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誰にも聞けなかったマナー講座 飲食店でのステキな振る舞いとマナー

暮らし

飲食店といっても、レストランや和食の店、カフェに居酒屋などいろいろ。小さなお店もあれば、大規模チェーンのお店もあります。それぞれお店の規模は違っていても、基本のマナーは同じです。お店の人や他のお客様に対して、ちょっとした心遣いを欠かさないことで、お互いにより楽しい時間を過ごすことが出来ます。飲食店では心のこもったお料理やサービスなどで、お客様をもてなしてくれます。ぜひお店の方に感謝の言葉を伝えてみてください。お料理やサービスに対し「美味しい」「キレイ」「楽しい」と感じたことをお店の方に伝えていますか? 素直な気持ちを伝えることで、相手も自分自身も幸せな気持ちになれます。

目次

  • ポイント① 誕生日などのお祝いをしたいときは、予約時にお店の方に相談を
  • ポイント② 予約の時間に遅れると分かった時点ですぐに連絡をしましょう
  • ポイント③ メニュー選びに迷ったときは、まず「本日のおすすめ」をチェック
  • ポイント④ スタッフを呼びたいときには手を挙げてアイコンタクトを
  • ポイント⑤ 食事に感動したときは、言葉にしてお店の方に伝えましょう
  • ポイント⑥ 感謝のきもちをハガキに込めて、お店に「お礼状」を
  • ポイント⑦ お店の滞在時間は、店内の状況をよくみて判断
  • ポイント⑧ 「今日はご馳走する」と言われたときにはステキな笑顔で感謝のきもちを伝えましょう
  • ポイント⑨ お会計の際のレジではスマートに

ポイント①誕生日などのお祝いをしたいときは、予約時にお店の方に相談を

誕生日のお祝いや、結婚記念日、昇進祝い、合格祝い、二人が出会った記念日など、さまざまなお祝いで飲食店を利用したことのある方は多いのではないでしょうか。そういった特別な日にお店を利用する場合は、予約をするときに、どういった用途でお店を利用したいかを伝えましょう。

予約時のイメージとしては、「○○のお祝いをしたいのですが、特別に何かできますか?」と聞きます。お店によって、デザートにメッセージを書いてくれたり、ちょっとしたサービスを無料で提供してくれたり、有料でケーキを用意してくれる場合もあります。予算に応じてお店に相談してみましょう。特別な演出は、みんなの気持ちが盛り上がります。

以前、友人の大仕事が終わったときにちょっとしたお祝いをお店で行いたいと思い、「お疲れさまでした」というメッセージプレートを飾ったケーキを用意してもらったことがあります。こういったサプライズはお祝いをされる側もする側も、特別感がありステキな思い出になるでしょう。


ポイント②予約の時間に遅れると分かった時点ですぐに連絡をしましょう

お店の予約をしているときは、予約の時間に遅れそうになったら、すぐに連絡を入れましょう。例えば、電車が止まったとしたら、「今○○線が止まっていて、いつ運転を再開するのかが分からない状態です」など、遅れている理由や状況を具体的に伝えます。
お店の方はその時間にお客様がいらっしゃると思って準備して待っています。予約の時間を過ぎると「キャンセルかな?」「何かあったのかな?」とお店の人に心配されることもありますし、お店の方に迷惑を掛けることになってしまいます。遅れると分かった時点で必ず連絡をするように心掛けましょう。

やむを得ない事情で急遽予約をキャンセルするということもあるかと思います。そんな時は必ずお店にキャンセルの連絡をしましょう。連絡をせずに無断でキャンセルしてしまうのはお店にとっては営業妨害になります。予約をすることでお店はあなたの為の席を確保し、食材を用意して待ってくれていますので、必ず前もって連絡を入れるようにしましょう。


ポイント③メニュー選びに迷ったときは、まず「本日のおすすめ」をチェック

メニュー選びに迷ったら、まずは「本日のおすすめ」と書いてある料理に注目してみましょう。他にも、メニューにそのお店の名前が入っているもの(例えば「〇〇スペシャル」など)は、そのお店が自信を持って勧めているお料理ですので、そういったメニューを頼んでみるのもよいでしょう。

