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お片づけのプロ水谷妙子さんの暮らしの整え方<掃除の工夫編>

暮らし

整理収納アドバイザー水谷妙子さんが考える、「家族が笑顔になる暮らしの整え方」についてお届けしています。第4回目のテーマは、掃除について。「掃除を大がかりにしないコツは、ついでとアウトソーシング。頑張りすぎず、適度にきれいを保つ」です。日ごろどのように掃除に取り組んでいるかを教えてもらいました。

目次

  • ポイント① 大掃除の負担はなるべく少なく! 日々の掃除でひと工夫
  • ポイント② 手が届きにくい場所は無理せず、時々プロに頼る
  • ポイント③ 年末には「やることリスト」をつくって雑務や掃除を管理
  • ポイント④ 家をきれいに保つコツは、客観的な視点を持つこと

ポイント①大掃除の負担はなるべく少なく! 日々の掃除でひと工夫

夫と小学生2人、保育園児1人の5人で暮らす水谷家。仕事や子育てに忙しい毎日ということもあり、掃除にはなるべく手間をかけたくないと考えています。

「毎日こなさなければいけない家事は、掃除の他にもたくさんあります。家中常にピカピカにしておきたいという思いもあまりないので、頑張りすぎないことを第一に考えています。」

一般的に、12月は大掃除の時季。でも水谷家では、家族総出で大がかりな掃除をするわけではないようです。

「大掃除で一気に汚れを落とすというより、普段の掃除にひと工夫することで汚れをため込まないという感覚で取り組んでいます。たとえば浴室。水アカやカビがたまりやすい場所ですよね。だから、その原因になりうる水気とりを普段の掃除で意識しているんです。」

水谷家では、最後に入浴した人がスクイージーを使って壁や浴槽の水気を落とすことになっています。

「時間にしてみればほんの2、3分。浴室を洗うついでに毎日さっとスクイージーを動かすだけだから、それほど手間には感じていません。」

使用しているのは、山崎実業のマグネット水切りワイパー タワー。

「柄が長いので、壁の高い位置も水切りしやすいです。マグネットで壁にくっつけておけるのも便利。わが家の浴室は、基本的に浮かせ収納。シャンプー類も棚に置かず、吊るして置いています。」

理由は、棚上のカビやぬめりの発生をできるだけ抑えるため。お風呂のふたや椅子も置いていないそうです。

水回りの汚れは、ため込むと頑固になって念入りな掃除が必要になってしまいます。だからこそ、毎日の掃除でそれを予防しておくことが大事だと水谷さんは考えています。

キッチンは、ワークトップやガス台が汚れたらサッと拭く程度。特別な掃除を毎日しているわけではないと話す水谷さん。

「巷でよく言われているようなキッチンリセット(1日の終わりにキッチンの作業台やコンロ、シンクなどの汚れを掃除すること)は、私はやっていません。少し念入りに掃除するのは週に1回くらい。ガス台や壁の油ハネが気になってきたな、と感じたらアルコールで拭き掃除をしています。使っているのはフマキラーのキッチン用アルコール除菌スプレーです。」

このキッチン用アルコール除菌スプレーは、床掃除や鏡拭きなど他の用途にも使っている掃除用品です。キッチン用、床掃除用などと分けてたくさん持たないことも、水谷さん流。管理の手間が省けるといいます。

ちなみにガス台の五徳は、水谷さんの自己判断で食洗機洗浄。食器が少なく庫内のスペースにゆとりがあるタイミングを狙って洗っているそうです。



ポイント②手が届きにくい場所は無理せず、時々プロに頼る

キッチンの掃除で「億劫」「手間がかかる」という声が多く挙がるのは、換気扇ではないでしょうか。

「高い場所で手が届きにくいこともあってなかなか進みませんよね。私も苦手に感じているので、思いきって専門業者にアウトソーシングしています。」

専門業者へのアウトソーシングを始めたのは以前、入居マンションのアフターサービスとして利用したことがきっかけ。自分で掃除するより効率よく、ピカピカになることに驚き、掃除は掃除のプロに任せたいという思いが強くなったそうです。現在はキッチンの換気扇だけでなくガス台、浴室、エアコンの定期的なクリーニングを依頼しています。

「何度か経験してみて感じる依頼のコツは、毎回できるだけ同じ担当者に掃除してもらうこと。家の構造や汚れやすいポイントがあらかじめ頭に入っていて、効率よく仕事してもらえることを実感しています。継続してお願いすることで、汚れ具合の比較や推移を教えてもらうことができるのも大きなメリット。私は大手クリーニング会社ではなく、個人で仕事を請け負っている方に依頼しています。」

