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暮らしを楽しむ にほんの食ごよみ(第5回「霜降」)

食べる

そろそろ冬ごもりの準備を

「霜降(そうこう)」とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが二十四節気のひとつ。10月24日ごろから11月7日ごろを指し、秋の六節気の最後の候です。霜降の次は立冬。つまり、霜降は秋と冬の境目にあたります。その名の通り北国では霜が降り始め、朝晩の冷え込みがさらに増してくる時期です。特に決まった行事や習わしはないものの、実り多き秋の味覚の名残を楽しみつつ、そろそろ冬支度を始めたいところ。保管してあった暖房器具を出したり、コートや厚手の衣類を準備するタイミングです。


食で体を労わる

根菜は皮ごと調理すれば栄養価アップ

「霜降」を過ぎるとおいしさが増してくるのは、大根やにんじん、ごぼう、生姜といった根菜類。これらの野菜は、皮と実の間に多くの栄養が含まれています。よく水洗いし、できれば皮つきのまま調理しましょう。

例えば、ほっこりと体に沁みる煮物はいかがでしょうか。生姜も皮つきで薄切りにし、煮物に加えると体がぽかぽかに。生姜は薬味や隠し味という印象が強いですが、煮物の具として一緒にいただくのもおすすめ。気温の低下で冷えた体は、内側からしっかり温めたいものです。

また、煮物でさらに体を温めるなら、煮汁に黒酢を少し加えてみてください。黒酢を摂ると代謝が上がり、体の温めを促進すると言われています。鶏肉や骨付きのスペアリブを煮込む場合は、肉がホロホロと柔らかくなるうれしい効果も。

免疫力を高めてくれるのはビタミン

「霜降」のころは季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でもあります。風邪を引いたり、喉が痛くなることも。病気やウイルスに負けない体をつくる、免疫力強化を意識した食事を心がけたいですね。

特に摂取したいのはビタミンA、ビタミンC、ビタミンE。なかでもにんじんにはビタミンAが豊富に含まれています。キャロットラペなどにして生でいただくのもおいしいですが、きんぴらにするなど油と一緒に摂取すると、栄養の吸収率がアップ。炒め物にするなら、ビタミンEが豊富な豚肉と一緒に炒めても。ビタミンEは疲労回復効果が期待できると言われています。

昔から、日本の食卓を彩ってきた定番料理には、健康を維持するための先人の知恵が生かされているのかもしれませんね。

冬支度は、本格的な寒さがやってくる前に。季節の移り変わりを肌と舌で感じてみてはいかがでしょうか。

監修

橋本 加名子さん料理研究家、栄養士、フードコーディネーター

海外留学、商社勤務時代からアジア料理や江戸懐石料理を学び、独立。料理教室「おいしいスプーン」主宰。『フライパンひとつで!失敗しない中華・アジア』(タツミムック)など著書多数。

取材・文/佐藤望美

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