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マンション管理ゼミナール『インターホン』の基礎知識

マンション生活

多機能に進化しているインターホン

インターホンが日本の住宅で使われるようになったのは、1960年代に入ってからです。当初は来訪者が「ピンポーン」と室内を呼び出すと話ができる、という通話機能だけでした。マンションではオートロックシステムの登場以降、インターホンの機能はエントランスドアの解錠やモニター画面による来訪者の確認各種警報機器との連動など、さまざまな進化を遂げています。モニター付きなどのインターホン設備は防犯対策上有効な手段の一つとして活用されています。

私たちの安全で快適な暮らしのために、今や欠かせない存在となったインターホンは、これまでどんな変遷をたどってきたのでしょうか。また、どんな仕組みになっているのでしょうか。

Q1マンションに登場したのはいつ?

1971年です。
マンション用インターホンが登場したのは1971年で、エントランスから各住戸を呼び出せるようになりました。当初エントランスの集合玄関機の操作はそれぞれの部屋のボタンを押す「フルキー式」でした。その後、部屋番号を押して呼び出す「テンキー式」に代わり、現在に至っています。

90年代には音声通話に加え、来訪者の映像も確認できる白黒モニター付きが普及。90年代後半になると、モニター画像は白黒からカラーに変わりました。そして2000年代に入ると受話器のない「ハンズフリー」の時代になりました。

Q2インターホン設備はどのマンションも同じ?

「集合玄関型」と「住戸単独型」があります。
マンションのインターホン設備には2つのタイプがあります。「集合玄関型インターホン」はオートロックのマンションで、エントランスに「集合玄関機」が設置され、各部屋の親機から遠隔でオートロックを解錠できるタイプです。各住戸、エントランス、管理室などマンション全体がネットワーク化され、一つのシステムになっているため、インターホン設備をリニューアルする時は、システム全体の取り換えが必要となります。

一方、「住戸単独型インターホン」は、オートロック機能がないマンションのシステムです。各住戸の前に設置した住戸玄関子機と、住戸内の居室親機で構成されたタイプで、住戸単位で設備が完結しています。なお、一定規模以上のマンションのインターホン設備は、消防法で義務付けられた自動火災報知設備と連動する機能を併せ持っています。

Q3最近のインターホンにはどんな機能があるの?

録画機能やガイド付きなどがあります。
最近のインターホンで大きな特徴の一つは、液晶モニターの大型化です。7型も登場し、より見やすくなっています。液晶パネルに触れるだけのシンプルな操作性のものや、光の点滅等でボタン操作をガイドする機能を持ったものなど、使いやすさが格段に向上しています。また、「録画機能」も人気です。呼び出しがあると来訪者の映像を自動的に録画してくれるので、留守中に誰かが来ても後で確認することができます。さらに、カメラ機能も向上しています。最新の機種では約170度の広角カメラを装備し、エントランスの集合機のほぼ真横にいる来訪者を映し出したり、離れた所にいる人をズームできるものもあります。


室内子機

玄関子機

集合玄関機

管理室親機

インターホン設備にまつわる常識・非常識

インターホンには寿命があるの?

インターホンも家電製品と同じように寿命があります。マンションの場合、インターホンの取り換えの目安は約15年とされており、おおよそこの前後に故障が増えはじめます。呼び出し音が鳴らない、ガサガサと音がする、勝手に「ピンポーン」と鳴るなどの不具合は、取り換え時期のサインです。

システム名 集合住宅用インターホンシステム
おおよその更新期間 15年

一般社団法人インターホン工業会資料より

工事期間中はオートロック機能がずっと使えない。

集合玄関型インターホンの取り換え工事にかかる期間は、例えば住戸数50戸の場合、1週間程度です。昔に比べて省配線、省施工が進み、工期が短縮されています。セキュリティーのため、エントランスのオートロック工事を真っ先に行います。ですから、初日に工事が終われば、オートロック機能は使えます。共用部分の工事が終わったら、各お部屋の工事を入居者立ち会いのもと、順次行っていきます。各お部屋の工事が終わるまでは集合玄関機から各お部屋の呼び出しができません。来訪者には、携帯電話などで連絡してもらうようにする必要があります。

玄関子機を各自でカメラ付きに変更できる。

各住戸の外側に設置されている玄関子機は、一般的に共用部設備として扱われているため、マンションの管理規約で認められている場合を除き、自宅の玄関子機だけカメラ付きに変更することはできません。特に、集合玄関型インターホンの場合には、マンション全体が一つのシステムでつながっているので、一戸だけ変更してしまうと全体に影響を及ぼす可能性があります。自動火災報知設備と連動している場合は警報が鳴らないなどの問題が生じます。

取材協力・写真提供:アイホン株式会社

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