初めて入ったお店などでどのお料理を注文するかで迷った時に、「この店のおすすめは何ですか?」とお店の方に聞いた経験がある方も多いのではないでしょうか? おすすめを聞きたい場合は、「このお店の『人気のメニュー』は何でしょうか?」と聞いてみるとよいでしょう。

また、お店にとってはおすすめのお料理でも、自分が苦手な食材を使っている場合もあります。例えば、“羊肉が苦手で牛肉が好き”といった時には、「私は牛肉が好きなのですが、こちらのお店で牛肉を使った人気のお料理はありますか?」と聞いてみることをおすすめします。自分の食べたい希望の料理や食材などを具体的に伝えることで、お店の方も答えやすく、またあなたが好きな、美味しいと思えるお料理を食べられるのです。ぜひ実践してみていただければと思います。


ポイント④スタッフを呼びたいときには手を挙げてアイコンタクトを

「注文をしたい」あるいは「飲み物のメニュー表を持ってきてほしい」など、さまざまな理由でスタッフを呼びたいという場面では、スタッフと目を合わせ、手を挙げて合図をしましょう。

ざわざわと賑わっている店内で、スタッフと目が合わないといったときには、手を挙げて「お願いします」と声を掛けます。
この場合「すいません」ではなく「お願いします」が、より好感度が高い言い方です。(ちなみに「すいません」は「すみません」が変形した言葉。もとは謝罪の言葉なので、この言葉が口癖にならないよう気をつけましょう。)

また、席が奥まっていて、スタッフになかなか気づいてもらえないときには、自分から席を立ち呼びに行くことをおすすめします。大きな声を出してスタッフを呼ぶよりもスマートで、時間も掛からず快適に過ごせます。


ポイント⑤食事に感動したときは、言葉にしてお店の方に伝えましょう

飲食店で食事をして、「美味しい!」「盛り付けがキレイ!」と感動したときは、その気持ちを言葉にしてお店の人に伝えましょう。
伝えるタイミングは、食べ終わった器をスタッフが下げに来てくれたときです。

例えば、香ばしく焼いたお魚料理を食べて感動したら、「今のお料理のお魚、皮がパリッとしていてとても美味しかったです」など、自分なりの言葉で素直に伝えてみてください。グルメレポーターのように気の利いた言葉じゃなくても、お店の方にとても喜ばれます。

そのほかに、日本酒やワインを注いでもらうタイミングもおすすめです。お酒を注いでくれる際のゆったりとした時間ですと、お店の方に話しかけるタイミングが見つけやすいかと思います。また、感動を伝えたい! といった場面ではなくても、食べ終わった器を下げてもらうときやサービスをしてもらったときには、笑顔で一声「ありがとうございます」と伝えましょう。お店の方に感謝の気持ちを示すのもまた、大切なマナー・心遣いです。

食事を終えて帰る際に、もし料理人の方が近くに居た場合には、「すごく美味しかったです」など、感動したことを伝えてみてはいかがでしょうか。お店によってはオープンキッチンなどで料理人の方との距離がとても近いことがありますので、そういったお店でおすすめです。最初はちょっと緊張するかもしれませんが、お互いに幸せな気持ちになれますよ。


ポイント⑥感謝のきもちをハガキに込めて、お店に「お礼状」を

感謝のきもちをかたちにして伝えてみませんか?
かしこまって手紙を出そうとすると、書き出しや内容が正しいかどうかと色々と気になってしまい中々出せないという方も多いのではないでしょうか?
そんな方にもぜひおすすめしたいのが“ハガキ”です。絵葉書ですと見た目も華やかで文字も少なく、あまり手紙を出す機会がないという方にも抵抗感なくはじめられます。
食事が美味しく、店内も一つの世界観があってステキ、お店の方も気持ちのよい接客で感動した……など素直なきもちを綴ってみてはいかがでしょうか。「美味しかったです」のひと言でもいいので、手書きで絵はがきを出してみましょう。

