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手荒れの傷には菌やウイルスが残りやすい!? 感染対策の新ルールは、手洗い・消毒・ハンドケア

健康・美容

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、手洗いやアルコール消毒を頻繁に行うようになった昨今、手荒れのトラブルを抱えている人が増えています。実は、手荒れの傷の部分には汚れの洗い残しが存在することがあり、そこに細菌やウイルスが入り込んでしまうこともあるそうです。皮膚科医の野村有子先生に、手荒れによる感染リスクと、効果的な対策を伺いました。

ささくれ程度の小さな傷でも、細菌やウイルスが入り込む可能性あり

冬から続く空気の乾燥に加え、度重なる手洗いやアルコール消毒でどんどん悪化する手荒れ。野村先生によると、「これまでは家事をする主婦の方や、主に水を使う職業の方に多く見られましたが、最近は小さな子供からご高齢の方まで、職業に関係なく手荒れで来院される方が増えています」とのこと。
一見、皮膚がほんの少しめくれていたり、ごわついているだけのようですが、「手荒れは細かな傷です。そこに汚れが入り込むと、通常の手洗いだけでは落とせなくなることもある」(野村先生・以下同)といいます。

「ささくれやあかぎれは小さな傷ですが、細菌やウイルスは、それよりもはるかに小さい存在です。例えば、新型コロナウイルスの大きさは約0.1μm(0.0001mm)なので、 指の傷が1mmだとしても、傷に比べて約1万分の1の大きさになります。つまり、ウイルスが傷から入り込むことは容易で、さらに、その手で顔を触れば、目や口から手についたウイルスを体内へ入れてしまう可能性も十分にあります」

感染対策として手荒れのケアを行っているのは3割程度

ある製薬会社の調査によると、『「新型コロナウイルス感染症」の流行以来、感染対策として、おこなっていることは何か?』という質問に対し、手荒れのケアと答えた人はわずか3割程度でした。

※秋冬肌トラブル調査(2021年1月/インターネット調整/ユースキン製薬)

また、『手荒れが手指の衛生に影響を及ぼすことを知っていますか?』という質問に対しては、約7割が『知らない』と答える結果に。「手洗いが感染対策として有効であることは間違いありませんが、同時に手荒れの傷をつくらないようにハンドケアを行うことも、感染対策として必要です」

ハンドクリームなどのハンドケア剤は「指定医薬部外品」を選ぶと◎

では、ハンドケアとは具体的にどのようなことをすればよいのでしょう? 手荒れを改善・予防するためにもっとも効果的なのは、ハンドクリームなどのハンドケア剤を塗る方法です。ただし、ハンドケア剤は区分と成分を理解して選ぶことが重要で、ドラッグストアなどで購入できるものには以下の4つの区分があります。


  1. 化粧品…肌を健やかに保つ
  2. 医薬部外品…有効成分を配合し、予防する
  3. 指定医薬部外品…有効成分を配合し、治療効果がある
  4. 一般用医薬品…有効成分を配合し、治療効果がある

なかでも指定医薬部外品は、ドラッグストア等で販売される一般用医薬品と変わらない治療効果がありながら、比較的安全性が高いと厚生労働省に認められた製品で、スーパーやコンビニエンスストアなどでも買うことができます。手荒れがひどい場合は、ぜひ効果の高い指定医薬部外品や一般用医薬品を試してみましょう。

「ハンドケア剤の種類は大きく分けると3つ。尿素が配合されている『尿素系』、主にセラミドなどが配合されている『保湿系』、主にビタミンEなどが配合されている『ビタミン系』に分けられます。
『尿素系』は、角化を溶解する尿素を配合しているので、ひじ・ひざ・かかとなど硬くなって角化している部分のケアに◎。肌が荒れ気味のときや冷えを感じたときは、血行改善と保湿効果がある『ビタミン系』を使うとよいでしょう。手荒れが治ったあとの毎日のお手入れには、『保湿系』を継続して使うのがおすすめです」

また、ハンドケアの際に使用するハンドケア剤の量は、通常は手指の第1関節まで、悪化している場合は第2関節までが目安です。
「日中もこまめに塗るのがベストですが、手洗いで洗い流されてしまうことも。そこでおすすめなのが、就寝中の集中ケアです。就寝前にハンドケア剤をたっぷり塗って、血行促進のためにハンドマッサージを。さらに手袋を着用すれば、べたつきが気にならず保湿成分の浸透も高まります」

家事などで水仕事をすることが多く、普段からハンドクリームを塗る機会が多い女性はもちろん、手荒れを予防・改善するべく、男性もハンドケアを始めてみませんか? きれいな手は好印象にもつながります。また、小さな傷だからといって放置せず、しっかりハンドケアすることも、感染予防への近道です。

画像提供/PIXTA、ユースキン製薬



監修

野村有子先生野村皮膚科医院院長・医学博士、日本皮膚科学会認定専門医

1986年、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部皮膚科教室に入局。同大学助手、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務を経て、98年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。治療からスキンケアにいたるまできめ細かな指導を行っている。
野村皮膚科医院

取材・文/須川奈津江

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