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読むだけで美味しくなるワインの話(第10回 家でのワインの保存方法)

食べる

「ワインについて詳しくなりたい」と思っても、ワインの世界は複雑で難しそうというイメージがありませんか? そこで、ワインにまつわる様々なことをシニアソムリエが優しいアプローチでお教えします。読むだけでワインが美味しくなるようなコラムを、どうぞ召し上がれ。

ワインを保存する2つの目的

今回は「ワインの保存」をテーマにお話をします。ワインの保存には、大きく分けると2つの目的があります。一つ目は「購入してから比較的すぐに飲むデイリーワインのための保存」、もう一つは「長期熟成するための保存」です。
デイリーワインには、ワインの鮮度を落とさずに美味しく飲むための保存方法が、大事な家族の生まれ年などの記念ワインや高額なワイン等、すぐに飲まないワインには、10年・20年後に美味しく飲むための長期熟成保存がそれぞれ必要となります。

ワインは繊細、保存に注意すべき4つのこと

ワインの保存について2つの目的を紹介しましたが、保存に関して気を付けるべきことにそれほど違いはありません。まず押さえておきたいのが、ワインは生鮮食品だということです。鮮魚やお肉ほどではないにしても、ワインにとって環境の悪い場所に置いておくと劣化してしまいます。どんな場所に置いていたとしても、見た目はきれいなボトルのままなので中身の劣化には気が付きません。しかし、ワインは意外と繊細なのです。
ワインの保存で注意すべき点は次の4つになります。

温度変化

ワインは温度変化に弱い飲み物です。特に急激な温度変化や、高温に弱く、13℃~15℃で保存するのが最適とされています。20℃を超えるようなところに長時間置いておくと、すぐに劣化が始まります。また、急激な温度変化があると中のワインが外に漏れることもあります。

直射日光

人間の肌が日光や紫外線で焼けるように、ワインも焼けて劣化してしまいます。ボトルの色に濃い色が多いのは、ワインを光から守るためでもあるのです。暗所に保存しておくのが理想です。

乾燥

乾燥することが、ワイン自体に影響を与えるわけではありません。劣化してしまうのは、ワインの栓であるコルクです。コルクが乾燥することで劣化し、本来の役割を果たさなくなると、中のワインが過剰な空気接触にさらされ、結果的にワインが劣化してしまいます。

振動

これはあまり知られていないかもしれませんが、振動はワインの状態を変えてしまいます。味に落ち着きがなくなり荒れてしまうのです。ただし、プロのレベルでも難しい違いになりますので、そこまで気にしすぎなくても良いと思います。店頭で買ってきてからすぐ飲むのではなく、1日から数日置いてから飲むだけで本来の姿に近づいてくれますので、試してみてください。また、長期保存でワインにより良い熟成を促すには、この振動が無いことがとても重要になってきます。

〜すぐ飲む場合〜冷蔵庫にそのまま入れずにひと工夫

デイリーワインの保存のなかで、気を付けてほしいのは「温度と光」です。長期保存の場合、「乾燥と振動」はワインにダメージを与えてしまいますが、デイリーワインではそこまで気にする必要はないでしょう。

まず、保存場所として真っ先に思い浮かぶのが冷蔵庫だと思います。冷蔵庫は温度変化が少なく、低温です。また光も遮ってくれますので、冷やして飲む白ワインやスパークリングワインの保存場所には最適です。ただし注意しておきたいのは、赤ワインは飲む前に冷蔵庫から出しておかなければ適温になりませんので、煩わしく感じる方もいるでしょう。冬であれば廊下が20℃以下になることも多いと思いますので、段ボールに入れて廊下に置いておけば、赤ワインをすぐに美味しく飲むことができます。

ただ、長期保存とまでいかなくても、一年以上置いておきたいワイン等もあるかもしれません。そんなときは次のようなひと工夫をした保存方法がおすすめです。
まず、コルクの乾燥防止のためにワインをラップで包みます。その上で、銀色の保冷バッグ(又はシート)で包み、ワインを温度変化から守ります。最後にプチプチのエアパッキンで包んで、冷蔵庫の微振動を軽減させるのです。ワインは低すぎる温度も嫌いますので、冷えにくい野菜室のある冷蔵庫で保存すればなお良いです。大切なワインを守りたい時に是非お試しください。

〜長期保存の場合〜なんといってもセラーがおすすめ

続いてはワインを長期保存する場合ですが、結論から言ってしまうとワインセラーを購入するのが最もおすすめです。かつての日本家屋であれば、床下、押入れの奥など、1年を通して温度変化、湿度変化の少ない場所があったのですが、夏に涼しい場所を探すのが難しい現在の住宅事情ではそれも厳しいでしょう。それよりは前述のひと工夫をして冷蔵庫に置いておく方が安心できます。

その点、ワインセラーの場合は年間を通して温度・湿度を一定の幅に保ち、ワインを振動から守るためにコンプレッサーとセラー本体が分かれています。全面がガラスのものでも、紫外線をカットする加工がされており、光からワインを守ってくれます。日本という国で、前述の4条件を満たし、ワインを安心して長期保存するにはワインセラーが一番良いと思います。
とはいってもワインセラーも安価なものから高価なものまで、その種類も様々です。ワインセラーを選ぶ上でポイントとなる機能をお伝えしたいと思います。

まず動力部分ですが、代表的なものにコンプレッサー方式(日本と冷蔵庫と同じ)とペルチェ方式の2つがあります。ペルチェ方式は静かで振動もよりゼロに近いのですが、コンプレッサー方式にくらべて冷却力が劣るため、日本の暑い夏には不向きです。トータルでみますとコンプレッサー方式がおすすめです。

続いて収納本数です。これはご自身の保存本数を目安に決めていただいて構いません。ただ、小さいセラーは必要最低限の機能しかついていない傾向がありますので、機能にもこだわる方は注意が必要です。

最後に安価なセラーと高価なセラーを分ける2つの大事な機能をお伝えします。それは「加湿と加温」です。家電量販店に安価なセラーが並ぶ中で、フォルスターやユーロカーヴに代表される高価格のセラーを目にすることがあると思います。これらのセラーには、より高度な加湿機能と温度の冷えすぎを防止する加温機能が搭載されています。安価なセラーでも加湿機能自体は搭載されているのですが、60%から70%を理想とするワインの保管湿度には及びません。また、寒い時期に外気温よりセラーの温度を高く保つ加温機能も長期保存では大事な機能です。高価な投資になってしまいますが、高額なワインを保存したい方には必須の機能です。

簡単な説明にはなりましたが、ご自身に合ったセラー選びのご参考にしていただければ幸いです。

監修

牧野 重希(まきの しげき)

吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。

  • ・2013年 ソムリエ取得
  • ・2017年 シニアソムリエ取得
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