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マンション管理ゼミナール『給水管』の基礎知識

マンション生活

給水管は“サビ”と闘いながら進化した

40年ほど前までは、さびやすい給水配管材が使用されていて、いわゆる“赤水問題”が数多く発生していました。しかし、時代とともに新しいものが開発され、今では“さびの発生が少ない配管材“・”さびない配管材“に進化しています。

給水配管材の歴史

マンションで使用されている給水配管材にはさまざまな種類があります。1975年頃までに建設されたマンションでは「水道用亜鉛めっき鋼管※」という材料が使用されていました。この管材は、鋼管の内面に亜鉛めっきが施されているだけだったため、15年~20年ほどで配管内面が激しく腐食してしまい、赤水や漏水などが発生し問題になりました。

1997年のJIS改正により、現在では水道用亜鉛めっき鋼管は上水道配管に使用できなくなっています。

この配管内面の腐食問題を解消するために登場したのが「硬質塩化ビニルライニング鋼管」です。これは鋼管の内部に硬質塩化ビニル管が挿入されたもので配管内面の腐食問題は解消しましたが、次なる問題が発生しました。それは「継手」問題です。継手とは、管と管をつなぐときに使用する材料です。1985年頃までは「樹脂コーティング継手」という樹脂を内面に塗布したものが使用されていましたが、管端の鉄露出部分や鋼管ねじ部分がさびやすいという弱点がありました。そこで、管端の鉄露出部分に「コア」と呼ばれる樹脂製の部品を挿入する工法が登場しました。

しかし、当初のコアは鋼管の管端部分との密着が不完全な場合もあったため、さらに開発が進み、1990年以降は継手本体にコアを内蔵した「管端防食継手」が誕生し、これにより管の耐久性は大幅に向上することになりました。

給水配管材は、時代とともに新しい管材が開発され、共用部分では、2000年頃から、より耐久性の高い「ステンレス管」や「樹脂管材」を採用するマンションが増えています。また、近年竣工のマンションは共用部、専有部ともに樹脂製の「ポリエチレン管」や「ポリブテン管」などが用いられています。

管端防食継手 ステンレス鋼管 ステンレス鋼管継手

Q1給水管はどのくらい持つの?

管材や継手の種類、水質等によって差があります。
マンションの建てられた時期により、給水管に使用されている管材や継手の種類、配管施工方法は異なります。また、給水管の使用状況や水質などもマンションごとに異なることから、給水管の耐用年数にはかなり差があります。

鋼管材使用の場合、継手や異種金属接続部について管材腐食の進行が速いことから、定期的な調査と更新が必要となります。(概ね20年から30年程度)
近年では樹脂管などの配管材が主流となっており、部位的な継手等の交換は難しいため、樹脂管への更新を行うケースが多くなっています。
ステンレス管、樹脂管への更新を実施した場合、配管材自体は半永久的に使用が可能と考えられますが、ステンレス腐食、継手類パッキン劣化、外力による破損など問題が発生する場合があることから、点検と補修などの計画が必要となります。

Q2配管ってどう点検、調査するの?

「水圧測定」「内視鏡調査」「X線調査」「抜管調査」などがあります。
給水配管の点検、調査には、大きく分けて「破壊調査」と「非破壊調査」があります。
「破壊調査」は、配管の一部を切り取って調査するもので、一般的に「抜管調査」と呼ばれています。

鋼管材使用の場合、内視鏡(ファイバースコープ)やX線調査により内部劣化の確認が必要です。「非破壊調査」その後、より詳細な劣化状態を把握するためには、「抜管調査」を行い、内部腐食個所や錆こぶや汚損の位置、配管の残存肉厚などを確認する調査を行う場合があります。

また、樹脂管の点検については、一定時間規定圧力をかけ、漏洩状況を把握する「水圧測定」による診断が一般的です。材質の劣化は少ないため、接続部等からの漏水の有無や、外観目視による表層面確認により、材質の劣化度合を判定する点検が一般的です。

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