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暮らしを楽しむ にほんの食ごよみ(第2回「冬至」)

食べる

本格的な冬を感じる日

二十四節気のひとつ、冬至。北半球において太陽の位置が1年で最も低くなり、夜が最も長くなる日とされています。本格的な冬を感じる時季ですが、1年で最も日が短いということは、この日を境にどんどん日が長くなっていくということ。中国や日本では、「一陽来復」といって冬至から運が向いてくると信じられていたようです。日にちは固定でなく、毎年変動します。現在広まっている定気法では太陽黄経が270度の日が「冬至」となります。

冬至の風習を知ろう

縁起担ぎの一種

冬至といえば、かぼちゃ。これは、冬至に「ん」がつくものを食べると運気が上がると昔からいわれているためです。かぼちゃは漢字で「南瓜(なんきん)」と書くため、一種の縁起担ぎでかぼちゃを食べる習慣になったようです。かぼちゃは夏に収穫する野菜ですが、長期間保存がきくため冷蔵庫のない時代は貴重な保存食。ビタミンBやカロチンが豊富に含まれている緑黄色野菜なので、免疫力強化にはぴったりです。冬至にかぼちゃを食べる習慣が受け継がれているのには、縁起担ぎだけでなく、冬の寒さに耐えるための先人の知恵でもあるのです。

寒さに負けないように

冬至にはかぼちゃと小豆の煮物、いとこ煮を食べる習わしがあります。いとこ煮の由来は、材料を煮えにくいものから追々(順番に)入れていくことから、「おい=甥」とかけていとこ煮という名前がついたという説が一般的。神事祭事の日に食べる「おこと煮(御事煮)」と関係があるという説もあります。かぼちゃと小豆はどちらも素朴な味わいで、雰囲気もいとこ同士という感じがしますね。小豆を煮るのは少し面倒に感じるかもしれませんが、一度にたくさん煮て、冷凍しておけば便利です。かぼちゃを煮る時は、皮のゴツゴツした部分を包丁でそいでおくのがコツ。最初に砂糖を入れて味を含ませ、弱火でゆっくり、皮を下にして紙の落とし蓋をするとふっくらおいしく仕上がります。

体を温めて厄を落とす

もうひとつ、冬至に欠かせないのが柚子湯です。
柚子=融通がきく、冬至=湯治として運を呼び起こし、厄払いをする意味が込められています。柚子には血行促進効果もあるため、冷えた体を温め、風邪予防にも効果的です。柚子はちょうど冬至ごろが旬。たくさん手に入ったら、柚子湯のほか、柚子ピール、柚子マーマレード、柚子茶を手作りするのもおすすめです。少し手間ですが、何度もゆでこぼしをすれば、皮の苦味をとることができます。

ゆでこぼし…煮立ったらそのゆで汁を捨てること


慌ただしい毎日でも、縁起担ぎをしながら季節の移り変わりを楽しむ。そんな心の余裕を持ちたいものです。

監修

橋本 加名子さん料理研究家、栄養士、フードコーディネーター

海外留学、商社勤務時代からアジア料理や江戸懐石料理を学び、独立。料理教室「おいしいスプーン」主宰。『フライパンひとつで!失敗しない中華・アジア』(タツミムック)など著書多数。

取材・文/佐藤望美

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