秋の収穫に感謝し、満月に見立てた団子を食べる
お月見には欠かせない団子。なかでも十五夜(旧暦8月15日)に浮かぶ月は1年で最も美しいといわれ、その月を眺めながら食べる団子は格別です。十五夜に昇る月は「中秋の名月」とも呼ばれ、その語源は中国の「中秋節」という行事からきているといわれています。中国では、月の丸さと家族円満をかけた縁起物の月餅がお月見のお供えものとして定番ですが、日本では団子がおなじみ。米の収穫時期と重なるため、秋の恵みと収穫に感謝し、さらに翌年の豊作祈願も込めて新米で団子を作り、お供えものとしたようです。
団子は満月に見立ててまん丸に形作り、十五夜にちなんで15個積み重ねてお供えしましょう。また十五夜は“芋名月”とも呼ばれ、里芋をお供えする風習もあることから、団子を里芋の形に似せて、こしあんを巻く地域もあります。

団子とみたらしあんを美味しく作るポイント
耳たぶくらいの柔らかさが目安
お月見団子は上新粉を使うのが一般的。白玉粉だけで作るより、もっちり柔らかく仕上がります。まず白玉粉と上新粉でそれぞれボウルを分け、白玉粉には水を、上新粉には熱湯を少しずつ加えながら練っていきます。湿度によって必要な水分量が変わるので、水や熱湯は様子を見ながら加えていくのがおすすめ(上新粉のボウルは火傷防止のため菜箸やヘラを使いましょう)。どちらも耳たぶくらいの柔らかさになったら、2つのボウルの中身を合わせてこね、一口大に丸めて蒸し器などで10分ほど蒸します。
みたらしあんは焼き餅にも合う

本来のお月見団子は味付けせずに積み重ねますが、味わうときはぜひ手づくりのみたらしあんをかけて。砂糖(大さじ8)、しょうゆ(大さじ2)、水(150cc)を火にかけ、水溶き片栗粉を入れてひと混ぜするだけで完成します(団子15個分)。焦がさないように注意して、とろみがついたらすぐに火を止めましょう。みたらしあんは、焼いた餅にかけていただくのもおすすめです。
空気が澄んだ、秋の夜空に浮かぶ美しい満月。2025年の十五夜は10月6日です。お月見団子をお供に、心安らぐひとときを楽しんでみてはいかがでしょう。
監修

橋本 加名子さん料理研究家、栄養士、フードコーディネーター
海外留学、商社勤務時代からアジア料理や江戸懐石料理を学び、独立。料理教室「おいしいスプーン」主宰。『フライパンひとつで!失敗しない中華・アジア』(タツミムック)など著書多数。
取材・文/佐藤望美 写真/pixta
「食べる」⼀覧へ戻るHOUSING NEWSハウズイングニュースとは
私たち日本ハウズイングと、 管理マンションにお住まいの皆さまをつなぐコミュニティマガジンです。