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マンション管理ゼミナール『鍵』の基礎知識

マンション生活

住まいからデータまで 侵入や盗難防ぐ必須アイテム

建物への侵入や家財の盗難などを防ぐために用いられる「鍵」。錠を開けたり閉めたりする道具として、マンションの玄関ドアやエントランス、金庫、自動車など、さまざまなシーンで欠かせない役割を果たしています。さらに現在は、メールアドレスやクレジットカード番号、ウェブサービスにログインするIDやパスワードといった個人情報を含むデータ漏えいを防ぐ目的でも、電子的な鍵が使われるようになっています。そもそも鍵の歴史は古く、紀元前2000年にエジプトで使われたのが最古といわれています。閂(かんぬき)に差し込んだ鍵が、内部のピンを動かすことで解錠する仕組みは、今なお現役で使われている鍵の原型となっています。鍵はどのように進化し、私たちの暮らしをどう支えるようになったのか、鍵の種類や構造などとともにお伝えしたいと思います。

Q1鍵の仕組みってどうなっているの?

錠の内部にあるピンの高さをそろえて解錠するのが基本です。
鍵は一般的に、錠の内部に設けられた複数のピンを動かすことで解錠します。鍵や錠の種類によってピンの形状や構造は異なるものの、基本的には同様の仕組みを採用しています。

一般的な鍵の仕組みは右図のようになっています。錠の内部は外筒と内筒に大別され、鍵を使って内筒を回転させることで解錠します。鍵を差していないときは、ピンの上部にある上ピンが内筒に複数刺さっています。そのため、内筒はピンで固定されている状態で回転できません。鍵を鍵穴に差し込むとピンが外筒側に移動する構造になっています。 正しい鍵を差し込むと、鍵の形状に合わせて各ピンが移動し、上ピンと下ピンの境目が外筒と内筒の境目であるシアライン上にきれいに並び、内筒を回転させて解錠できるようになります。このとき、外筒側には上ピンが、内筒側には下ピンが収納されています。

違う鍵を差し込んだ場合には、上ピンがシアラインよりも内筒側に飛び出してしまいシアラインが一直線にならないため、内筒を回転させるとはできません。

ピンタンブラー錠の仕組み

Q2鍵にはどんな種類があるの?

用途や安全性の異なる鍵が多数あります。
現在のマンションで使われる代表的な鍵は下表のとおりです。鍵先がギザギザなピンタンブラー錠は、多くの住まいで採用されています。片側だけでなく両側に刻みを入れた鍵もありますが、どちらも針金や特殊な工具を使って不正に開錠するピッキングに弱いといわれています。

一方、鍵先にくぼみを設けたディンプルキーは、錠のピン数を増やして構造を複雑にできるほか、鍵も複製しにくくピッキングに強いといわれています。ICチップを埋め込んだカードキーもピッキング対策には有効です。
近頃は、鍵という道具を使わずに解錠する方法も次々に実用化されています。暗証番号キーは、決められた番号を入力することで解錠する仕組みで、鍵を紛失するリスクをなくせるのがメリットです。指紋や静脈などの個人情報を読み取って本人を特定する生体認証キーも、高い安全性からマンション用の鍵として徐々に普及しています。

マンションで使われる代表的な鍵の種類

ピンタンブラー錠

シリンダーと呼ぶ円筒状の錠に、鍵を差し込んで解錠するタイプ。多くの住宅で利用されるも、ピッキングで解錠されやすく、防犯性は必ずしも高くない。

ディンプルキー

鍵先に複数のくぼみがついているのが特徴。新しいマンションなどで導入が進む。ピンタンブラー錠より防犯性が高く、ピッキングがされにくくなっている。

暗証番号キー

暗証番号を入力して解錠する。鍵を紛失するリスクがない反面、暗証番号を忘れると解錠できない。入力中、第三者に読み取られないように注意する必要もある。

カードキー

専用リーダーにカードをかざすことで解錠する。暗証番号を覚える必要がない。カードを紛失したり、曲げたりすることで使えなくなってしまうこともある。

生体認証キー

指紋や指に透けて見える静脈、さらには顔、目の虹彩などを認識して解錠する仕組み。本人以外は解錠できないため、防犯性は非常に高い。

Q3鍵を交換する場合、費用はどうなるの?

玄関ドアの錠は専有部分で、所有者本人の負担となります。
安全性を高めたいとの理由から、鍵を交換したいと考える人は多いはず。しかし、その費用は誰が負担するのでしょうか。
国土交通省が定めた「マンション標準管理規約」によると、玄関ドアの錠と内部の塗装部分は専有部分で、それ以外は共用部分となります。つまり、鍵の交換は所有者本人の負担となるのが一般的です。
しかしマンションのなかには、錠を共用部分と定めるケースもあります。錠を交換する場合は管理組合に連絡し、交換方法について事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

鍵にまつわる常識・非常識

管理会社は各戸の合鍵を持っている

賃貸マンションの場合には、管理会社が鍵を保管・管理しているケースがあります。しかし、分譲マンションの管理を受託している管理会社の場合、管理しているのは共用部分の鍵のみです。エントランスの入り口や駐輪場、ゴミ置き場などといった共用部分を開閉するための鍵は管理していますが、各戸の玄関ドアを解錠できる専有部分の鍵は持っていません。

なお、管理組合のなかには外部の警備会社と契約しているケースがあります。この場合、各戸の鍵を預かることもありますが、鍵は厳重に管理され、警備会社が緊急時に利用するなどの用途に限られます。

マンションの合鍵はどこでも作れる

マンションがオートロックかどうかで異なります。オートロックでない場合、合鍵はどこでも作れるのが一般的です。(ディンプルキー除く。)しかしオートロックの場合は、各戸の玄関ドアを開け閉めする鍵を使って、エントランスやゴミ置き場なども開閉できるような特殊なシステムが組み込まれて連動しています。そのため、メーカーに合鍵を注文する必要があります。鍵の種類などにもよりますが、納期に1カ月程度掛かるケースもあります。

泥棒に鍵を壊されたら家財保険が適用される?

電化製品や家具などの家財を補償対象に含む火災保険のなかには、空き巣などが侵入した際に壊された錠の修理・交換費を補償するものがあります。ただし、鍵を紛失したり盗まれたりした過失が理由で錠を交換するときには適用されません。第三者によって鍵が壊された場合、保険が適用されるかどうかを保険会社に確認すると良いでしょう。

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