今回の「誰にも聞けなかったマナー講座」は、外出の際の基本アイテム、「お財布」「名刺入れ」「バッグ」の扱い方とマナーについて、井垣利英先生に教えていただきました。持ち物をステキに扱えているかどうかは、意外と人に見られているもの。逆にいうと、これら基本のアイテムをきちんと扱うことで、オシャレな人に見えて、きちんとした印象になります。さらにマナーも磨かれ、自信にもつながるのです。1つ1つの項目を確認しながら、お財布と名刺入れ、そしてバッグの扱い方とマナーを学びましょう! 最後のコラムでは、井垣先生のバッグの中身を大公開。持ち物に対する愛と知恵が詰まっています。ぜひ参考にしてください。
目次
お金に好かれるお財布の扱い方
- ポイント① 定期的に新調を
- ポイント② 紙幣の顔の向きは揃えて入れる
- ポイント③ ギョウザ財布はNG
- ポイント④ お財布と小銭入れを分けない
仕事ができる人の名刺入れの扱い方
- ポイント① ポケットが2つあるものを選ぶ
- ポイント② いただいた名刺はその日のうちに日付と覚書を記入
- ポイント③ 名刺交換後にひと手間を加える
好印象を持たれるバッグの扱い方
- ポイント① リュックサックは改まった席には持っていかない
- ポイント② パーティーや改まったお食事の席には小ぶりのバッグで
- ポイント③ トートバッグの中が見える場合は目隠しを
- ポイント④ レストランや訪問先ではバッグはイスの上に置きましょう
- ポイント⑤ バッグを持つときは自分の体の幅を意識して
お金に好かれるお財布の扱い方
大切なお金を入れるお財布。カタチや色は好きなものを選んでいいのですが、大事なのは、いつもすっきりキレイにお財布を整えておくこと。
ここでは、お金に好かれ運を呼び込むお財布の扱い方をご紹介します。
ポイント①定期的に新調を
「このお財布、使い込んで、いい感じに味わいが増したな」と感じたら、それは買い替えのサインかも。お財布の角が傷んでいたり、こすれて色が薄くなったりした部分があるのは買い替え時です。特に愛着のあるお財布ほど、自分ではくたびれ具合に気付かないもの。身内や親しい友人など、正直に意見を言ってくれる人に、第三者の立場で、そろそろ買い替えたほうがいいかを判断してもらうのが一番です。
なお、使い終わったお財布は買い替えのタイミングで思い切って捨てることをおすすめします。大切に使っていたからこそ、捨てることをためらう気持ちもあると思います。そんなときは、きちんと紙袋に入れて塩(天然塩)をまき、「ありがとう」と感謝して、袋の口を閉じてから、天気の良い朝にゴミとして出します。なぜこうしたひと手間をかけるかというと、物を大事にする気持ち、姿勢は、マナーの大切な心だからです。
ポイント②紙幣の顔の向きは揃えて入れる
お財布に入れる紙幣の向きと並べ方も大切です。写真のように、紙幣の顔が右側になるように向きを揃え、千円札が一番手前になるように「千円札」「五千円札」「一万円札」の順で重ねます。
お財布に入れるお札は、なるべく新札を! 可能なら小まめに銀行で、古いお札を新札に替えることをおすすめします。
「お金は大切に扱ってくれる人のところに集まるもの」とは、井垣先生がある大富豪から受けた教えです。ですから、できれば新札を、いつもきれいにお財布へ並べておきましょう。
ポイント③ギョウザ財布はNG
よくパンパンに膨らんだお財布を見かけますが、いわゆる“ギョウザ財布”はNGです。お財布が膨らむ原因は、カードを大量に入れていたり、レシートを捨てずに詰め込んでいるから。 ポイントカード類はアプリを活用して枚数を減らし、残った分はカード入れを別に作って、そこへ入れるよう工夫しましょう。
クレジットカードについては、次から次に作らないことです。ベースのものが1、2枚あれば十分でしょう。
また、レシートは「お金を使いました」という証です。それを入れたままにしておくと、どんどんお金が出て行くお財布になってしまいます。レシートは一日の終わりに財布から取り出して、お財布に残さない習慣をつけましょう。
ポイント④お財布と小銭入れを分けない
小銭入れを分けて持つ人もいますが、お金を支払うときに、「お財布を小銭入れに持ち替える」という動作が加わります。
おまけに、小銭入れがバッグの中でどこにいったかわからず、レジの人を待たせてしまうことも。普段からお金を支払うときに、きちんと小銭を使っていれば、お財布に小銭が溜まることはありません。
仕事ができる人の名刺入れの扱い方
井垣先生が新入社員研修で必ず教えている、名刺入れの扱い方についてご紹介します。どんな名刺入れを持っているかは、仕事を進めていくうえでとても大切なこと。社会人になって年月がたってからだと、なかなか名刺入れについて聞くチャンスはないので、改めてビジネスマナーとして学び直しましょう。
ポイント①ポケットが2つあるものを選ぶ
仕事用の名刺入れは、シンプルな革製のものが適しています。
本革でも合成皮革でもかまいません。時々プラスチックや金属製のものなどを見かけますが、自分の名刺しか入らないものは、実用的ではありません。
