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マンション管理ゼミナール『避難設備』の基礎知識

マンション生活

普段何気なく目にしている避難設備には意味がある

マンションやビルでよく目にする人型マークの入った誘導灯。これは建物内にいる人が安全に避難するために設置されている避難設備ですが、色やデザインには意味があります。また、一定規模以上のマンションには火災などの災害時に住民が安全に避難できるよう、非常階段や避難ハッチなどの避難設備の設置が消防法で義務付けらおり、それぞれ大事な役割を果たしています。いざという時に役立つように、避難設備の基礎知識について確認していきましょう。

Q1誘導灯には種類があるの?

避難口誘導灯と通路誘導灯の2種類があります。
誘導灯には、屋内から外に通じる非常口の場所を示す「避難口誘導灯」と、廊下や通路に設置して非常口までの方向を示す「通路誘導灯」の2種類があります。誘導灯には、停電時でも20分以上点灯できるよう蓄電池設備が内蔵されており、暗い室内でも逃げる方向(安全な屋外への出口)が分かるようになっています。

豆知識

非常口のマークが緑色なのは、炎の赤に対して最も認識しやすい色だからです。

  • 非常口の場所を示す「避難口誘導灯」は緑色の地に白文字
  • 非常口までの方向を示す「通路誘導灯」は白色の地に緑文字の灯火になっています。

Q2非常用照明はどんな役割をするの?

停電時に点灯し避難通路の明るさを確保します。
マンションの廊下や階段などでよく見かける、紐がぶら下がった照明器具が非常用照明です。多くはバッテリーが内蔵され、建築基準法により、停電しても30分以上点灯できる機能を備え、非常用照明だけで床面の水平面照度が1ルクス(蛍光灯器具の場合は2ルクス)以上確保できるように配置しなければなりません。なお、器具自体は主要部分が難燃材料で作られ(または覆われ)、燃焼しにくくなっています。

白熱灯タイプ

蛍光灯タイプ

Q3避難器具の種類や使い方は?

避難器具は規格により8種類に分類されています。
マンションでよく見かけるのはベランダの床に設置されている避難ハッチと呼ばれる避難はしごです。ハッチを開けると、折りたたまれた避難用のはしごが収納されています。避難ハッチはすべてのベランダに設置されるわけではありません。一番端にある住戸のベランダに設置されているケースが多く、隣家との境界に設置されている隔て板を蹴破って、避難ハッチのある所にたどり着くようになっています。

  • 避難はしご
  • 緩降機
  • すべり台
  • すべり棒
  • 避難橋
  • 避難用タラップ
  • 救助袋
  • 避難ロープ

なお、避難ハッチは上下階で位置をずらして設置されています。これは、万一足を踏み外した場合に一番下まで落下し続けることを防ぐためです。
「2階以上の階または地階で、収容人員が30人以上」、または「3階以上のうち避難階または地上直通階段が1つのみの階で収容人員が10人以上」の共同住宅には、避難器具の設置が消防法で義務付けられます。
お住まいのマンションにどんな避難器具があるのか、その設置場所、使い方などを確認しておくといざという時に安心です。

ワンポイントアドバイス

火災時に一番怖いのがパニックです。慌ててしまうと適切な判断ができなくなったり、火災と関係のない原因でケガをしたりしてしまいます。共同住宅は燃えにくい素材が用いられているため一気に燃え広がることはありません。また、構造的に短時間で崩れることがないようにできています。非常時には冷静に落ち着いて行動しましょう。

避難設備にまつわる常識・非常識

誘導灯が点滅していたらランプを取り換える。

誘導灯は常時点灯しています。万一消灯していると非常時に誘導灯の役割を発揮できません。誘導灯が点滅していたら、早急にランプを交換しましょう。大規模修繕工事の時などに、省エネも兼ねてLED商品に交換するのも一案です。なお、器具本体の交換目安は8~10年、蓄電池の寿命は4~6年と言われています。

ベランダの隔て板の前に荷物を置いてはいけない。

避難する時は、隔て板を蹴破って避難ハッチがある場所まで移動する必要があります。しかし、隔て板の前に物が置いてあると避難経路を塞いでしまい、避難ができず逃げ遅れてしまいますので、絶対に物を置かないようにしましょう。また、避難ハッチの上に物やウッドデッキを置くのも厳禁です。

窓に付いている赤い逆三角マークが邪魔なので取りたい。

このマークは、消防隊がはしご車を使って進入するための非常用進入口を示すもので、とても大切です。はしご車が届く高さは30m程度なので、地上31 m以下で3階以上の窓に設置されています。消防隊が進入口を瞬時に判断することが迅速な救助や消火活動に繋がります。赤い逆三角マークは決して剥がさないでください。

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