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読むだけで美味しくなるワインの話 (第26回 ラクして楽しむワインパーティーのコツ)

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ワインパーティーの季節が到来

さぁ、ワインの活躍する季節がやってまいりました!

少し大げさかもしれませんが、クリスマスや年末年始などはご家族やご友人とテーブルを囲んでのパーティーの季節です。ぜひ、美味しいワインと食事で一年の疲れを吹き飛ばすぐらい楽しんでいただきたいと思います。
しかし、忙しい現代人。仕事や家事といった日々の生活をこなしながら、誰かを招待するパーティーの準備をするのは大変ですよね。
そこで今回は、少しの工夫で手軽に、かつご家族やご友人と一緒に楽しいひとときを過ごすことができる「ラクして楽しむワインパーティーのコツ」をソムリエの視点からお話したいと思います。ワインと料理の選び方、簡単に準備できるレシピ、さらにはパーティーの雰囲気作りまで、手間を最小限に抑えつつ最大限楽しめる方法をご紹介します。

ワイン選びはシンプルに

今回の主役はワインではなくパーティーを楽しむ皆さんです。ワインの選び方で迷う方も多いと思いますが、パーティーの人数が4〜6人程度なら、ワインは泡・白・赤の3種類で十分です。日頃からワインを飲まれる方の場合は特に「この機会にとっておきのワインを」と思いがちですが、パーティーが盛り上がると「翌日にはせっかくのワインの味を覚えてない」なんてこともざらですし、大切に保管していたワインが気になって逆にパーティーを楽しむ時間が減ってしまうなんてこともあります。

また、高級なワインは飲み頃を選んだり、味わいの複雑さから合わせる料理が難しくなったりします。こういった場合、ワインのTPO的には「シンプルで、素直に美味しいと思えるワイン」を選ぶのがおすすめです。
それでは、具体的にどういったワインを選べばよいかを見ていきましょう。


スパークリングワイン

この時期のパーティーにはスパークリングワインは欠かせません。高級なシャンパンではなくても、手軽で美味しいスパークリングワインはたくさんあります。例えば、現在世界的に流行っているイタリアの「プロセッコ」。爽やかで軽快、フルーティーな香りで果実味が豊かなプロセッコは、乾杯にもぴったりです。
もう一つのおすすめはスペインの「カヴァ」です。何よりリーズナブルなのに品質が高いのでコストパフォーマンスが高く、食事とも合わせやすいです。シャンパンと同じ手間のかかる瓶内2次発酵という製法からくる複雑さも魅力のひとつです。


白ワイン

特にクリスマスや年末では、シーフードや軽いサラダにぴったりな軽快な白ワインが一本あれば安心です。飲みやすく、幅広い料理と相性の良さそうなものを選びましょう。
例えば「シャルドネ」というブドウ品種は多くの人が知っていて、様々なタイプがあるのが嬉しいところです。
チリなどの新世界で造られる軽快なシャルドネは色々な料理に合わせやすいですし、ちょっとこだわりたいときは、ミネラル感のある「シャブリ」も良いでしょう。樽熟成のシャルドネを選べば、ローストチキンやクリームソース系の料理にもぴったりです。
また、フルーティーでアロマティックなワインが好みでしたらアルゼンチンの「トロンテス」という品種もお勧めです。良く熟したフルーツの豊かな香りが特徴で、その香りがテーブルを華やかに彩ってくれます。それでいて味わいは軽やか。価格もリーズナブルでスイスイと飲めるタイプが多いのが特徴です。


赤ワイン

フルボディで、肉料理や温かい料理にぴったりな赤ワインを1本選びましょう。
例えば、フランスの「ボルドー」やイタリアの「キアンティ」などは、お肉料理を引き立てるのにピッタリです。ボルドーは最新リリースの2021年産が、早くから楽しめる柔らかい酒質で今年飲むのにもピッタリです。赤ワインの王道ともいえる飲みごたえある味わいで、好き嫌いを選ばないワインとしても重宝します。また、いつもとちょっと違うワインが良ければ、イタリアのキアンティもおすすめです。熟成感があり、しっかりとしたタンニンが特徴で、牛肉を始めとした赤いお肉とは抜群の相性です。


楽しむためにパーティー料理は簡単に

さて、ワインパーティーの準備で気になるものと言えば、やはり料理です。もちろん手が込んで豪華な料理であるのに越したことは無いのですが、忙しい中、そんな料理は準備できない!という方もおられると思います。
ポイントは、手間なく提供できて、取りやすく食べやすいものであること。すぐ出せる冷製料理を中心に、温かい料理は温めるだけですぐ出せるぐらいが良いでしょう。そこで今回は、手軽に準備できて、それでいてワインに合う、そんなフィンガーフードを2種類紹介します。