選ぶときの大切なポイントは、“ポケットが2つあること”。自分の名刺と、いただいた名刺を、別々に入れられるものを選びます。
ポイント②いただいた名刺はその日のうちに日付と覚書を記入
いただいた名刺は、オフィスに戻ったらすぐに名刺入れから取り出し、名刺の表に日付と誰からの紹介か、その人の印象などを記入するようにしましょう。
例えば顔の特徴や、「明るい人」「○○に似ている」など、感じたことを何でもいいので記入します。自分だけの覚書なので、その人を思い出せるポイントとなることをメモすればいいのです。
そうしておかないと、いつどこでいただいた名刺か、すぐに忘れてしまいます。人の記憶は、48時間たつと80%忘れるようにできています。すぐにやることが大事ですよ。
ポイント③名刺交換後にひと手間を加える
名刺交換をした後、相手の印象に残りたいと思ったら、3日以内にお礼のハガキを出すといいでしょう。ハガキに書く内容は、そのときに話した中で、面白かったポイントや、印象的だったことなど。
例えば「先日、名刺交換させていただいた〇〇です」という書き出しで、「〇〇についてお話できて嬉しかったです。これからも、お会いできるのを楽しみにしています」というような書き方で。
文章量は少なくてもいいので、手書きで書くこと。手紙を出す人は少ないので、必ず相手の印象に残る、名刺交換の極意です。
好印象を持たれるバッグの扱い方
バッグは服と同じで、出かける場所や目的に合わせて選ぶのが大切なマナーです。また、バッグの持ち方一つで、ステキに見えたり、だらしなく見えたりしますから、どう扱えばいいかの基本知識やポイントをチェックしておいて、実践しましょう!
ポイント①リュックサックは改まった席には持っていかない
カジュアルなお出かけだけでなく、仕事用としてもリュックサックを持つ人が増えていますが、出かける場所によっては、マナー違反になる場合もあるので注意が必要です。
特に、仕事の延長でお食事会に行くような場合、改まったお店にリュックサックで行くのはおすすめできません。事前にフォーマルなお店に行くことが分かっている場合、カバンを持つのであればリュックサック以外で行きましょう。
本来リュックサックは、野外の活動時に使うもの。例え高級ブランドの物であっても、格式の高いお店に持っていくのは、お店や同席者に対して失礼にあたると知っておきましょう。
ポイント②パーティーや改まったお食事の席には小ぶりのバッグで
バッグのTPO(時間、場所、目的)でいうと、パーティーや改まった席に持っていくなら、小ぶりのバッグをおすすめします。
仕事の流れで、そのまま食事に、ということも多いでしょう。そういうときにトートバッグで行くのは仕方がありません。でも、最初からパーティーがあると分かっているなら、小ぶりのバッグで。
バッグに入りきらない荷物があるなら、サブバッグを併せて持ち、クロークに預けるようにするといいでしょう。
ポイント③トートバッグの中が見える場合は目隠しを
電車で吊革につかまって立っているとき、座っている人のバッグの中身が丸見えだと気になることがあると思います。
ごちゃごちゃした中身が見えてしまうと、その人自体がだらしない印象となり、とてもステキとは言えません。出かける前に必ずチェックして、バッグの中身が見えるようなら、目隠しをすること。
ハンカチだと全部を隠せない場合は、ストールかエコバッグを使えば、しっかり覆い隠すことができます。
ポイント④レストランや訪問先ではバッグはイスの上に置きましょう
まず気を付けたいのは、バッグをテーブルの上には置かないこと。マナーでは、バックの底は靴底と同じだと考えるからです。
これはオフィスでも同じです。デスクの上にバッグやリュックサックを置くのはNGと、覚えておきましょう。
では、レストランなどでバッグをどこに置くかというと、隣の席が空いているなら、隣のイスに。
小ぶりのバッグなら、太ももの横か、背もたれの間に置いて座るようにします。
大きめのトートバッグを持っているときは、お店の人に頼んで荷物置きを持ってきてもらうか、ない場合は自分の足元など、サービススタッフの配膳の妨げにならない場所に置きましょう。
ポイント⑤バッグを持つときは自分の体の幅を意識して
立ち居振る舞いをステキに見せるには、コツがあります。バッグの持ち方のポイントは、自分の体の幅からできるだけはみ出さないようにすること。
そのしぐさがステキに見えるかどうかは、ちょっとした気遣いで決まります。ここでご紹介するバッグの持ち方を鏡の前で試して、コツを身に付けましょう。
肩にかけて歩くときは
バッグを肩にかけるときは、肩にかけたバッグを脇で挟んで、腕で押さえるようにして持つとステキです。
このとき、バッグを背中に回して突き出して持つのはNGです。
腕にかけて持つときは
小ぶりのバッグは、手首を体の前に向けて、バッグが体にピタリと付くように腕にかけて持ちます。手首を外に向けてしまうと、擦れ違う人にバッグや手が当たってしまうので注意して!