このとき宛名は「店名」とスタッフや料理長の名前が分からない場合は「料理長様」としましょう。料理をする人には、お客様の反応が伝わりづらく、ハガキを出す人も少ない為、本当に喜ばれます。自分の思いを言葉で伝えることで喜んでくれる人がいるということを知っていただきたいです。“伝えられる人”になることで、あなたは何倍もステキになれます。

切手を貼ったハガキをいつもお手元に

感動するシーンに出会ったとき、いつでもすぐにお礼状を出せるように、切手を貼った絵ハガキをバッグに入れて持ち歩いてみてはいかがでしょうか。絵ハガキは、美術館や文具店、旅先などで「かわいい」「キレイ」「ステキ」だと感じたハガキを使ってみましょう。
切手も、気に入った記念切手をコレクションしておいて、相手に合わせて選んで貼るようにすると、自分自身もワクワクして楽しいですよ。感動したタイミングで、すぐにお礼のハガキを出せるよう、いつも用意しておきたいものです。


ハガキに書く文章は普段使いの言葉でOKです

お礼状といっても、かしこまることはありません。「拝啓」や「季節のあいさつ」などが大切な場面ももちろんありますが、素直な心を伝えることを大切にしていただきたいです。カタチにとらわれないで、気軽に自由に感じたことを書きましょう。

例えば、こんな文例でもいいのです。

「こんにちは! 昨日お店に伺ってランチをいただいたのですが、色々なキノコを使ったパスタがとても美味しくて、『キノコってこんなに美味しいんだ』と、とても感動しました。盛り付けもキレイで、みんな大満足でした。ありがとうございます!」

相手に感謝するきもちがあるのなら、どんな言葉でも、書き方でもいいので、ぜひ気軽に、素直に、美味しくて、うれしかったお礼を伝えましょう。


ポイント⑦お店の滞在時間は、店内の状況をよくみて判断

特に混んでいるお店の場合には、食べ終わったらすぐに出るのがマナーです。例え入るのに自分が30分並んだとしても、後にも並んでいる人のことも考えて、長居はしないようにしましょう。食べ終わった器が下げられたあとも、お水だけでおしゃべりを続けるというのはNGです。その場合は、いったん店を出て、別の喫茶店などに移動しましょう。

また、そんなに混んでいないお店で、食事が終わってから、もう少しそこでのんびりしたいという場合は、お茶かデザートなどを追加注文して、テーブルの上には常に注文したものがある状態にしておきます。


ポイント⑧「今日はご馳走する」と言われたときにはステキな笑顔で感謝のきもちを伝えましょう

「今日はご馳走しますよ」と言われたときには、ニッコリと笑顔で「ありがとうございます」「ご馳走様でした」と相手の好意を受けましょう。
こういった場面で、「いえいえ、それはダメです。私も払います。」と財布を取り出す動作は、相手にとってはあまり印象が良くありません。一応財布を出すフリをするのも、本気で自分も払うつもりでも残念ながら同じです。相手の方はせっかくご馳走しよう! という心持ちでいてくださるのですから、その好意を素直に受け取り、感謝のきもちを伝えましょう。 奢ってもらうことを負担に感じてしまう場合には、お菓子などのお礼の品をあとで送るのも一つの対応方法です。

ポイント⑨お会計の際のレジではスマートに

グループで食事をして、会計時に個別に支払いたいという場合、お店が混んでいる時間帯などはお店の方に迷惑が掛かってしまいます。そういったときには、テーブルでお金のやり取りを済ませ、一人が代表で支払う形をとるほうが、振る舞いとしてはステキです。

また、割り勘にするときにも心配りを。例えば、自分だけお酒をたくさん飲んだ、自分だけたくさん食べたといった時には、その分多めに出すなどちょっとした心遣いをすると、周りの方との関係を良好になります。


お化粧室の使い方とマナー

飲食店だけではなく、デパートやショッピングモール、お宅を訪問した時などに化粧室を使うとき、心掛けたいマナーをご紹介します。“入ったときより、出るときはもっとキレイに”がポイントです。一番プライベートな場所だけに、その振る舞いであなたのステキさが問われます。

01必ずノックしましょう

ドアが閉まっているときは、念のために必ずノックをしましょう。鍵がうまくかかってないだけで、誰かが使っているかもしれません。要チェックです!


