貴重だったことから、“思いがけない幸運”の象徴として、牡丹餅が用いられたのでしょう。

丁寧な下ごしらえでおいしいあんこに

01小豆は茹でこぼしを忘れずに。缶詰のあんこを使っても

牡丹餅の決め手となるあんこは、小豆をコトコト煮て作ります。小豆には渋みやえぐみがあるため、下ごしらえとして、食材を茹でてその茹で汁を捨てる「茹でこぼし」が欠かせません。鍋にたっぷりの水と小豆(200g)を入れて火にかけ、沸騰後2~3分茹でたらざるに上げ、これをもう一度繰り返します。その後、砂糖と一緒に弱火で2時間ほど茹でれば、すっきりと上品な味のあんこに。手作りのつぶあんは格別ですが、レトルトや缶詰のあんこを使っても構いません。缶詰の場合は鍋で少し煮て水分を飛ばすと、ご飯を包みやすくなります。

02チャック付きポリ袋があれば、1合から手軽に作れる

牡丹餅の中身はもち米とうるち米を合わせたもの。炊飯器で炊いたご飯をチャック付きポリ袋に入れます。ご飯は冷めると固くなってしまいますが、ポリ袋の中でつぶせば、程よい湿気が残って柔らかさを保ちやすくなります。また、チャック付きポリ袋は、少量を作りたいときにも便利。ご飯をつぶしたら小判形に丸め、冷ましたつぶあんで包めば完成です。

ご先祖さまに思いを馳せ、春の訪れを感じながら、手作りの牡丹餅を味わう――。福をもたらすお彼岸のお供え物をぜひ作ってみてください。

監修

橋本 加名子さん料理研究家、栄養士、フードコーディネーター

海外留学、商社勤務時代からアジア料理や江戸懐石料理を学び、独立。料理教室「おいしいスプーン」主宰。『フライパンひとつで!失敗しない中華・アジア』(タツミムック)など著書多数。

取材・文/佐藤望美

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