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マンション管理ゼミナール『警報設備』の基礎知識

マンション生活

火災をいち早くキャッチして命を守る警報設備

警報設備は、火災が発生した時にいち早く危険を知らせてくれるもので、私たちの命を守る重要な設備です。
マンションの警報設備として代表的なものは「自動火災報知設備」です。煙や熱、炎を自動的に感知する「感知器」、ボタンを押してベルを鳴動させる「発信機」、感知器や発信機からの信号を受信する「受信機」などの機器で構成され、火災を早期に知らせてくれます。延べ床面積500㎡以上のマンションには、原則として自動火災報知設備の設置が義務付けられています。消防法では、建物の構造や規模に応じて、警報設備の設置基準が細かく定められています。

Q1マンションには自動火災報知設備の他に、どんな警報設備があるの?

火災報知設備や非常警報設備があります。
「火災報知設備」は消防機関へ通報するもので、延べ床面積1000㎡以上のマンションには設置する義務があります(消防機関へ常時通報可能な電話設備があれば省略することができます)。

「非常警報設備」には、次の3つがあります。

  1. 非常ベル
  2. 自動式サイレン
  3. 放送設備

「収容人員50人以上」または「地階および無窓階の収容人員20人以上」のマンションは上記1〜3のうち1つを、「地上11階以上または地下3階以上」または「収容人員800人以上」の大規模マンションは、放送設備とともに、非常ベルか自動式サイレンの設置義務があります(自動火災報知設備がある場合は、非常ベルや自動式サイレンを省略することができます)

Q2感知器にはどんな種類があるの?

主に「熱感知器」と「煙感知器」の2種類があります。
マンションに設置されている感知器には、熱を感知する「熱感知器」と、煙を感知する「煙感知器」の2種類があります。

熱感知器には2種類あり、居室などには室内の温度が短時間に急上昇すると作動する「差動式スポット型感知器」が設置されます。一方、キッチンや脱衣所など、調理熱や入浴などにより周囲の温度が急激に上昇する場所は差動式が使えないため、一定の温度以上になると作動する「定温式スポット型感知器」が設置されます。

煙感知器は、廊下や階段上部など煙がたまりやすい場所に設置されます。マンションでは、「光電式スポット型感知器」と呼ばれる感知器が一般的です。

豆知識

熱感知器と煙感知器とを見分けるポイントは、「隙間が空いているかどうか」です。煙感知器は、煙が入る隙間が空いています。

熱感知器 煙感知器
差動式スポット型感知器 定温式スポット型感知器 光電式スポット型感知器
差動式スポット型感知器はダイヤフラム式が一般的。熱で感知器の周りの温度が上昇し、内部に閉じ込められた空気が急激に膨張すると作動する。 定温式スポット型感知器は、バイメタル式が一般的。一定の温度(60℃または70℃)以上になると、バイメタルと呼ばれる円形の金属板が曲がって作動する。 光電式スポット型感知器は、内部で光が点滅している。感知器の中に煙が入ると光が乱反射し、それを受光部が感知して作動する。この他には光電式分離型煙感知器などがある。

ワンポイントアドバイス

感知器は、取り付ける場所や位置が厳格に定められています。リフォームで部屋の間取りを変更する場合などは、感知器の増設や位置の変更が必要になることもありますので、要注意です。

 

Q3感知器が作動すると警報音が一斉に鳴るの?

一斉に鳴る場合と一部が鳴る場合があります。
自動火災報知設備のあるマンションでは、感知器が作動すると受信機に信号が行き、ベルなどの音響装置を鳴動させて、建物内の人に火災発生を知らせて避難を促します。

マンションの大きさや構造によって設置機器や仕組みが異なるため、警報の鳴り方はさまざまです。全館一斉に警報音が鳴るマンションもありますし、大規模なマンションでは、感知器が反応した階とその直上階だけなど、限定した箇所のみで鳴る場合もあります。

なお、自動火災報知設備の心臓部にあたる受信機にも2種類があります。管理員室に設置されていることが多く、火災の場所を表示してくれます。

受信機の種類

P型受信機 R型受信機
P 型は、比較的小規模なマンションに使用されている。警戒区域の数だけ表示窓があり、感知器が作動した場合はその区域のランプが点灯する。 R 型は、大規模なマンションで使用されていることが多い。液晶などの表示モニターがあり、文字情報で火災の発生場所を表示するものが一般的。

避難設備にまつわる常識・非常識

 感知器は年に2回、定期点検が行われる。

消防法では、有資格者による消防用設備点検を年2回(6月以内ごとに1回)行うように定めており、感知器は毎回専用の試験器を使って試験を行います。自動試験機能もしくは遠隔試験機能がある感知器もありますが、一般的な感知器は住戸内に立ち入って点検を行う必要があります。正常に作動するかをチェックする大切な点検ですので、ご協力をお願いします。

 自動火災報知設備があれば、消防署に自動的に通報がいく。

自動火災報知設備があれば、消防署へ自動的に通報がいくわけではありません。延べ床面積1000㎡以上のマンションには、消防機関へ通報する「火災報知設備」の設置が義務付けられていますが、その多くは自動火災報知設備と連動されておらず、ボタンを押すなどして手動で119 番通報する必要があります。
万一、火災を発見したら、すぐに119 番に通報してください。

感知器のそばでヘアスプレーを使うと作動してしまう。

煙式の感知器はヘアスプレーが直接かかると誤作動することがありますが、マンションの住戸内に多い熱感知器の場合は、反応することはありません。しかし、ヘアスプレーに含まれるガスが、ガス漏れ警報器に反応することはあります。調理中に料理酒やみりんを使用した場合に反応することもよくあります。

万一、誤作動した場合は、室内にあるインターホン親機に停止ボタンがあればそれを押し、その後、速やかに管理会社に連絡をしてください。管理員室など共用部分に設置されている受信器の解除などの処置をしてもらう必要があります。

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