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どのくらいの効果がある?みんなが実践している節電対策をプロが採点!

暮らし

2023年5月現在、コロナ禍での産油量調整やロシアのウクライナ侵攻など、さまざまな要因により、今までにはないほどに日本国内での電気料金が高騰しています。
2023年1~9月使用分は、政府の電気代の負担軽減策「電気・ガス価格激変緩和対策事業」で一部の電力会社利用者には補助として割引料金が適用されていますが、秋には終了予定です。電力会社によっては政府に値上げの申請をしているところもあるので、いずれにしても私たちは、家庭での電気代を節約する習慣を身につけておいた方がよいでしょう。
そこで今回は、多くの人が実践している節電対策について、どの程度の効果があるのか、筆者独自の目線で採点(10点満点)をして解説します。



01使わない家電のコンセントは抜いておく → 4点

いわゆる待機電力のカットといわれるものですが、実はこれ、手間がかかる割に効果は少ないのです。待機電力の占める割合は全消費電力のうち約5.1%です。

参照:平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要
https://seihinjyoho.go.jp/frontguide/pdf/catalog/2015/summer2015.pdf

家の中の全てのコンセントを抜いて回って約5.1%なので、一部の使わない家電のコンセントを抜いても、節電効果はさほどありません。
確かに、20~30年ほど前の家電には待機電力がかかっており、「待機電力ゼロ家電」というフレーズが売りになるほどでしたが、技術が進歩した現在は、待機電力がかからない、または微量になっているので、手間をかけているほどには節電効果は得られないものなのです。
もちろん効果がないわけではありませんが、コンセントを抜いて「これで節電はOK」と満足してしまっては、他を見落としてしまうので注意が必要です。



02エアコンは1日中つけっぱなしにしておく → 1点

エアコンは起動時に一番電力を消費することから、「スイッチを切るよりつけっぱなしにした方が節電になる」という説が一時期SNSを中心に出回りましたが、実は正解とは言い難いのです。
エアコンは小まめに消した方がよいのか、つけっぱなしがいいのか、パナソニックの実験による数値が参考になります。

“30分の外出を1日2回、1カ月間行った際のエアコン稼働における電気代の差異”によると、冷房使用時において、外気温が35℃以上の猛暑日のような場合は、室温が上昇しやすいため、つけっぱなし運転がお得。30℃程度までであれば、こまめに消す運転の方が電気代の節約につながるという結果が出ています。

参照:「つけっぱなし運転」はおトク?夏の「エアコン」節電ポイント(Panasonic)
https://panasonic.jp/aircon/air_letter/news/power_saving.html

家の断熱性能や、使っているエアコンによって数値は多少変わりますが、30分の外出を1日2回で実験していることからも分かるように、日中は出勤しているとか、エアコンを効かせた部屋を数時間離れるのであれば、消した方が節約になるのです。

さらに、夏のエアコンに関しては、以下のような点に注意をすることで節電につながります。

  • フィルターを小まめに掃除して、風の通りをよくする
  • 風量を自動にして無駄に冷やさないようにする(エアコンによっては、自動にしておくと、リモコンで設定できる弱風よりも弱い微風で風量を調整してくれるものもあります)
  • すだれやカーテンなどを使い、直射日光が室内に入らないようにする


03冷蔵庫は季節に合わせて温度設定(弱・中・強)を変えている → 7点

冷蔵庫の温度設定は見落としがちですが、毎日24時間、1年365日動き続けている冷蔵庫は、使い方によって大きな節電効果が出ます。まず知っておきたいのは、冷蔵庫内の適正温度です。

冷蔵室
1℃~5℃
冷凍室
マイナス18℃~マイナス22℃
野菜室
3℃~7℃

冷蔵庫が置かれている場所や、中に入っている食材の量によって、冷蔵庫内の温度は変わってくるので、できれば冷蔵庫用の温度計を使い、常にチェックしながら温度設定を適正に保つと、無駄に冷やしすぎることなく節電になります。



04じゃがいもやかぼちゃなどの根菜類は、電子レンジで加熱 → 10点

例えば、かぼちゃ100gを1日1回、360日加熱すると想定した場合、電子レンジだと年間約470円ですが、ガスコンロの場合、1ℓの水(27℃程度)に入れてゆでると、年間約1,470円かかります(※食材の量などによって異なります)。

参照:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html#1



05トイレ便座のふたを閉める → 8点

ふたを閉めた場合と開けっぱなしの場合の比較は、年間で電気34.90kWhの省エネ、約1,080円の節約になります。

参照:資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/bathtoilet/index.html#2

また、温水洗浄便座にはタンク内に温水を貯めて使う「貯湯式」と、ヒーターで瞬間的に温水を作る「瞬間式」があり、電気代は「瞬間式」の方が安いとされています。さらに、最新の省エネ機種には、10年前と比べて電気代が1/3以下になるものもあるので、古い機種を買い替えることで節電できるケースもあります。

参照:省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/

まとめ

今回ご紹介した5つの節電方法の中には、「思っていたより節電効果がある!」というものもあれば、逆に「意外と節電効果がなかった…」というものもあるでしょう。
正しい知識を身につけて、楽しく節電していきましょう。

プロフィール

矢野きくの

家事アドバイザー、節約アドバイザー。家事の効率化、家庭の省エネを中心に、テレビや雑誌、講演会などで活動。生活用品や便利グッズの企画にも携わる。『50代からの自宅の片づけ 実家の片づけ』(扶桑社ムック)など著書多数。
https://yanokikuno.jp

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