ぶら下げて持たない
バッグをぶら下げて持つと、あまり品良く見えません。腕やバッグが、体からできるだけ離れないように持つことがポイントです。
電車で座るときには
電車に乗って座るときは、対面の人をつい見てしまうもの。同様にあなたも人に見られていることを忘れないで。
この場合は、バッグを太ももの上に立て、両手で軽く押さえるようにして持つのが品良くステキに見えるコツです。肘を張らず、自分の体の幅にバッグがちゃんと収まるイメージで。
抱え込むように持つと、両肘が出っ張って、隣の人の邪魔になってしまうのでNG。
井垣先生のバッグの中身を大公開!
マナー講師、人材教育家として活躍する井垣利英先生のバッグの中身を、今回特別に公開していただきました。どれもあると役に立つ優れモノばかり。バッグに持ち物を入れるポイントは、「仕分けして入れる」ことと、「万が一対応」の2つ。井垣先生のライフスタイルや世界観が反映されていて、参考になる情報が盛りだくさんです。
お財布
井垣先生のテーマカラーであるマゼンタピンクのお気に入りのお財布。念のために、お財布にも名刺が数枚入っています。
名刺入れ
革製で、中に2つポケットがあります。
ハンカチ3枚
大判のハンカチは食事のときのナプキン代わりに膝に広げるためのもの。小さめの1枚は汗拭き用、もう1枚は手拭き用です。
携帯
十分に充電されているかを常に確認。
はみがきセット
食事の後に必ず歯を磨くので、はみがきセットは欠かせません。
エコバッグ
いろいろな柄のものを揃えて楽しんでいます。
ペンケース
ボールペン、万年筆、シャープペンシルなど複数のペンが入っています。
ストール
冷えは万病のもと。体の冷え防止のために、季節に合わせて持ち歩いています。
バッグの中身見え防止にも。
化粧ポーチ
中にはメイク直しのためのメイク用品の他に、手鏡と絆創膏、ラメ入りのネイル(ネイルが剥がれたときの応急処置用)も入っています。
スケジュール帳のポーチ&巾着袋
ポーチ、巾着の中身はどれもいざというときに必要なものばかり。テーマごとに小分けしているのが収納のコツ。
スケジュール帳のポーチ
- スケジュール帳(見開きで月ごと、週ごとの両方が分かるものを使用)
- 電話帳
- 切手と絵ハガキ(外出先でもすぐにお礼状が出せるよう切手を貼っておきます)
- メモ帳
- 付箋
- ポチ袋(神社のお参り用とお礼用に。名前と住所を記入済)
①薬とハチミツが入ったがまぐち
話すのが仕事なので、喉のケアは欠かせません。体調管理にも細心の注意を
②ポケットティッシュ
③携帯用接写レンズの袋
歩いているときに見つけた道端の野花を撮るのが好き
④携帯用トイレ消臭剤
匂いがきついトイレに入ったとき、一滴垂らすだけでバラの香りに!
⑤お洒落グッズが入った巾着
- 耳栓(車内で集中したいときのために)
- リップクリーム
- アロマオイル
- シミ抜きシート
- ハンドクリーム
- 液体石鹸
- 自然塩(食事用)
- 裁縫セット
- 予備のイヤリング(小財布入り)
ちょっとしたお出かけにはスマホポシェットを!
斜め掛けして、両手が自由に使えるスマホポシェットは、近所へのお買い物や、気軽な食事に出かけるときなどに、とても便利。一度使うと、あまりの手軽さに手放せなくなってしまいます。いろいろなデザインのものがあり、おすすめです。
ポシェットの中に入っているものは、スマホ、カード入れ、ハンカチ、スケジュール帳、千円札1枚(現金が必要なときに備えて)。
まとめ
今回は「お財布、名刺入れ、バッグの扱い方とマナー」についてご紹介しました。いかがでしたか? 持ち物には、その人の品格や人柄、マナーなどが反映されることを、再確認していただけたのではないでしょうか。物の扱い方やマナーを大切にすることで、これまで以上にステキな自分と出会えます。心が整い自信にもつながるベースとなるので、ぜひ実際に試していただけたらと思います。
Adviser
井垣 利英(いがきとしえ) (株)シェリロゼ代表取締役 、 人材教育家、 マナー美人塾塾長
名古屋生まれ、東京在住。中央大学法学部在学中からフリーアナウンサー としてテレビ出演。
2002年(株)シェリロゼを起業。20年間で2万人を指導。自社の【会話美人講座】【マナー美人塾】でマナー、プラス思考、話し方などを指導。また全国の企業で、社員研修や講演会を年間100本ほど行う。
やる気とマナーを上げる日本で唯一の専門家。
著書は『ふんわりと上昇気流に乗る生き方』(サンマーク出版)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など19冊。
シェリロゼ
https://www.c-roses.co.jp/
YouTube
https://www.youtube.com/user/104toshia
編集協力/中西后沙遠(なかにしみさお) 撮影/森武志
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