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暮らしを楽しむ にほんの食ごよみ(第9回「七五三のお赤飯」)

食べる

日本でお祝いの席に欠かせないものといえば、お赤飯。人生の節目となる場面でたびたび登場する、日本人にはなじみの深い料理ですが、なかでも11月は、子どもの成長を祝う七五三の食卓を、お赤飯が華やかに彩ってくれます。
はるか昔、縄文時代に中国大陸から伝わった赤米は、炊きあがるとお赤飯のような赤色をしていたそうです。日本では、古くから赤色には邪気を払う力があると考えられていました。そのため、赤米を神様にお供えしていたといわれています。品種改良で白い米に変わってからも、小豆で色づけしたお赤飯が、今日まで作られ続けてきました。


お赤飯を美しく、おいしく仕上げるポイント

01「小豆」より「ささげ」のほうが煮崩れしにくい

お赤飯に使われている豆は、地域によって異なります。一般的なのは小豆ですが、小豆よりもやや粒が大きく、煮崩れしにくいささげを使う地域も。実は、小豆は加熱すると皮が破れたり、実が潰れてしまったりすることが多いのです。そのため、特に武士文化が根強かった関東では、「敗れる」「胴割れ(切腹)」を連想させるとして避けられるようになり、お赤飯に小豆ではなくささげを使うようになったといわれています。

ささげは乾物で長持ちするため、七五三のお祝いで余ったら保存しておき、翌年のお正月や成人のお祝いに、またお赤飯を炊くとよいでしょう。小豆と同じようにあんこ作りに使ったり、チリビーンズを作ったりするのもおすすめです。

02塩と黒ごまを乾煎(からい)りして振りかければ、さらにおいしい

今は手軽に炊飯器で炊くことができるお赤飯ですが、本来は蒸し器で蒸して作るものです。小豆やささげは別で茹でておき、蒸し器の中のもち米の水分がなくなってきた頃に混ぜ込みます。仕上げにかけるごま塩は市販品でも構いませんが、せっかくならひと手間加えて自家製で。塩と黒ごまをフライパンで乾煎りし、水分を飛ばしてパラパラにすると、より味わい深くなります。電子レンジの場合は塩と黒ごまを入れた器にふんわりとラップをかけ、600Wで30秒ほど加熱すれば完成です。

見た目が華やかなお赤飯は、めでたい気分をさらに高めてくれますね。七五三に限らず、お祝い事の席でぜひ作ってみてください。

監修

橋本 加名子さん料理研究家、栄養士、フードコーディネーター

海外留学、商社勤務時代からアジア料理や江戸懐石料理を学び、独立。料理教室「おいしいスプーン」主宰。『フライパンひとつで!失敗しない中華・アジア』(タツミムック)など著書多数。

取材・文/佐藤望美
写真提供/PIXTA

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