別窓アイコン 矢印 矢印02

くまもると学ぶ! 知っ得マンション生活 裁判に発展するケースも!?「管理費滞納問題」

マンション生活

マンションの設備や共用部分などを維持、管理するために毎月支払うマンション管理費。しかし、さまざまな理由から、この支払いが滞ってしまうケースがあります。そのとき、管理組合はどのように対処すれば良いのでしょう。法務グループの担当者に話を聞きました。

教えてくれた人

青山 大輔日本ハウズイング 事業統轄本部
建物管理部法務グループ グループマネージャー

滞納問題解消のために頼れるスペシャリストでありたい

管理費は、共用部分や敷地内の定期清掃、電気代、エレベーターや給排水設備の点検など日々のマンション管理費用や管理組合の運営費用に使われる資金で、マンションを維持するために必要不可欠なものです。しかし、平成30年度マンション総合調査結果によると、平成30年度にマンションで発生したトラブルのうち、費用負担に関するトラブルは25.5%と、居住者間のマナー55.9%、建物の不具合31.1%に次いで3番目に高い割合を占めています(重複回答)。このことからも、費用トラブルは、各マンション、特に管理組合にとって頭を悩ませる大きな問題といえます。

建物管理部法務グループは、滞納問題を含むマンション内で発生するさまざまなトラブルを、法的観点から解決に向けて、担当部支店を通じて管理組合をサポートする専門部署です。滞納は、長引けば長引くほど管理組合にとって深刻な問題になりかねません。こういった問題をスムーズにかつ早期に解決できるよう、管理規約の改正をアドバイスする場合もあります。また、万が一裁判に発展したときには、弁護士をご紹介するケースもあります。

QUESTION01管理費などの滞納問題は増えている? 減っている?

滞納戸数の割合は景気の良し悪しにも比例する
滞納問題の増減は景気に左右されるといっても過言ではありません。平成25年度と平成30年度を比較すると、この間は景気が少しずつ回復していたことから、滞納が発生したマンションの割合は減少傾向に(平成30年度マンション総合調査結果より)。しかし昨今のコロナ禍で、今後はこれまで通りの収入を見込めない方が増えることも予想されるので、滞納問題も増加する可能性があると注視しています。

QUESTION02管理費などを滞納しやすいマンションの傾向は?

完成年次が古いマンションほど滞納の割合が増える傾向に
一般的にあまり増額しない管理費に対し、修繕積立金は築年数の経過とともに、長期修繕計画の見直しなどで増額するケースが多くなります。一方で、組合員の方でも第一線から退かれる方が増えます。そうすると、組合員の方々の中には定期的な収入が減ったり、なくなってしまう方もおられ、修繕積立金の増額に対応しきれず、支払いが滞るケースが発生しやすくなります。

QUESTION03滞納が発生した場合、管理組合はどう対処するべき?

日本ハウズイングが滞納解消に向けて段階的に働きかけます
滞納が発生した場合は、まず日本ハウズイングより請求書のハガキを送付し、応じていただけない場合はお電話で督促します。管理組合との管理委託契約の内容によっては、ご自宅を訪問することもあります。それでもご対応いただけない場合は、管理組合代表者である理事長名義で『配達証明付内容証明郵便』の送付を管理組合にご提案します。万が一、裁判になったときに、この『配達証明付内容証明郵便』が証拠として有効な書面になるからです。

QUESTION04滞納した組合員が特定されるようなことはない?

2017年5月に個人情報保護法が改正施行され、マンションの管理組合も、この法律が適用される組織に認定されました。そのため、滞納した組合員の方の個人情報は議事録などに記載せず、理事会でも理事長と役員の方にのみに共有されます。私たち管理会社からも、個人情報の保護やプライバシーの確保を徹底していただくよう管理組合にアドバイスしています。

QUESTION05弁護士をお願いした場合の費用はほかの組合員が負担するの?

平成30年度マンション総合調査結果を見ると、専門家を活用しているマンションは41.8%あり、そのうち弁護士は15.2%です(重複回答)。管理費の滞納などへの法的措置を目的として選任されることも多いですが、弁護士費用に関しては、滞納している組合員の方に違約金として請求することが可能です。ただしこれは、管理規約にその旨が記されている場合に認められているので、注意が必要です。

QUESTION06滞納問題を発生させないために管理組合ができることは?

共用部分の電気代やエレベーター、給排水設備の点検費用は、組合員の方々が納めている管理費によって維持、管理されており、修繕積立金もマンションの資産価値を維持するための工事費用として有効に活用されている旨をご理解いただくことが大切だと思います。管理費・修繕積立金に対する理解を深めることを目的として、広報誌や理事会だよりを配付している管理組合も見受けられます。

グラフ引用/国土交通省、平成30年度マンション総合調査結果(平成31年4月26日公表)『平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状』

「マンション生活」⼀覧へ戻る

キーワードKeywords

カテゴリーCategory

関連記事RELATED