日ごろ気になっている箇所の汚れの落とし方について質問し、アドバイスをもらうこともあるそうです。

「ちょっとしたお手入れのコツや、ホームセンターでも手に入るような商品を使った掃除方法を教えてもらえることも。日々の掃除に大いに役立っています。」

水谷家では夫婦で掃除をシェア。家の状態や掃除の知識を共有できるよう、夫婦そろって在宅している日にクリーニングの予約を入れるそうです。

「以前、浴室クリーニングに来てもらった際、浴槽のエプロンをこまめに外すとカビ予防になるとアドバイスをもらいました。以来、毎日の掃除に取り入れています。」

ただし、クリーニングの依頼は費用がかかってしまうことも事実。水谷さんはメリットとコストのバランスを考慮したうえで定期的な依頼を行っています。

「依頼は半年に1回ほど。都度費用がかかってしまいますが、その分他の出費を減らして家計をやりくりしています。汚れがたまっていくストレスを感じずに済むし、掃除しなきゃ!と自分が追い込まれることもない。掃除のアドバイスをもらって日々の掃除に生かし、ただラクをしたいだけで終わらないように意識しています。」



ポイント③年末には「やることリスト」をつくって雑務や掃除を管理

年末が近づくと、水谷家ではカレンダーに付せんを貼って「やることリスト」を作成。新年を迎えるまでに掃除しておきたい場所や、済ませておきたい雑務を付せんで管理しています。

壁の補修、洗濯機下の掃除、カーテンの洗濯など内容はさまざま。年内の最終ごみ収集日も一目で分かるようにしています。

「とにかく思いついたら付せんに書いておき、やり終わったら剥がします。書き出すことで漏れがなくなるし、何かのついでや、ちょっと時間が空いたときに取り組めるのもメリットですね。」

付せんを書くのは大人のみ。3人のお子さんは積極的に掃除に参加するわけではありませんが、小学生の娘さんと息子さんは宿題として出された「お手伝いビンゴ」に定期的に取り組んでいます。

「ビンゴの要領でお手伝いをクリアしていく内容。ビンゴ形式になっていることで、『クリアしたい!』という気持ちになり、どんどんお手伝いできる仕組みになっています。夏休みの課題として出されてチャレンジしたらとてもよかったので、冬休みも取り入れたいなと考えています。」

すっきりした気持ちで新年を迎えるための大掃除。大がかりな掃除はしないけれど、季節行事や風物詩として子どもにも感じてもらいたい。そんな思いが水谷さんにはあるようです。

「ビンゴのマスにはいろいろな種類のお手伝いを書き込む必要があります。普段はやらない掃除や、年末ならではの雑務があることを知り、新たに挑戦するよいきっかけになっています。」



ポイント④家をきれいに保つコツは、客観的な視点を持つこと

大掃除の時季は、自分の暮らしを一旦リセットするいい機会。気持ちを新たに心地いい家をつくるためのヒントを、水谷さんに教えていただきました。

「毎日、何気なく過ごしていると、家の今の状態に慣れてしまうもの。きちんと掃除ができているか、ものの出し入れがスムーズにできるかなど、自分自身で冷静に判断するのは難しいことかもしれません。そんな場合は誰かを家に招いたり、部屋の写真を撮ったりしてみてください。人を呼ぶとなると掃除により一層力が入りますし、普段は拭かない棚の上を拭いたり、家電についたホコリを払う気になるかもしれません。」

「写真を撮ると、客観的な目で自分の家を見ることができます。見渡すだけでは気付かなかった汚れや散らかりが見えてくるかも?」

こうした取り組みは掃除だけでなく整理収納にも役立ちます、と水谷さん。お片づけ講座に参加した際やメディア、SNSに触れる際にもぜひ生かしてほしいといいます。

「新たに得た情報を介して『自分や、自分の家はどうだろう』とふと立ち止まって考えてみる。すると、『ここはもっと掃除してきれいにしたい』『いつもここに置いている●●、出し戻しがしにくいから違う場所で収納してもいいのでは?』など、これまでと違った視点で気付くことがあるかもしれません。」

人からどう見られているかを気にしすぎたり、SNSに振り回される必要はもちろんありません。頑張りすぎず、できる範囲で工夫しながら家を快適な空間にしていく水谷さんの考え方、ぜひ参考にしてみてください。



教えてくれた人

水谷妙子さん

整理収納アドバイザー1級。夫と11歳の娘、8歳、6歳の息子の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、500点以上の商品に携わる。2018年独立。お片づけ講座開催、雑誌やWeb、テレビなどで活躍するほか、ホームページ「ものとかぞく」インスタグラム(@monotokazoku)にて片づけやものについての幅広い知識を紹介中。著書に『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』(主婦と生活社)、『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』(主婦の友社)がある。

撮影/木村和敬(blowup studio) 取材・文/佐藤望美 編集/藤島麻衣子(LINUS)

佐藤望美執筆者

ママファッション誌、ライフスタイルメディアを中心に執筆。得意分野は育児、トラベル、ライフスタイル、ファッション。インテリア、片づけ、ミニマリスト関連の書籍を数多く編集。トラベルエディターとして国内外の旅行取材も多く、子連れ旅情報をまとめたウェブサイト「FOOTABY!」を運営中。自身も6歳の女児、小学4年生の男児の子育てに奮闘中。

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