02使用後は必ずふたを閉めましょう

洋式トイレのふたは、使用後は必ず閉めましょう。最初から開いていたとしても、閉めるのがマナーです。特に男性は、便座を上げっぱなしにしないよう、注意してくださいね。
女性はサニタリーボックスのふたを閉め忘れていないか、合わせて確認しましょう。
最近は、自動的に水が流れるトイレもある為、使用後に水を流すのを忘れる人も多いようです。ボーっとしていて「つい流し忘れた」なんてことのないよう、きちんと確認するようにしましょう。


03トイレットペーパーの切り方

時々、トイレットペーパーの切り口を三角折にしている方がいますが、三角折はホテルなどの清掃スタッフが行う「清掃済み」のサインですから、切り方としては残念ながらNGです。ミシン目に沿って真っ直ぐに切るのが正解です!
ビリッっと破ったように見えては、美しくないので、ミシン目がない場合でも丁寧にカットするよう心掛けましょう。また、トイレットペーパーを自分が使い切った場合は、次の人のために補充しておきましょう。


04洗面台の回りをキレイに拭く

手を洗うとき、洗面台に落ちている髪の毛や化粧品の粉などを、自分のティッシュを出して、キレイに拭きとりましょう。
「自分が汚したわけじゃないから」ではなく、「自分が使った後はキレイにしよう」と思うことが、心遣いのできる人。そうすることで、次の人も気持ちよく使うことができます。 洗面台も蛇口周りも、キレイに水気をふき取りましょう。ポイントは、一滴も水滴がない状態にすることです!

洗面台の水滴を拭き取ります。
蛇口の部分も水滴が残らないように丁寧に拭き取ります。
洗面台の外も、汚れたり濡れたりしている部分はキレイに拭きます。

05お化粧室に長居はしません

洗面台をキレイにしたら、次の人が待っているかもしれないので、すぐにお化粧室から出ましょう。時間をかけて化粧直しをしたり、電話をしたりはNGです。自宅ではないことを忘れずに。
また、スリッパがあるときは、次の人が使いやすいように、向きを揃えておきます。
最後のポイントとして、身支度は化粧室の中でしっかり済ませます。くれぐれも、衣服を整えながら、手を拭きながら化粧室から出ていかないように気をつけてくださいね。

まとめ

「飲食店でのステキな振る舞いとマナー」はいかがでしたでしょうか? こちらに挙げた飲食店での振る舞いの基本は、同じ場にいる方への思いやりのきもちです。お互いが気分よく、楽しい時間を過ごせるように、心掛けたいポイントを9つご紹介しました。今日ご紹介したこともそうですが、ひとりひとりの心持ちとちょっとした気遣いで周りの人も自分自身の心も明るく、幸せにすることが出来ます。今日からちょっとした心遣いをぜひ周りの方にしてみていただけたら嬉しいです。

Adviser

井垣 利英(いがきとしえ) (株)シェリロゼ代表取締役 、 人材教育家、 マナー美人塾塾長

名古屋生まれ、東京在住。中央大学法学部在学中からフリーアナウンサー としてテレビ出演。
2002年(株)シェリロゼを起業。20年間で2万人を指導。自社の【会話美人講座】【マナー美人塾】でマナー、プラス思考、話し方などを指導。また全国の企業で、社員研修や講演会を年間100本ほど行う。
やる気とマナーを上げる日本で唯一の専門家。
著書は『ふんわりと上昇気流に乗る生き方』(サンマーク出版)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など19冊。

シェリロゼ
https://www.c-roses.co.jp/
YouTube
https://www.youtube.com/user/104toshia

 

編集協力/中西后沙遠(なかにしみさお) 撮影/森武志

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