スパークリングワインにぴったり!ミックスナッツのメープルシロップがけ

お好きなクラッカーにナッツをのせ、上からメープルシロップを適量かけます。それだけ?と思うかもしれませんが、意外と侮れません。メープルシロップの風味がスパークリングワインと好相性で、ついつい進んでしまうフィンガーフードです。

材料

  • クラッカー
  • ナッツ(アーモンド、カシューナッツ、クルミ等)
  • メープルシロップ

白ワインのお供にスモークサーモンとアボカドのクラッカー

見た目もきれいでテーブルに映えるフィンガーフードです。クリームチーズの酸味がスモークサーモンとアボカドとワインの相性をつないでくれます。白ワインの産地が地中海沿岸のような海に近い産地のワインだった場合(イタリアの白ワインなど)は、クリームチーズの代わりにオリーブオイルをかけると、よりワインにマッチします。

材料

  • スモークサーモン
  • アボカド
  • クラッカー
  • レモン汁
  • クリームチーズ(もしくはオリーブオイル)
  • 塩・コショウ(適量)

作り方

  1. アボカドを縦半分に切り、種を取った後、クラッカーのサイズに合わせて一口大にカット。軽くレモン汁をまぶしておくと変色を防げます。
  2. スモークサーモンもクラッカーサイズにカット。
  3. クラッカーにクリームチーズを薄く塗り、お好みで塩・コショウをかける。
  4. ③のクラッカーの上に、アボカド、スモークサーモンをのせて完成。

いかがでしょうか、かなり手軽に作れると思いますので、ぜひお試しください。他にもシンプルなサラダやチーズなど、冷蔵庫から出すだけでOKなものも良いと思います。温かい料理としては、ローストビーフやローストチキンのような、焼き上げてしまえば、あとは切って出すだけといった料理が良いでしょう。提供に手間がかからない上、豪華さも演出してくれます。赤ワインにも合って、パーティーにピッタリな料理と言えるでしょう。


パーティーでのワインサーブのすすめ

パーティーでは、誰がワインをサーブするのかという点も考えなくてはいけません。ですが、主催者が頑張ってしまうとせっかくのパーティーを自分が楽しめません。そこでご提案したいのが、誰がサーブするかにこだわらず、飲みたいときに自分で気軽にサーブできる環境を作ることです。ワインは全員が手の取りやすい位置に置いておき、スパークリングワインや白ワインなら、取りやすい位置にクーラーをセットします。クーラーが無ければ事前にしっかり冷やしておくだけでも十分ですし、主催者がサーブするのは乾杯の1杯ぐらいで十分でしょう。あまり細かいことを気にせず楽しむのが大事です。

そこでご紹介したいのが、ドロップストップというアイテムです。円形で銀色のフィルムで、くるっと丸めて瓶口に刺すことで、誰でもワインをスムーズに注ぐことができます。瓶口の液垂れはワインサーブの一番のストレスですから、これがあるだけで、参加者全員が気軽にワインを注げるようになります。Amazon等でも簡単に購入できます。

また、ワイングラスも沢山用意するのではなく、スパークリングワインから赤ワインまで通して使える中庸なグラスが一脚あれば十分です。高級なグラスは盛り上がる会の場では割ってしまうリスクもありますし、一人一脚であればスペースを圧迫しないので、事故も防げます。さらには片付けもラクチンです。

空間の雰囲気作りも手間をかけずにできるものがあります。部屋の照明を少し暗くして、キャンドルを灯し、軽やかなジャズやクラシックを流すと、部屋が穏やかで落ち着いた雰囲気になります。こだわりたい方はお試しを。


まとめ

今回のテーマは「ラクをして、楽しむワインパーティー」ですので、最も大切なのは、パーティーの参加者全員が楽しむことです。パーティーの準備や参加者への気配りで疲れてしまうのはもったいないですよね。ご家族やご友人と一緒にワインを楽しみ、会話を楽しむ時間を何より大切にしてほしいと思っています。手間をかけすぎず、ワインと料理、そして心地よい雰囲気を楽しみながら素敵な時間を過ごし、あなた自身が楽しむことを忘れないようにしてくださいね。今回の記事が、みなさんの楽しいクリスマスや年末年始の一助になることを願っています。どうぞ良いお年をお迎えください。

監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。
2023年からWEBサイト「ちょっとまじめにソムリエ試験対策こーざ」の講師に着任。
RISTORANTE IMAI:http://www.ristoranteimai.com/

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 ソムリエ・エクセレンス取得
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