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暮らしを楽しむ にほんの食ごよみ(第13回「七草粥」)

食べる

ごちそう疲れを解消する、滋養に富んだお粥

お雑煮やおせち三昧の正月休みを終えたあと、1月7日の朝に食べるとよいとされるのが、七草粥です。この日は五節句のうちのひとつで、「人を大切にする」という意味を持つ人日(じんじつ)の節句と呼ばれています。中国には古来から7種類の野菜が入った汁物を食べて無病息災を願う習慣があり、日本にこの風習が伝わったのは平安時代。宮中の儀式として七草をお粥に入れて食べるようになり、江戸時代には庶民にまで広く知られるようになりました。

春の七草は、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな(かぶ)、すずしろ(大根)。これらには薬効もあり、一年を無病息災で過ごせるという言い伝えだけでなく、正月のごちそうで疲れた胃腸を整える効果も期待できるといわれています。また、昔は野菜の少ない冬の時季にビタミンを補給する役割もあったようです。

素朴でやさしい七草粥のつくり方

01七草セットはスーパーでも購入できる

新年を迎えると、籠に盛られた七草セットがスーパーなどの店頭に並びます。最近ではフリーズドライの七草を販売しているお店も。見かけたら、7日まで少し日があっても早めに購入して、キッチンに生けてみてはいかがでしょう。早春に芽吹く草花を眺めているだけでも元気がもらえそうです。時間に余裕があるなら散歩に出かけ、道端に生えている七草を摘んでみるのも一興(※誤って毒草などを摘まないように注意が必要です)。七草全てを用意することが難しければ、比較的手に入れやすい、せり、すずな、すずしろだけでも、おいしいお粥が作れます。

02味つけは塩でシンプルに。溶き卵を加えても

七草粥の作り方は簡単。お粥にみじん切りにした七草を加え、塩で調味するだけです。えぐみが気になるなら、溶き卵を加えるとマイルドな味わいに。たんぱく質も摂取できるので、栄養バランスも整います。鶏がらスープの素を使って中華風に味つけしてもかまいません。

また、七草粥は本来1月7日の朝にいただくものですが、昼や夜にずれ込んでしまっても大丈夫。先人の知恵が詰まった七草粥を食べて、1年を元気で健康に過ごしましょう。

監修

橋本 加名子さん料理研究家、栄養士、フードコーディネーター

海外留学、商社勤務時代からアジア料理や江戸懐石料理を学び、独立。料理教室「おいしいスプーン」主宰。『フライパンひとつで!失敗しない中華・アジア』(タツミムック)など著書多数。

取材・文/佐藤望美 写真提供/PIXTAほか

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