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マンション管理ゼミナール『消火用設備』の基礎知識

マンション生活

万が一の場合に備えて、消火用設備の構造や使い方を確認しておきましょう

マンションでは多くの方が生活しているので、ひとたび火災が発生すると大惨事になる危険性があります。そのため、火災が発生しても被害を最小限に抑えられるよう、消防法により、消防用設備などの設置や維持管理が義務付けられています。消防用設備の種類は、消火設備、警報設備、避難設備などです。今回は、身近な消火用設備や消防隊が使用する消火活動上必要な設備についてお伝えします。

Q1消火器はどんな時に使えばいいの?

消火器は、初期消火に有効です。
私たちに最も身近で、初期消火に有効な消火設備は、消火器です。消火器にはいくつか種類がありますが、マンションに最も普及しているのが、ABC粉末消火器です。ABCとは、火災の種類を表すものです。A火災は木材や紙、布など可燃物によるもので、普通火災とも呼ばれます。B火災はガソリンや石油、食用油などによる油火災、C火災は電気設備による火災です。つまり、ABC粉末消火器は、A・B・Cそれぞれの火災に対応できる消火剤を配合しているということです。

消火器の放射時間は、種類や薬剤の量により異なりますが、ABC粉末消火器は比較的短く15秒ほどです。大火災を未然に防ぐには、初期消火が重要です。あらかじめ、消火器の使い方を確認しておきましょう。

消火器の使い方

Q2「屋内消火栓」は、誰がどのように使うものなの?

消防隊の到着までに、居住者の方々が使う設備です。
マンションの廊下などに設置されている屋内消火栓には、ホースやノズルなどが格納されています。これは、大人であれば誰でも使用可能な設備です。屋内消火栓は、放水量・圧力、操作性により大きく2種類に分けられます。

放水量が多い従来型のタイプを、1号消火栓といいます。ホースをすべて格納庫から引き出す必要があるため、原則として2人以上で操作を行います(最近では、1人でも扱えるよう、操作性を向上させた易操作性1号消火栓も登場しています)。これに対して、2号消火栓は放水量が少なく、操作も簡単で、手順さえ分かれば1人でも操作可能です。

Q3送水口はどんな役割をするの?

各フロアまで水を送る設備で、消防隊がホースをつないで使用します。
高層建物などの火災では、はしご付き消防車による外部からの消火活動に限界があり、また、消防ポンプ車からホースを延長するのが難しい場合があります。そのため、7階以上(地階を除く)の建物、または5階以上(地階を除く)で延べ面積が6000㎡以上の建物などには、消防隊員が建物内部で消火活動を行うための連結送水管設備の設置が義務付けられています。

連結送水管設備は、送水口、放水口などで構成されています。火災発生時には、消防ポンプ車が消火栓や防火水槽などから水を吸い上げて送水口を通して建物内に水を送り、消防隊が放水口にホースをつないで消火活動を行います。

 

消火の際、即時放水できるよう連結送水管の中には常に水を充填しておく湿式が多いですが、寒冷地などは凍結防止のため、管内を空にしておく乾式の場合もあります。

消火用設備にまつわる常識・非常識

消火器は10年以上置いたままだ。

消火器にも寿命があります。一般的な耐用年数は8〜10年です。老朽化した消火器はいざという時に役に立たないばかりか、破裂するなど思わぬ事故を引き起こす可能性もあります。製造年または使用期限は本体ラベルに記載されています。定期的に消火器を確認し、耐用期限が近い物は新しい物と交換しましょう。


加圧式粉末消火器(10型)

蓄圧式粉末消火器(10型)

消防用ホースは、管理組合で定期的に点検している。

屋内消火栓、屋外消火栓、連結送水管設備に設置されている消防用ホースは、消防法により製造年の末日から10年を経過した日以降に定期点検を行うことが義務付けられています(易操作性1号消火栓、2号消火栓のホースは除く)。
定期点検では、ホースや結合金具に変形、損傷、著しい腐食がないかという外観点検と、実際に水圧をかけて漏水がないかなどを確認する耐圧点検を実施します。耐圧点検は3年ごとに同様の点検が必要です。

スプリンクラーには衝撃を与えないよう注意する。

温度を感知して水を放出するスプリンクラーのヘッド部分は、外部衝撃に弱いという特性があります。物をぶつけた衝撃で、誤作動による放水や故障による水漏れが起こる危険性があります。最近では、耐衝撃型ヘッドも増えてきていますが、基本的には衝撃を与えないように注意しましょう。

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